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英5月インフレ率を見て....

英5月インフレ率
CPI +3.4% y/y  (予想 +3.5%、4月 +3.7%)
RPI +5.1% y/y  (予想 +5.0%、4月 +5.3%)
RPIX +5.1% y/y  (予想 +5.0%、4月 +5.4%)

*数字を見た瞬間の反応

数字を見た瞬間  とした英国人は多かったのではないでしょうか?私自身も やれやれ......  とちょっとだけ安心してしまいました。ホッとした理由は、景気回復が本格化していないにも関らず、先進国で唯一 英国だけがインフレ率上昇に歯止めがかからなかったから  です。もちろん英中銀による量的緩和策により マネー・ジャブジャブ状況なので そんなの当たり前じゃないか!というコメントを先月頂きましたが、それだったらアメリカでも同様の事が起こっても不思議じゃないのでは?という素朴な疑問も起こります。一言 「原油価格の変動が激しいからその影響だ」 と片付けてしまうオチャラケ・エコノミスト軍団もいるようですが、原油価格の変動は世界的問題であり、特に英国インフレ率だけを襲う要因でないのは明らかです。

*大きな流れは?

5月のインフレ率が今年の2月以来やっと下がった  と言っても、未だに英中銀インフレ・ターゲットレベル2%よりも俄然高く 、 それが理由で英中銀キング総裁はオズボーン財務相に書簡を手渡さなければならないのも事実です。つまり5月のCPIが若干下がったとは言え、大きなインフレの流れには全く変化がないままなのか?それとも英中銀がインフレ・レポートで述べているように、今月の数字から徐々にインフレ率の下落が開始され、来年第1四半期には ターゲット・レベルの2%を割り込むのか? その答えを心待ちにしているのは私だけではないでしょう。

*インフレ上昇継続の危険性

英中銀金融政策理事の一人であるセンタンス氏は週末のタイムス紙のビジネス欄で、利上げの可能性を記事にしていました。

英国金融政策当局は、ここ数ヶ月 英インフレ率が主要国内でも飛びぬけて高い理由を
1)インフレ上昇は一時的要因によるもの
2)時限措置としてVATを17.5%から15%へ下げたが、その期限が切れたので VATはまた17.5%へ戻った。それによる一時的なインフレ押し上げ要因
3)ポンド安による輸入インフレ要因

としてきました。そして 本日 CPIの若干の下落に対し、一部のエコノミストは 「最近のポンド実効レートの上昇 によるインフレ相殺効果」と評価しています。果たして ポンド実効レート上昇が本当にインフレ率低下に寄与しているのか 実際にチャートで調べてみました。
TWI GBP June 10
最初のチャートは 英統計局作成の英インフレ率チャート(過去2年間分)です。次のチャートは同時期の英中銀ホームページからデーターを引っ張ってきて 私が作成した「ポンド実効レート 過去2年分」です。

両方のチャート上に 赤丸 と 黄緑枠 2つを入れています。

・赤丸の時期
この時期は 英インフレ率が大幅に下落しました。もし 上記のエコノミスト弁が正しいのであれば インフレ率下落 ポンド実効レート上昇 が起こっていなければなりません。
ポンド実効レートのチャート上の赤丸の部分を見て頂ければ一目瞭然ですが、実効レートは上がっているどころか、大きく下落しています。

結論: インフレ率下落は 実効レート上昇と同時進行するとは 限らない。この時期のインフレ率下落は 英成長率(GDP)下落によるものと見ています。

・黄緑枠の時期
この時期はインフレ率が上昇気流に乗っています。もし 上記のエコノミスト弁が正しいのであれば インフレ率上昇  ポンド実効レート下落 が起こっていなければなりません。
実際のポンド実効レートはと言えば、大きなレンジの中で上下しているだけです。

結論: この時期に関しても、ポンド実効レートとインフレ率動向との関連性は見いだせられませんでした。

*今後の課題

過去2年のインフレ率と実効レートの比較だけで、エコノミスト弁が正しくないと結論を出すのは少々無理がありますが、ポンド安/高に直接影響する食料品、衣料品、靴などの品目に関しては 今後とも注意継続だと思います。もし ポンド安 が再度 英国を襲った場合、それでも 上記の品目からのインフレ上昇要因が鈍化していた場合は、たぶん GDPが低空飛行していると考えるのが妥当であり、その場合は英政策金利は現在市場が予想している通り、少なくとも来年までは利上げなしであると見てもよいかもしれません。

緊縮財政下での金融引き締めは出来ないというのが基本ですが、唯一の心配は来週発表される緊急予算案で VATが現在の17.5%から20%まで税率引き上げが「即刻」実施された場合、またまた 一時的要因という名の「インフレ懸念」が台頭します 。 この場合 VAT上げが景気回復の芽を完全に摘んでしまうのか、それとも VAT上げに抱き合わせる形で 年金受給者などに限って年金控除枠を設定するなどの措置を取るのかが鍵となると思っています。

いずれにしても 現在イギリスを沸きに沸かせている ワールドカップが終わり イギリス全体が「現実」に引き戻されてからが本当の意味の勝負になるというのは間違いありません。

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[ 2010/06/15 19:41 ] 経済 | TB(-) | CM(3)
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[ 2010/06/15 21:06 ] [ 編集 ]
BOE政策金利の天井と底の月は季節要因があるのですか?
英国のインフレ率高いですね。

インフレ率と金利ということでBOEの政策金利の眺めてみました。
http://www.bankofengland.co.uk/mfsd/iadb/Repo.asp?Travel=NIxIRx
天井    Jul 2007 5.75%
小さい底  Aug 2006 4.75%
小さい天井 Aug 2005 4.5%
小さい天井 Aug 2004 4,75%
大きな底  Jul 2003 3.5%

となります。
Jul:Augと天井と底の月が似ているのが気になりました。
いろいろ考えたのですが、たとえば
天気???
BOEなどの政府関係の人事の月???
国会の選挙???
しかし、英国の知識が乏しいのでわかりませんでした。

反対の見方としては、
ちなみにこの10年弱ではそうなのですが、過去30年になるとそうでもなかったり、
Augの2004 2005 2006は下げ/上げしただけでそもそも天底でないという反論もあったり、
いろいろ考えましたが、よくわかりませんでした。


そこで質問です。
N20さんはなぜこのように天井や底の月になると思われますか?
そもそも、金利の天井や底に月のアノマリーはあるとお考えですか?
お時間のあるときに、ご意見を聞かせてください
[ 2010/06/15 22:43 ] [ 編集 ]
秘信の方へ
今日わ!
半年ずらす!考えてもみませんでした。ありがとう!

今 試してみましたが バッチリじゃ ないですか!素晴らしい発想 ありがとうございます!
[ 2010/06/16 05:19 ] [ 編集 ]
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プロフィール

N20   (松崎美子)

Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

口座残高ゼロ経験あり

セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
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