今 衛生歯科から帰ってきましたが、歯医者さんの待合室でも話題になった今朝の各紙一面

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* メイ首相 野党の協力を仰ぐ6月26日付けの上田ハーローFXさんの 【視るブログ】 でお話しさせていただいた内容とかなりかぶります。
メイ首相は6月8日の総選挙で過半数議席を獲得できなかったことを受け、党内で孤立無援状態。保守党内部の声を伝えるだけの「人形化」していました。
しかし、今朝の朝刊を見ると、メイさんも最後の賭け

に出たようで、事もあろうに野党:労働党に、協力を要請したようです
*今週木曜日からが、最初のハードル今年3月29日、
メイ首相は、EU基本条約50条を行使し Brexitに向けたEUとの2年間の交渉がスタートしました。
この翌日 (3月30日)、同じくメイ首相は、EU法と欧州司法裁判所を英国法より上位に置く欧州共同体法を廃止し、既存のEU関連国内法の内容をすべて英国法に置き換える「Great Repeal Bill (大廃止法案)」の概要を発表しました。
私は、今年3月に日本に一時帰国した際に行なったWEBセミナーで、これについて説明しましたが、その時には、「Great Repeal Bill (欧州共同体加盟法撤退)」という言い方をさせていただきました。
このGreat Repeal Billについて、今週木曜日から議会での審議に向けたリーディングが行なわれます。本格的な審議に入るのは、夏休み後になりますが、既に政治家たちが水面下で動きはじめており、「形だけのお人形さんのメイ首相」がこの審議を乗り切れるのか? 正直 自信はありません。そして、それをわかっているメイ首相は、木曜日のリーディングの前に、野党に協力を申し出たという訳です。
*Great Repeal Bill とは 何か?結構 面倒くさい内容なので、疲れてる方は、明日にでもゆっくり読んでください。
英国は、1973年にEC(欧州共同体)に加盟しましたが、当時のEUは
・欧州経済共同体 (EEC)
・欧州原子力共同体 (EAEC)
・欧州石炭鉄鋼共同体 (ECSC)
の3つの共同体から構成されていました。これら3つの共同体の法律をまとめて 「1972年欧州共同体法」 と呼んでいます。
当然ですが、英国が加盟した時、英議会はこの共同体法案を採択しました。
英国がEUを離脱すると決まってから、与党:保守党のメイ首相は、 「1972年欧州共同体法」を破棄するために、Great Repeal Billを適用し、現存するEU法を英国法に置き換えることを最優先しました。
注: Great Repeal Bill の 「Repeal」 は、破棄/廃止 という意味です。ここからが最も複雑で理解が難しいところなのですが、
「Great Repeal Bill とは、単純にEU法を破棄して、既存の英国法を採用するのではなく、イギリスがEUと取り結んだEU法を、一旦全て受け入れる
これを英国法と定める
司法管轄権を欧州司法裁判所から英国最高裁判所へ移す
これが完了したら、受け入れた英国法の中で、議会が不要と考える個別の法律を、廃棄/修正 あるいは、そのまま継続するか、決める」もう聞いているだけで、どうしてここまで問題を複雑にしないといけないのか、私にはまだよく理解できません

私の理解が間違っていなければ、英国政府が絶対に譲りたくない点は、【英国最高裁 > 欧州司法裁】 です。どうして、そこに拘るのか?と言えば、英国法とEU法を同一のものと見なせば、欧州司法裁の権限が無力となり、英国最高裁が司法の管轄権を握ります。
そうなれば、EUに進出する英国籍の企業や、英国を欧州拠点として活動する多国籍企業の業務を円滑に進められるからではないでしょうか?
当然、話しが相当複雑で、法律の専門家からみれば、まだまだ他の解釈が出来ることは間違いありません。そのため、この問題については、所属政党に関係なく、数々の意見/代案があります。
現在のメイ首相はそれでなくても、飾り人形のような立場であるのに、よりによって一番難しいこの問題

を議会で審議するため、党を超え、野党:労働党にも協力を請うという塩梅のようです。