休日なので呆けていたが 脳味噌がただれてきたので PCを付けた(病気ですね、これ)。そして 面白い記事を見つけました。英エコノミスト誌の記事
http://www.economist.co.uk/finance/displaystory.cfm?story_id=9230598です
中国政府は 先週 (年内に設立する)外貨準備運用会社(推定運用資産 3,000億ドル)の投資先第1号に、米ブラックストーン・グループを選び、30億ドルの出資を決めました。この動きに代表されるように 米国債(ドル)一辺倒であった外準投資方法の選択が 大きく変わろうとしていています。それに加え 中国に限らず古くは中東に代表されるように 既に 外貨準備金の一部を別の基金へ移し 独自の資産運用をしております。それらの資産を総じて<政府系投資ファンド>と呼んでいるそうです。
これは 英エコノミスト誌に載っているモルガンスタンレー作成の政府系投資ファンドの例。古いものでは 1953年クウェートからはじまり、私が現役で働いていた時から非常に馴染みの深い中東のADIA, シンガポールのGICの名前が見えます。これらの機関は 凄い金額でマーケットに出ていたのを とてもよく記憶しています。

政府系投資ファンド総額は 推定で2兆5千億ドル、毎年 最低5千億ドルづつ増加、2015年には 総額が12兆ドルへ膨れ上がる計算。現在 日本・ロシア・インドも 同様の政府系投資ファンド設立を考えているそうで これらの重量級が加われば 一気にマーケットの暴れん坊になりかねません。ちなみに 世界の年金・保険・投資信託に代表される伝統的な機関投資家の残高は 55兆ドル、これに比べれば政府系投資ファンドの資産規模は小さく見えますが、世界のヘッジファンド運用資産総額が 推定 1兆6千億-2兆ドルですので この政府系投資ファンドの隠れた威力が大きいかが伺われます。
FT紙Alphavilla欄
http://ftalphaville.ft.com/blog/2007/05/25/4789/sovereign-wealth-funds-and-the-2500bn-question/でも 政府系投資ファンドについて書いていますが、それによると このファンドの3分の2が中東諸国の資産。伝統的に通貨危機に見舞われやすい地域である為 この資産基金は流動性の高い米ドル(債券等)や金に投資されていました。しかし 今後は 安全性よりも高リターンを目標に 新興市場債券・通貨/中国のようなプライベート・エクイティ会社/流動性がそう高くない資源 そして 円資産に向かう可能性が高いそうです
IMFの計算によると 中央銀行による米国債購入が著しく減少した場合 米国債イールドは0.30%から1.00%の上昇(価格下落)を招く恐れがあるそうです
とりあえず これらの記事を読んで最初に頭に浮かんだ事は
1)外国準備金と違い 政府系投資ファンドは 自国通貨防衛用に使われるものではない。ノルウェーの政府年金基金に代表されるように 長期運用が前提。果たして どこまで 新興市場国の債券・通貨が この長期運用に適しているのか?メタル・資源が これに適していると思う
2)しかし 中東諸国・ロシアにとっては 原油価格・自国通貨・国債の予期せぬ変動に備えた軍資金の役割も果たさなければならない。と言う事は ハイリターンであって 同時にある程度の流動性も確保したい。やはり メタル・資源が これに適しているという印象を受けた。
現在 各政府系投資ファンドが どのような運用手段を取っているのかは不明であるが 米欧国債保有が高いと 私は想像します。ですので 今後の増加分は 株式や メタルや ソフトコモディティーに代表される資源 そして 中国がやったような企業への出資が盛んになると予想します。
最後 円に関してですが 世界の中央銀行外準に占める円比率は 3%+と低め、それに対し 代表的なMSCI Worldでの日本株比率は10%、MSCI EAFEでの日本株比率は 約24%。つまり 世界各国の外準や 政府系投資ファンドが資産運用の積極化を図れば ますます 円資産の取り込みが増える傾向にある事は間違いないという事でしょう本日はイギリス バンクホリデーで時間がありましたので 奮発して記事をたくさん書きました!

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3連休明けに奮発した記事を書いてくださってありがとうございます
国家資産基金のお話、とても勉強になりました。国家資産基金のような重量級が加われば、世界のヘッジファンド運用の資産額に比べても、マーケットの暴れん坊になりそうですね。また、外貨準備との違い、自己通貨防衛用に使われるものではないと言うことも、興味深いですが、投資対象の選定が難しそうですね。
良い記事をありがとうございました