ドバイの次は ギリシャ...

という雰囲気が マーケットに漂っていましたが とうとう本日 格付け会社フィッチが ギリシャ国債の格付けを引き下げました。ドバイ・ワールドという政府持ち株会社のデフォルト懸念が ギリシャ国家が発行体である国債の格付け引き下げにまで飛び火

したという訳です。
まぁ そうは言っても ギリシャをはじめとするユーロ加盟国弱体連盟「PIGS」と 欧州国債ベンチマークである独国債とのイールド差拡大報道は 2008年暮れから今春にかけて既にされていましたので ある意味 「またか!」

というイメージを私は持ちましたが....念の為に これに関する過去記事
ユーロの将来 と
ペール元総裁発言 の 記事を貼っておきます
今春 PIGS問題が発生した時 欧州首脳達は口をそろえて「ユーロ加盟国で何か問題が生じたら 欧州は必ず(救済の)行動を起こす」

的内容の発言を繰り返し 火消し役に廻っていました。しかし ここで 注意したい点は、こういう発言が繰り返されたにも関わらず EUは 救済関連特別条約 というものを作成していません。正式な条約作成は無理としても マーストリヒト条約に特別箇条を設けるとか そういう法的措置を 全く 取っていません。ただ単に 「口をはさんだだけで 行動は伴っていない」のです。しかし 世界の投資家は その「口だけの公約」に安心

し PIGS攻撃の手を緩めました。
しかし ドバイ・ショックをきっかけに また PIGS攻撃開始

です。果たして 今回も 今春のように EUのお偉方が 「まぁ 心配するな。俺達に任せておけ」

という懐の深い救いの手を差し伸べてくれるのでしょうか?
個人的には 今春に最初のPIGS問題が発生した時から思っていた事が 2つあります
1)ユーロ圏 及び 他のEU加盟国におけるマクロ経済政策は、政府の債務残高や財政赤字などに関する指標を設定する「安定成長協定」(Stability and Growth Pact = SGP)によって調整されることになっています。財政赤字に関しては GDPの3%以下に抑えることが義務付けられている筈ですが この協定は 名存実亡化してしまったという事なのでしょうか?
2)ユーロ加盟国のデフォルトが現実となった場合

EU権威を脅かす危険性が高いです。だから そうなる前に救済しようという気持ちは理解出来ますが、それをやってしまうと ユーロ加盟各国の財政規律って 一体 何なんだろう?という素朴な疑問

が湧いて来ます。どうせ 親方(EU)が助けてくれるんだから 今のうち どんどん予算増やしちゃおう!みたいな行動に走らないとも限りません。
先週のFT紙の記事によると、ギリシャの財政赤字は 現在 GDP対比 12.7%。ドイツ銀行が最近出したレポートによると 同国の公的債務残高は GDP対比 135%。ギリシャは ユーロ使用国なので 自国通貨切り下げによる競争力強化の手段は絶たれていますが、同時に ユーロ加盟国だからこそ デフォルトせずに 現在まで生き残ってこれた

とも言えるようです。
ギリシャ政府が作成した2010年度予算案原案によると 来年度は財政赤字を GDP対比9.1%まで削減するそうですが、財源が これまた 笑えます。脱税を徹底的に阻止し その税収入を赤字削減の財源とする というもの。これを知ったEU委員会と欧州財務相達

が ギリシャ政府に対し 年金改革も含めた確固たる赤字削減対策を練るよう 要請した模様。同時に ギリシャ中銀総裁は 政府に対し 赤字削減の7割を 歳出削減より捻出するよう提言したようです
1)で紹介した安定成長協定ですが 2006年から加盟が開始された東欧諸国の為に 2005年に一部 財政規律が緩和されました。その内容として 上記の財政赤字規律の条件を超えても、「小幅かつ一時的な場合に限り」 経済成長がマイナスであれば 過剰財政赤字とはみなされないことになりました。それに加え 不況期で急激な収支改善が難しい場合

や、累積債務の額が低くて 財政の「持続可能性」が高い場合は、赤字縮小を達成するまで一定の猶予を与えることも盛り込んだようです。
欧州委員会は EU財務相達の承認がなくても 財政赤字幅が3% / 公的債務残高が 60% を越えそうな国に対し 早期警告

を行うことができるとするなど、過剰赤字に陥らないための予防措置も強化されています。しかし それでも 赤字が全く減らない国に対して 安定成長協定では 罰金を課す制度があります。もっと詳しく言いますと 財政赤字に対する罰金は GDP比 0.5%を上限、公的債務残高に対する罰金は GDP比 2% に値する金額を EUに預託。その2年後になっても 赤字が解消されていなければ、罰金は没収されます。罰金制度を 特定国に課すかの判断は 加盟国全体の 3分の2の賛成票を持って 最終決定となります
万が一 ギリシャに対し この罰金が課されたら 同国の財政状態は もっともっと苦しくなります
もし ギリシャが 格下げだけではなく 本当にデフォルトという状態に迫った場合 どういう形にせよ EUが救済するとなると 加盟国間で 相当のモラルハザードを招く危険性があります。それを避ける為にも 欧州委員会は IMFに 救済役を押し付ける事になりそうです
ps ダーリング財務相のPBRを全く聞かずに この記事を書いてました

。これから PBRの内容を調べます

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