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2010年に向けて -英GDP-

皆さん ご無沙汰しております。英国は クリスマス、Boxingデイも終り 今は クリスマス・セールの真っ最中!私は まだ 足を運んでいません。姪が 大学の休みを利用して ある若者向けファッションのお店でアルバイトしているのですが 客足は少ない と 昨日 言ってました。バーゲン製品の選択に関しては 昨年は よい製品を安く売ったそうですが 今年は 売れ残り(?)を安くしているだけのようです。彼女は 仕事の合間に 他のお店にも行ったようですが 全品20%引き というところも あったようです。この言葉だけを鵜呑みにすれば 昨年の「出血売り尽くしセール」絵文字名を入力してください 今年は 景気がそんなに悪くない時のセール に変化して行ったような印象を受けました。本当に 小売業界は 景気回復の手ごたえを感じて セールの対象物品を 変更させたのですかね?

前置きが長くなりましたが 本日から 数日に渡り 私の独断と偏見に満ちた英経済見通しを 書こうと思います。
今のところ GDP, 失業率、インフレ率、政策金利変更に関して、ポンド予想 を書く予定ですが 途中で 変更があるかもしれませんので 事前にお詫びしておきます

それでは GDPから 行きましょう

12月22日に 英第3四半期GDP改定値が発表されました。結果は 速報値 -0.3% →  改定値 -0.2%。ちょっとだけ上方修正されましたが マイナスである事に 変化なし。つまり G20内で 唯一 リセッションから抜けられない国は 英国だけ という厳しい結果となってしまいました
UK GDP Dec 09
このグラフは 英統計局作成の 英GDPグラフです。棒グラフは 四半期ごとの数値、折れ線グラフは 年率。これを見る限り 四半期ごとのマイナス幅は確実に縮小されており 年率でも 一旦 底を打ち 上昇基調に乗るかな?えるも という感じにも見えます。GDP上昇が 継続してくれれば 英国の赤字削減もスムーズに行くので 是が非でも頑張って欲しいものですワンダーフロッグワンダ

英シティーのエコノミスト そして 各大学の教授達を対象に行った 2010年GDP予想アンケートによりますと 全体の平均値として 英 +1.4%、米 +2.7%、ドイツ +1.7%、フランス +1.5% (EU全体平均) +1.3%、イタリア +0.9%、スペイン -0.4% となっています

果たして 2010年 英経済が どのような回復を見せられるのか 何点か思いつくものを書き出してみました

回復の手助けとなり得る点
1) 歴史的な低金利(0.5%)
2) ポンドの価値が 約20%下落したので 英輸出企業にとっては追い風となり それが 個人消費を支える事に なる
3) 英国を除く主要国が景気回復を果たしている。特に英国にとっての主要貿易取引相手である欧州の景気回復が本格化すれば 英国もその恩恵をこうむる可能性は高い
4) 英住宅価格は 2009年に底を打った可能性がある。これが 決定的となれば 英個人消費が徐々に上向くきっかけとなる

回復の足を引っ張る可能性がある点
1) 英政府が 思い切った財政赤字削減策を取るには 歳出削減、増税は避けられず それが 景気回復の足かせとなり得る
2) 第3四半期・英個人貯蓄率は +8.6% 1998年来の高さとなった。英消費者は やっと 消費に廻すお金を貯蓄するようになったのかもしれない。つまり 消費回復は 思ったよりも先の事となるかもしれない
3) 銀行のバランスシート改善に時間がかかり 貸し出しに廻る資金が不足し それが英企業の活動を妨げる危険性

今回の改定値で 一番 私が注目したのは 世帯支出 (Household Spendings)が 2008年第1四半期以来 初めて (四半期ベースで)上昇した点。果たして この「支出」部分は どこから出てきたお金なのかが疑問ですjumee☆whyL。少なくとも 英クレジット市場は回復していません。雇用状況の著しい改善というニュースも聞こえてきません。そう考えると 世帯支出が上向いたのは 単なる一過性のものと考える方が妥当なのでしょうか?

このブログでも何度も指摘しましたが 英国民の過剰とも言える消費行動が 今回のリセッションにより 修正を余儀なくされたと 私は考えています。もし それが事実であれば その過程に於いては 需要が予想以上に長い間 抑制され続ける可能性を考慮しなければなりません。過剰消費を 普通の消費性向、つまり お金がないなら 借りてまで消費しない → 適正な債務比率に戻るべきであると 消費者が認識すれば 消費は かなり長い間 抑制されると考えるのが妥当です。しかし 実際の数字として 世帯支出は上昇した というのは 理解に苦しみますよ...んー

私も こちらに住んで初めて分かった事なのですが 所謂 日本人の「貯蓄は美徳」という発想とは違い こちらでは 「借金が出来るだけの信用力がある」という発想があるようです。私は 未だに この考え方には 馴染めませんが 信用力があるんだから それだけの「現金」を持っているのと同じだ!という発想ですね。そもそも 英国の住宅ブームにより 住宅価格が高騰した為 英国民のほとんどが 住宅ローンという負債 に対し 住宅という資産 を両建てで持っています。資産価値が上がれば 自分自身を 「債務過剰人間」と認識する機会は なくなります。もちろん 「資産」は バランスシートの上だけのものであり 流動性は (実際に家を売却しない限り) ゼロ

今後 住宅価格上昇が本格化したら 英国人は また 借金消費傾向に戻るのでしょうか?現在までのところ 英消費熱は 停滞していますが 果たして それが 借りてまで消費しない という考え方の変化の結果なのか、貸し手が貸さなくなったから 消費出来ないだけなのか 正直 私にもよく分かりません。個人的には 後者のように思えてなりませんが もし そうであれば 金融市場が安定し 再び 貸し出しが正常化すれば 再び 借金による消費が再開されます。

2010年の英国に於ける最大のイベントは 総選挙である事は 間違いないでしょう。労働党、保守党、自民党共に 財政赤字削減を最優先する政策を選挙公約の筆頭に出してくると想定される為 国民、企業にとって 「おいしい」汁が吸える選挙には なりません。普通 総選挙前は 「マヤカシの選挙フィーバー」熱jumee☆SaturdayNightFeverL に 国民全体が包み込まれるのですが 来年は そうは行かないと思います。特に英国に籍を置く企業軍団は 新政権の政策内容を確認するまでは 大きな決定事項は先延ばしにする可能性が考えられます。

それらを考慮すると 私個人的には 2010年GDPに関する最大影響要因として

1)来年2月に 英中銀が量的緩和策の終了を決定するのか。もし 終了決定された場合 英国債イールドは どのような反応を示すのかが注目されます。クリスマス前の24日 英国債10年物イールドは 半年以上ぶりに 4%を越え 4.028%まで行きました。果たして これは 市場が薄い為に起きたものなのか 来年以降の英国債需要低下を先取りした動きなのか 新年からの国債市場の動きからは 絶対に目が離せません

2)上でも触れましたが 6月までに実施される英総選挙です
選挙結果に関わらず 英国に籍を置く企業は 重大決定事項を 6月以降に行う事が考えられますので 2010年第2四半期までは GDP大幅改善を 私は 予想していません

3)景気回復基調が定着する必要条件として
雇用市場の回復 と同じくらい 私が重要だと考えているのは クレジット市場の回復/正常化です。この点に関しては 政策金利変更に関して で もっと掘り下げて書きたいと思います

最後になりましたが タイムス紙に載っていた一番最新の英GDPセクター別の内訳を見ると
農業 0.7%
建築業 6.4%
製造業 合計 16.7%
(製造 12.4%、鉱業 2.6%、電力関連 1.7%)
サービス業 合計 76.1%
(金融/ビジネス・サービス 31.9%、教育関連 18.1%、流通 14.1%、交通 7%、その他 5%)となっています。


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こんな嬉しい賞を頂きました。受賞に恥じないよう 頑張ろうと思います。応援 よろしく!
[ 2009/12/27 21:44 ] 経済 | TB(-) | CM(10)
いつも楽しく読ませていただいています。

すみません、質問なのですが、
>財政赤字削減を最優先する政策を選挙公約の筆頭
英国では 選挙において 赤字削減という政策で 政党は勝利できるのでしょうか?

今年日本では 政権交代が行われましたが、 
赤字国債増発のバラマキ政党たる民主党が勝利しました。
将来的に、政権奪還を目指す日本の自民党も 来年の参議院選バラマキ政策で対抗する模様です。
日本国民は 将来の増税たる国債増発でも、 今年の各家庭の懐が暖まる政策に目を奪われて投票しています。
2大政党制で お互いに政権をとるためには 
「選挙で 赤字削減」 という政策が 「公約の筆頭」になるのか、
よくわからず、質問させていただきました。

英国でも 選挙民は 赤字削減より 福祉等でばら撒いてくれる政党を選ばないのでしょうか?




いうまでもなく、日本の政党のバラマキ政策はいつか限界に達して破綻するわけです。
そして、私自身も 日本のバラマキ政策に不安はあります。
しかし、日本の選挙ではバラマキ政党が ”多数の国民”から選ばれてしまっているのが現状です。
[ 2009/12/27 22:05 ] [ 編集 ]
saruさん
今日わ!早速のコメント、質問 ありがとうございます。

私が英国民を過信しすぎているのかもしれませんが、英国が直面している財政危機は 知らない振りをし続ければ避けて通れるのではないか?という一般常識的限界を超えています。

もちろん どの国の国民も ばらまき政権には魅力を感じます。英国も同様で それ故に 1997年に 政権は (保守党から)労働党へと交代したのでしょう。

どの政党も 出来れば 増税を選挙公約の筆頭に上げるよりも 医療、教育、福祉の充実を餌に選挙民を釣りたい気持ちは やまやまだと思います。しかし 現在の英国の財政状態は それを許しません。

野党である保守党は 既に 一部の増税内容を公表していますし 歳出削減を声高に叫んでおりますが 彼等の支持率は 下がりません。

金融機関救済にかかった資金は 現在までに 8,500億ポンド。これは 世帯当たり ナント 40,000ポンドです。英平均賃金が 30,000ポンド以下である事を考えれば 英国が置かれている現状は 非常事態である事は 誰の目から見ても明らかです。経常/財政赤字がここまで極端なレベルにいる限り GDPにもネガティブに働きます。たぶん 英国民も その場しのぎの福祉よりも 英経済の回復を 痛切に望んでいると思われます。その為には 一時的な増税は 避けて通れない事も 十分に理解しているのではないか?と 思います (思いたいです)
[ 2009/12/28 05:14 ] [ 編集 ]
勉強になります。イギリスは金融立国ではないですか。ポンド下落は大打撃ではないですか。
[ 2009/12/28 10:54 ] [ 編集 ]
N20さん、早速の返答ありがとうございます。

>野党である保守党は 増税内容を公表
>彼等の支持率は 下がりません
なるほど。

勉強になりました。
お礼申し上げます。

[ 2009/12/28 20:42 ] [ 編集 ]
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[ 2009/12/29 01:17 ] [ 編集 ]
匿名さん
今日わ!
匿名さんが仰るように 英国は金融大国ですが ポンド下落は 少なくとも 英国民にとっては好材料として捕らえています。
英国最大の貿易相手が欧州大陸である事から 特にユーロに対するポンド下落は英経済にとって 好影響となっています
もし ポンド下落が もっと穏やかなものであったら 英GDP マイナス幅は 更に悪化していた筈ですから
[ 2009/12/29 01:53 ] [ 編集 ]
saruさん
日本人と英国人を比べてみると 学歴的には 絶対 日本の方が上だと思います。しかし 英国人には あるけれど、日本人に欠けているものの ひとつとして 「危機感」が あるのでは ないかな?と思うんです。ここでいう危機感とは テロに対する危機感というレベルから もっともっと規模の小さい危機感まで 様々です。

こちらでは 早ければ16歳、遅くても大学進学の18/19歳からは 親の庇護から逃れ 一人で生活を余儀なくされます。そして それが 全く当たり前となっています。それに比べ 日本では (もちろん 大学進学で親元を離れる子供達は多いですが)結婚までは 親と同居という生活スタイルが定着している と言っても過言では ないと思います。
たぶん そんなこんなで 英国にいると 若い頃から「自分を守る」技術、「いざ という状況を見極める力」を養わないと いけない状況に おかれてしまうんでしょうね。
そんな生活を続けていくうちに 大小を問わず 危機感というものが自然と身につくのかもしれません。そして その危機感を見分ける力が 個人という小さいものから 国家という大きな枠組みまで 拡大していくのかもしれません (私も 正直 よく分かっていませんが 汗)
[ 2009/12/29 02:02 ] [ 編集 ]
秘信の方へ
今晩わ~!明日から連休ですか?
日本は これから年末/年始ですから 忙しい事と思います。無理しないで 下さいね!私へのメールなんて 来年のいつでも 結構ですので どうぞ ごゆっくり休養されて下さい (と言っても きっと 忙しくしているのだろうと 思いますが 笑)
もし 今年 もう お話し出来なければ

来年も よろしくお願い致します!v-352
[ 2009/12/29 02:07 ] [ 編集 ]
N20さんへ
N20さんへ

>危機感
う~ん。
確かにないかも。

>親と同居という生活スタイルが定着
最近では年老いた親は 年金という安定収入があり、
若い子供たちは失業やニートゆえに収入が不安定です。

ちなみにアンケートでは
「結婚は個人の自由だから結婚してもしなくてもどちらでもいい」と答える人が
 70%」
「結婚しても必ずしも子供を持つ必要がない」との問いには
 42.8%」

http://www.ohmae.biz/koblog/viewpoint/1446.php

今後の日本の人口は増えそうにないです。
気がついていないだけで 危機はちかいのかも



[ 2009/12/31 10:35 ] [ 編集 ]
saruさん
あけまして おめでとうございます。今年も よろしく!

私の従兄弟や友人で 独身のままで生活している人達が かなり います。確かに 結婚は個人の自由なので結婚しようが独身でいようが 全く 自由なのですが、結婚しないなら 自分で住む場所を確保し 自分の生活費稼ぎ 一人前の人間として独立しろよ!というのが 私の言い分です(笑) 人間だけですよね、親と同居なんて 甘えた事 言ってられるのは....
[ 2010/01/03 08:25 ] [ 編集 ]
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プロフィール

N20   (松崎美子)

Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

口座残高ゼロ経験あり

セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
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