私は 普段 全くTVを見ません。その代わり 週末に その週のTV番組を調べ 興味のあるものを録画、週末に まとめて見ます。この週末 BBCが 今週4日間連続で 不動産関連番組を放映するのを知りました。数年前までは 連日 不動産関連番組で賑わっていましたが この1年くらいは 「クレジットクランチとは?」とか そういうものばかりで 不動産関連番組はゼロ。そんなところに 突然 4日連続プログラムなので どういう内容なのか興味を持ち 早速 録画をセットしましたが 週末まで 待ちきれずに BBCウェブサイトで 2話を 先ほど 観てみました。
2007年夏のサブプライム以来 現在までに 英国の不動産価格は 平均25%下落。地域別に見ますと 北アイルランドが最大、ウェールズが最小です。BBCウェブサイトに 「不動産価格が もう 底を打ったと思うか、否か?」 というアンケートがあり 誰でも一票を投じられます。現在までの結果を見た所
1)圧倒的に 「まだ 底を打っていない」と思う視聴者が多い
2)票を投じた人達は 大多数が都市部の人達 = 票を投じた人達の中で 不動産購入を投資目的で行っている人の占める確立が高いのかな?
このウェブ上のものとは別に BBCが街頭アンケート 「住宅価格は ここから どちらに動いて欲しいか?」 をしたのですが その結果は 面白いものとなりました。
上がって欲しい 32%、下がって欲しい 30%、現在のレベルに留まって欲しい 34%
上がって欲しい は 既に住宅を保有しているので その価値が上がって欲しい という人達 (30歳代以上)
下がって欲しい は これから住宅を購入しようとしている人達 (18歳~30歳未満)
私は 下がって欲しい人達が ここまで たくさんいるとは 思わなかったので 住宅購入予備軍が いかに多いのか痛感した次第です
番組の中では 家というものを いろいろな角度から見た人達が 登場しています。
1)離婚組10年近く前に結婚、その後 住宅を購入。数年前に離婚を決意。その時 家を売りに出したが クレジット・クランチの時期と重なり 売れない状態のまま 既に2年経った。家が売れない限り 夫婦のどちらも 新しい住処が買えない為 同じ屋根の下に住んでいる。全く 口も利かず 食事も別々。現在は 夫婦どちらにも 他のパートナーが いないので どうにか やっているが、今後 どちらかに パートナーが出来た場合 どうなるか、考えるだけで 憂鬱になる。この夫婦のストレス 画面から感じましたよ、物凄く....
2)恋人組一緒の住みたい恋人達。しかし どちらも 自分の家を持っているので まず それを売り それらの資金を合計して 一軒の家を買う以外 方法がない。既に 18ヶ月 待ったが どちらの家も売れない。今年の10月に結婚する予定だが 果たして 結婚しても別居のままか?

(現在住んでいる家は どちらも 2人住むには 小さすぎるようです)
3)転勤組2007年不動産価格が天井を打つ直前に家を購入、嬉しさ

も束の間 すぐに 転勤命令が出ました

自宅は賃貸に出し 自分は 転勤先で賃貸生活。しかし 自宅には賃貸者が入らず 全く誰も住んでいない家の住宅ローンを払い 同時に 自分の転勤先の賃貸も払う。挙句の果てに 住宅価格が下がった為 自宅の価値は 既に約30%下落、その額が 住宅ローン借り入れ額以下と なってしまい ネガティブ・エクイティ状態で 八方塞り
4)離婚組1)と同様 離婚組なのですが このご夫婦には 小さいお子さんがいます。3)の人同様 マーケットが天井に近い時に 自宅を購入した為 ネガティブ・エクイティー。1)同様 別れた旦那さんと同じ屋根の下に住んでいたのですが もう 限界

に達し 話し合いの結果 まず最初に 旦那さんが家を出ました。残された奥さんは どんな価格でも構わないので とにかく 家を売り 新しい人生を と考えたのですが どんなに家の価格を下げても 売れない。最後に取った手段は その家を競売にかける事でした。競売ですから 売れたら 1ヶ月後に入金されますが、希望売却価格の半分とかでしか 売れない可能性があります。彼女の希望売却価格は 9万5,000ポンドくらいだったと記憶していますが 最終的には 5万6,000ポンドだったかな? 彼女は それを知って号泣

していましたが そのお金を 元の旦那さんと半々にして 住宅ローンの差額分の負債を負いつつも 新しい人生を歩む と 語っていました
5)老夫婦60歳中盤のご夫婦。年金を受け取る年齢になったが 受け取れる年金額が 自分達の予想の6割でしかなかった事が発覚。生活レベルを維持する為に 2年前 自宅を売却し 英国中部に ベッド&ブレックファースト (B&B)用の自宅を購入。しかし 2年たった今 B&Bをやっても 生活は 楽にならない。それだったら 今の仕事を辞めて 元いた場所に帰ろうと思ったそうです。しかし 現在の家の価値は 2年前と比べ 13万ポンドも下落。それでも 構わないと決断して 不動産屋さんに売却要望を出しているが 全く 売れる見込みなし
6)にわか住宅投資家の男性住宅価格が天井を打った2年前 自宅を売却。約50万ポンドの利益を得

、それを元手にして 住宅ローンを組み 投資用賃貸住宅を 3件だったかな?購入。3件とも 賃貸者は見つかり 万事順調

の予定だったのですが そのうちの2件の賃貸者が 賃貸料を支払わなくなったそうです。最後は裁判になり やっと その人達は立ち退いて行ったそうですが 未払いの賃貸料は貰えず 裁判代も この男性が払ったのでしょうかね。賃貸収入がないので 住宅ローン支払いも出来ない。最終的に賃貸用3件とも売りに出したそうです。しかし 全く 売れない。3件とも 住宅ローンは ネガティブ・エクイティ

これ以上 賃貸用住宅のローン支払いが滞る場合は この男性が現在住んでいる自宅が抵当として取られる危険性がある模様
7)シングル・マザー投資家10年くらい前に 2万2,000ポンドの給料を貰っていたシングル・マザー。離婚後 自宅を売却し 手元に残った資金を頭金にして 賃貸用住宅を取得。その当時は 住宅ブームであった事もあり 賃貸住宅を売り 7万ポンドの利益を得る。それを元手に 住宅ローンを組み 3件の家を買い 賃貸へ。その後 ドンドン ポートフォリオを増やし 現在は 50件以上の賃貸物件を持っているそうです。しかし 賃貸者がいない空き家が多く 2年前に購入した住宅は 銀行の貸し渋りにより 改装資金が借り入れられず そのままの状態で放ってあるようです。現在 住宅ローン残高は 7、500,000ポンド

と 凄い額。でも彼女は どうにかなると楽観。 TVのコメンテイターは 彼女の神経が理解出来ない

とこぼしていましたが 自己破産への道 まっしぐら みたいです
どうして 22,000ポンドの給料しか貰っていない人が 7,500,000ポンドという巨額の住宅ローン残高を持つまでになったのかは
この過去記事をお読み下さい
まだまだ たくさん いろいろな人が出ていました。住宅 というものに関わる人生 いろいろあるんだなぁ とも思いました。
随分と回り道をしてしまいましたが この記事のタイトル通り 本日 英タイムス紙に
”クレジット クランチの終焉” という記事が出ております。某フランス系銀行が同様のレポートを出したようなのですが 新聞によりますと その根拠は Liborレートの下落★だそうです。
★LIBORとは「London Inter-Bank Offered Rate」の略で、ロンドン銀行間取引金利のこと。ロンドン市場で、資金を貸し出す側が提示するレートで、金融機関が資金調達をするときの基準金利です。ロンドン時間午前11時時点の、特定銀行のオファードレートを、英国銀行協会(BBA)が集計して平均値を 毎営業日 公表しています。特に6か月物は短期金利の指標として使われることが多い。

このチャートをご覧になると分かりますが クレジットクランチ発生当時 6%以上だったポンドLiborが 現在は 1.50%割れの水準まで下がって来ている

つまり 銀行間の資金取引は 通常に戻ったとみなしても よかろう という事でしょう。
私は このレポートを読んでませんので 分かりませんが、銀行間資金取引は さておいて、英住宅市場に於ける影響は 思うほど大きくないのでは ないか?と思っています。その理由として 私は 雇用調整が まだ 終わっていない点を挙げたいと思います。日本では ニュースになっているか分かりませんが 英最大手のBritish テレコム (BT)が 今年、来年にかけ 3万人の従業員解雇をすると 発表しています。BTの総従業員数は 現在 147,000人ですので 5人に1人が解雇という事になります。
本日も大手薬局であるBootsが 1,700名の人員削減を発表。ロイズ銀行は 既に発表している人員削減を更に上乗せするとも発表。
誤解のないように書き加えますが、銀行間資金繰りが正常化すれば 英金融機関による住宅ローンの貸し出しも盛んになりますので 住宅市場が活性化するのは当然でしょう。しかし 私が言いたかったのは 雇用不安が払拭されないまでは 不動産投資家以外の<本当に家を買いたい人達>が二の足を踏んでしまうのではないか?それに加え 英国の不動産は 非居住者による売買が非常に盛んです。一体 他の国では クレジットクランチが 終焉する気配が どの程度 あるのでしょうか?そこらへんのところも あわせて まだ 本格的回復には 時期尚早である と 申し上げたかった次第です。
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