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ドイツに於けるユーロの生みの親:ペール元連銀総裁の発言

重債務国に対する対応を巡り ここ数ヶ月 ユーロ加盟国重量級クラスの方々の発言が続いています。現職の中銀総裁やEU高官の発言は もちろんですが 「昔の名前で出ています」的過去の方々の発言も出始めて来ました。今週に入って 私の目を引いたのは 泣く子も黙るドイツ連銀の 元総裁ペール博士発言でした。今週 ロンドンにあるLSEで講演をし ついでにと言っては何ですが Skyニュースのインタビューも受けられました。発言内容は既に日本でも報道されていると思いますが (記事にするのが遅くて ごめんなさい) 一応 書いておきますね

*重債務国、特にアイルランドやギリシャ、は デフォルトの危険性がある
*重債務国がユーロから離脱した場合のコストは非常に高くつく
*離脱した国は 市場の信認を失い その結果として 為替相場は50-60%下落し 同時に 金利は糸が切れた凧のように上昇する可能性がある
*EU債権国による債務国への援助は パンドラの箱を開ける事になる
*世界的規模のリセッションにより ドルの基軸通貨としての価値は下がる
*その結果として ドルはプレッシャーを受ける事になる

ユーロ加盟条件のひとつに ”財政赤字のGDP比3%以下”というものがあるのは 皆さんも御存知でしょうが 欧州委員会の予想によると 今年度の財政赤字GDP比率は アイルランド 11%、スペイン 6.2%、 イタリア 3.8%、 ギリシャ 3.7%、ドイツ 2.9%となり アイルランドの財政状態の悪さは 目を引くものがあります

ペール元総裁は 1993年に出来たマーストリヒト条約の土台を作ったメンバーの一人で 当然 ユーロ誕生に相当寄与した方です。その方が このような否定的な発言をされた事に 私は驚いたという訳なんですよ。ペール元総裁は デフォルトの危険性があるのは 今のところ 加盟国内の小国であるから IMFが救済の手助けを出来る筈だと発言しているのですが、ユーロ圏加盟諸国がIMFに支援を要請することを余儀なくされる事態は避けるべきだという考え方が EU加盟国の優勢を占めており 同じドイツ政府高官も「ユーロ加盟国がユーロ圏内で支援が受けられず、国際機関に頼らざるを得なくなる状況は受け入れがたい」という見解を示しています。

どうして IMFをはじめとする国際機関による救済に対する見方が 違うかと言うと たぶん これは マーストリヒト条約に書かれている金融支援の禁止条項 (103条)と 例外的措置 (100条)のどちらを優先するかによるのかもしれません。

マーストリヒト条約: 共同体及び公共機関への金融支援の禁止(103条)
The Community shall not be liable for or assume the commitments of central governments, regional, local or other public authorities, other bodies governed by public law, or public undertakings of any Member State, without prejudice to mutual financial guarantees for the joint execution of a specific project. A Member State shall not be liable for or assume the commitments of central governments, regional, local or other public authorities, other bodies governed by public law, or public undertakings of another Member State, without prejudice to mutual financial guarantees for the joint execution of a specific project.

例外的措置 (100条 (2))
Where a Member State is in difficulties or is seriously threatened with severe difficulties caused by natural disasters or exceptional occurrences beyond its control, the Council, acting by a qualified majority on a proposal from the Commission, may grant, under certain conditions, Community financial assistance to the Member State concerned. The President of the Council shall inform the European Parliament of the decision taken.

今回の世界的金融危機は 100条(2)で書かれている exceptional occurrences beyond its control そのものだと 私は思うのですが、そもそも この条約を作成する際に どうして こういう紛らわしい相反する内容の条項を 作ったのか その真意が分かりません。たぶん ペール元総裁は 103条の禁止条項に則り 重債務国の救済はIMFに任せる内容の発言をし、それ以外の人は 100条(2)を想定して 発言していると理解するしか ないですね、こりゃ
  
私も 以前 ここのブログに記事を書いていますが (記事 その1記事 その2) ユーロ加盟国全体が共同で発行する<ユーロ債>案に関しては ドイツだけでなく 今週に入り フランスも反対を表明しました。

EU緊急会議だ なんだかんだと次々 開催されてますが 結局のところ 重債務国救済手段の合意は なされていません。ペール元総裁は パンドラの箱を開ける事になると発言されてますが 同じドイツのウェーバー独連銀総裁は、ユーロ圏内で困難な状況に陥った国を支援する必要が生じる可能性があると発言してます。ひとつの国の中でも意見が別れ別れ状態ですから EUで全会一致の救済策が練られるには 眩暈がするほどの時間と 各加盟国による大幅な妥協が必要だと言う事は ここからも分かります。

最後になりましたが 次回のECB金融政策理事会に関してですが ブルーンバーグが行なったエコノミストへのアンケートによりますと 78名全員が 0.50%利下げという見方をしたそうです。

あと 昨日ですが ウェーバー独連銀総裁が ECB政策金利は1%より低くなってはいけない と発言しています。

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[ 2009/02/27 03:39 ] 経済 | TB(0) | CM(0)
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Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

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