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BIS 四半期レポート

BISレポートによると、世界の金融機関の外貨建て債権残高は、2000年末の11兆ドルから2007年半ばには 31兆ドルへと大幅に膨らみ、年率で30%の上昇率を見せました。過去  平均10%だった債権残高が 2001年以降 急激に上昇した理由として ヘッジファンド業界の顕著な成長、ストラクチャード・ファイナンス業界の出現、商業銀行と投資銀行を兼ね備えるユニバーサル・バンキングや自己ポジション取引の拡大などと期を同じくすると分析しています。

ここで見落としてはならない点は 2つ
1) これら外貨建て債権の伸びが 特に大きかったのは 欧州系金融機関
2) その中でも ドルの需要が飛びぬけて大きかった事

2007年半ばの時点で 欧州系金融機関によるドル建て投資総額 と 資金調達可能額 の差 (Funding gap 資金不足)は 1兆1,000億~3,000億ドルにも上り これらの資金不足は インターバンク貸し借り、中央銀行による資金供給、通貨スワップを通して行なわれていました。

しかし 昨年夏のサブ・プライム危機に端を発した世界規模の金融危機が起こって以来 インターバンク市場での資金の出し手となる銀行が いなくなった為、欧州系金融機関は 手持ちのドル建て債権売却に動いたようです。しかし その直後の昨年9月に リーマンブラザーズが倒産して以来 買い手不在相場となり 債権売却を断念し ドル資金のロールオーバー(借り換え)時期が来たら 短期市場や通貨スワップを使って不足分のドルを引っ張って来る自転車操業をしており 今後の懸念材料となりかねない様子。その先手を打つように 2007年末から FED、ECBが ドル建てスワップによる資金供給を開始し リーマン倒産後の昨年10月には この動きが BoE、SNBへと拡大しました。

*英国系金融機関
8,000億ポンドを市場から借り入れ調達、それをドル、ユーロ、その他の通貨建て債権のロールオーバー(借り換え)に宛てている。2007年半ば時点でのドル・ロングポジション残高 (ロールオーバーが必要な金額)は 3,000億ドル

*ドイツ系 と スイス系 金融機関
2007年半ば時点でのドル・ロングポジション残高 (ロールオーバーが必要な金額) は それぞれ 3,000億ドルづつ

*オランダ系金融機関
2007年半ば時点でのドル・ロングポジション残高 (ロールオーバーが必要な金額) は 1,500億ドル

世界にある金融機関全体のドル・ロングポジション残高総額は 2兆ドルと推定されます

上でも書きましたが 今後 ドル資金のロールオーバーが 何かのきっかけで不可能となった場合 損失覚悟の 既存ドル債権の前倒し売却(売れればの話し)が強制実行されますので ますます 金融機関のバランスシートは 悪くなります

ただでさえ 欧州系金融機関は 東欧貸し出しで痛んでいるのに この話しは 傷口に塩を塗るようなものですね

これらの金融機関が ドル建て債権売却に動かない以上 ロールオーバーする度に ドル買いが発生するかもしれません。または 米国で また 何か悪い話しが出たら また ドル買い相場になるかもしれません。なんと言っても このBISレポートを読むまで 私達が全く知りもしなかった理由で ドル需要が増えていたのですから....... こうなってくると ドル安相場到来には時間がかかるのでしょうかね...... 

今 思うと 金融危機がどんどん悪化しているにも関わらず どうして ドルが買われるのか 全く理解出来なかったのですが これで 理解出来ました。

最後になりましたが BIS四半期レポートをお読みになりたい方は こちらのリンクをクリックして下さい。

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[ 2009/03/05 23:10 ] マーケット | TB(0) | CM(4)
なるほど・・・
大変参考になりました。
実際の数字を見ますと、ますます不安になりますね。底なし沼に足を突っ込んでしまったようです。先ずは米国が自国の再建だけに留まらず、他へ波及させたことに責任をもって全力を尽くしてほしいですね。そしてそれに乗じた諸々も、他に責任転嫁することなく誠実に政策を練ってほしいと思います。
ところでEBSのシステム障害とかで大荒れだったようですね。ひょっとして操作したのではないかと勘ぐってしまいますが、ドル売りの引き金になったようです。でも調整の域を出ないものなのでしょう。英国は利下げの余地もなくなり、今後は非伝統的政策手段に依るものとなるのでしょうね。BOEの景気見通しでも極めてダウンサイドリスクが大きいとの判断が示されており、景気の低迷も長期化する模様。戻りは、また売られるのでしょう。ドルは、ますます強くなるということでしょうか・・・昨年来、米当局からドル安懸念の声が聞かれましたが、オバマ新政権では、しばらくドル高政策を推進しようというのでしょうか。
[ 2009/03/06 04:37 ] [ 編集 ]
ハニーさん
今日わ!御無沙汰です。

このレポートを読んでやっと 最近のドルインデックス上昇の背景が見えたような気がしました。東欧問題が出て以来 ユーロが売られるのは納得出来たのですが ドルスイスの動きやドル円を見ていると どうも スッキリしなかったんです.....

米国は自国内の始末で精一杯に見えます。今日も ロシアの誰かが アメリカは終った という内容の講演だか論文だかを出したみたいです。ロシアも他の国に対して言及出来る立場ではないですけどね(笑)

EBSは 稀に おかしくなる事がありますね。作為的かどうかは 正直 私には分かりませんが 私がまだ働いていた頃にも こういう事は あったと記憶しています
[ 2009/03/06 19:07 ] [ 編集 ]
いつもヒントになっています。ありがとう。
ユーロ崩壊の可能性の記事は想像力が凄いなあとおもいました。だれかの記事をみてコピーすることは簡単ですが、あのような展開を想像するというのは立派なこととおもい感服いたしております。
 そこで、おねらいがあります。

昨今さわがれている新ドル切り替えが怖いです。
counterparty riskをなくすために金現物を手許のおいておけば安心なのでしょうが、
そうもできません、HSBC paper gold やSPDR-GOLD ETF も所詮はドル建て資産なので新ドル切り替えが起きた時、上記の資産は新ドル切り替えと同時に価値が急落するとみるべきでしょうか?

今のドルと新ドルとの関係はどのようになるか予想できますでしょうか?

凄い質問でごめんなさい。
もし思いつくことがあれば教えてくださいませんか?

あうん
[ 2009/03/09 20:02 ] [ 編集 ]
あうんさん
ブログ訪問ありがとうございます

私の勉強不足ですが 新ドル切り替えって そんな大問題になっているのですか?私 そういう記事を読んだ事も ニュースで聞いたこともありません v-13

最近 ドル紙幣が新しくなった という事とは 全く 話しが違って、旧ドルと新ドルの交換比率が どのようになるか という話しですよね?

もし 読み物のリンクをお持ちでしたら 貼って頂けますか?宜しく!
[ 2009/03/10 21:42 ] [ 編集 ]
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プロフィール

N20   (松崎美子)

Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

口座残高ゼロ経験あり

セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
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