皆さん ご無沙汰しております。英国は クリスマス、Boxingデイも終り 今は クリスマス・セールの真っ最中!私は まだ 足を運んでいません。姪が 大学の休みを利用して ある若者向けファッションのお店でアルバイトしているのですが 客足は少ない と 昨日 言ってました。バーゲン製品の選択に関しては 昨年は よい製品を安く売ったそうですが 今年は 売れ残り(?)を安くしているだけのようです。彼女は 仕事の合間に 他のお店にも行ったようですが 全品20%引き というところも あったようです。この言葉だけを鵜呑みにすれば 昨年の「出血売り尽くしセール」

今年は 景気がそんなに悪くない時のセール に変化して行ったような印象を受けました。本当に 小売業界は 景気回復の手ごたえを感じて セールの対象物品を 変更させたのですかね?
前置きが長くなりましたが 本日から 数日に渡り 私の独断と偏見に満ちた英経済見通しを 書こうと思います。
今のところ GDP, 失業率、インフレ率、政策金利変更に関して、ポンド予想 を書く予定ですが 途中で 変更があるかもしれませんので 事前にお詫びしておきます
それでは GDPから 行きましょう
12月22日に 英第3四半期GDP改定値が発表されました。結果は 速報値 -0.3%

改定値 -0.2%。ちょっとだけ上方修正されましたが マイナスである事に 変化なし。つまり G20内で 唯一 リセッションから抜けられない国は 英国だけ

という厳しい結果となってしまいました

このグラフは 英統計局作成の 英GDPグラフです。棒グラフは 四半期ごとの数値、折れ線グラフは 年率。これを見る限り 四半期ごとのマイナス幅は確実に縮小されており 年率でも 一旦 底を打ち 上昇基調に乗るかな?

という感じにも見えます。GDP上昇が 継続してくれれば 英国の赤字削減もスムーズに行くので 是が非でも頑張って欲しいものです

英シティーのエコノミスト そして 各大学の教授達を対象に行った 2010年GDP予想アンケートによりますと 全体の平均値として 英 +1.4%、米 +2.7%、ドイツ +1.7%、フランス +1.5% (EU全体平均) +1.3%、イタリア +0.9%、スペイン -0.4% となっています
果たして 2010年 英経済が どのような回復を見せられるのか 何点か思いつくものを書き出してみました
回復の手助けとなり得る点1) 歴史的な低金利(0.5%)
2) ポンドの価値が 約20%下落したので 英輸出企業にとっては追い風となり それが 個人消費を支える事に なる
3) 英国を除く主要国が景気回復を果たしている。特に英国にとっての主要貿易取引相手である欧州の景気回復が本格化すれば 英国もその恩恵をこうむる可能性は高い
4) 英住宅価格は 2009年に底を打った可能性がある。これが 決定的となれば 英個人消費が徐々に上向くきっかけとなる
回復の足を引っ張る可能性がある点1) 英政府が 思い切った財政赤字削減策を取るには 歳出削減、増税は避けられず それが 景気回復の足かせとなり得る
2) 第3四半期・英個人貯蓄率は +8.6% 1998年来の高さとなった。英消費者は やっと 消費に廻すお金を貯蓄するようになったのかもしれない。つまり 消費回復は 思ったよりも先の事となるかもしれない
3) 銀行のバランスシート改善に時間がかかり 貸し出しに廻る資金が不足し それが英企業の活動を妨げる危険性
今回の改定値で 一番 私が注目したのは 世帯支出 (Household Spendings)が 2008年第1四半期以来 初めて (四半期ベースで)上昇した点。果たして この「支出」部分は どこから出てきたお金なのかが疑問です

。少なくとも 英クレジット市場は回復していません。雇用状況の著しい改善というニュースも聞こえてきません。そう考えると 世帯支出が上向いたのは 単なる一過性のものと考える方が妥当なのでしょうか?
このブログでも何度も指摘しましたが 英国民の過剰とも言える消費行動が 今回のリセッションにより 修正を余儀なくされたと 私は考えています。もし それが事実であれば その過程に於いては 需要が予想以上に長い間 抑制され続ける可能性を考慮しなければなりません。過剰消費を 普通の消費性向、つまり お金がないなら 借りてまで消費しない

適正な債務比率に戻るべきであると 消費者が認識すれば 消費は かなり長い間 抑制されると考えるのが妥当です。しかし 実際の数字として 世帯支出は上昇した というのは 理解に苦しみますよ...

私も こちらに住んで初めて分かった事なのですが 所謂 日本人の「貯蓄は美徳」

という発想とは違い こちらでは 「借金が出来るだけの信用力がある」という発想があるようです。私は 未だに この考え方には 馴染めませんが 信用力があるんだから それだけの「現金」を持っているのと同じだ!という発想ですね。そもそも 英国の住宅ブームにより 住宅価格が高騰した為 英国民のほとんどが 住宅ローンという負債 に対し 住宅という資産 を両建てで持っています。資産価値が上がれば 自分自身を 「債務過剰人間」と認識する機会は なくなります。もちろん 「資産」は バランスシートの上だけのものであり 流動性は (実際に家を売却しない限り) ゼロ
今後 住宅価格上昇が本格化したら 英国人は また 借金消費傾向に戻るのでしょうか?現在までのところ 英消費熱は 停滞していますが 果たして それが 借りてまで消費しない という考え方の変化の結果なのか、貸し手が貸さなくなったから 消費出来ないだけなのか 正直 私にもよく分かりません。個人的には 後者のように思えてなりませんが もし そうであれば 金融市場が安定し 再び 貸し出しが正常化すれば 再び 借金による消費が再開されます。
2010年の英国に於ける最大のイベントは 総選挙である事は 間違いないでしょう。労働党、保守党、自民党共に 財政赤字削減を最優先する政策を選挙公約の筆頭に出してくると想定される為 国民、企業にとって 「おいしい」汁が吸える選挙には なりません。普通 総選挙前は 「マヤカシの選挙フィーバー」熱

に 国民全体が包み込まれるのですが 来年は そうは行かないと思います。特に英国に籍を置く企業軍団は 新政権の政策内容を確認するまでは 大きな決定事項は先延ばしにする可能性が考えられます。
それらを考慮すると 私個人的には 2010年GDPに関する最大影響要因として
1)来年2月に 英中銀が量的緩和策の終了を決定するのか。もし 終了決定された場合 英国債イールドは どのような反応を示すのかが注目されます。クリスマス前の24日 英国債10年物イールドは 半年以上ぶりに 4%を越え 4.028%まで行きました。果たして これは 市場が薄い為に起きたものなのか 来年以降の英国債需要低下を先取りした動きなのか 新年からの国債市場の動きからは 絶対に目が離せません
2)上でも触れましたが 6月までに実施される英総選挙です
選挙結果に関わらず 英国に籍を置く企業は 重大決定事項を 6月以降に行う事が考えられますので 2010年第2四半期までは GDP大幅改善を 私は 予想していません
3)景気回復基調が定着する必要条件として
雇用市場の回復 と同じくらい 私が重要だと考えているのは クレジット市場の回復/正常化です。この点に関しては 政策金利変更に関して で もっと掘り下げて書きたいと思います
最後になりましたが タイムス紙に載っていた一番最新の英GDPセクター別の内訳を見ると
農業 0.7%
建築業 6.4%
製造業 合計 16.7%
(製造 12.4%、鉱業 2.6%、電力関連 1.7%)
サービス業 合計 76.1%
(金融/ビジネス・サービス 31.9%、教育関連 18.1%、流通 14.1%、交通 7%、その他 5%)となっています。
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すみません、質問なのですが、
>財政赤字削減を最優先する政策を選挙公約の筆頭
英国では 選挙において 赤字削減という政策で 政党は勝利できるのでしょうか?
今年日本では 政権交代が行われましたが、
赤字国債増発のバラマキ政党たる民主党が勝利しました。
将来的に、政権奪還を目指す日本の自民党も 来年の参議院選バラマキ政策で対抗する模様です。
日本国民は 将来の増税たる国債増発でも、 今年の各家庭の懐が暖まる政策に目を奪われて投票しています。
2大政党制で お互いに政権をとるためには
「選挙で 赤字削減」 という政策が 「公約の筆頭」になるのか、
よくわからず、質問させていただきました。
英国でも 選挙民は 赤字削減より 福祉等でばら撒いてくれる政党を選ばないのでしょうか?
いうまでもなく、日本の政党のバラマキ政策はいつか限界に達して破綻するわけです。
そして、私自身も 日本のバラマキ政策に不安はあります。
しかし、日本の選挙ではバラマキ政党が ”多数の国民”から選ばれてしまっているのが現状です。