この週末に『中央銀行の銀行』という異名を持つBIS (国際決済銀行)が年次総会を開催しました。黒田日銀総裁も当然ご出席されていらっしゃいますが、その席でBISはかなり強烈な

メッセージを流しています。
これに関しては日本で日経新聞が6行くらいの非常に短い報道をしているだけですが、海外のメディアでは既にTVでも報道されています。
*BIS年次総会での報告書年次総会でまとめらえた報告書の中で、BISは以下の内容について警告

を発しています。
・中央銀行は物価の安定の維持に一層の努力をすべき
・中央銀行に景気浮揚の役割を押し付けるのは、やめるべき

・景気浮揚は政府の役割

・生産性の向上は雇用市場改革などを通して行う
・世界規模の経済危機は、最悪期を通り過ぎた

・中銀が今後も景気浮揚目的で超緩和政策を継続したとしても、個人世帯や政府のバランス・シート改善を遅らすだけ
・超緩和政策の継続は、非常に危険な賭けとなる

・中央銀行は政府の財政の安定を保証することは出来ない
・中央銀行は景気回復とその継続に必要な構造改革を達成することは出来ない
・ドラギECB総裁の『ユーロを守るためなら何でもやる!』という発言は誤解を招く恐れがある

・中銀というものが、本当に「なんでもやる!」必要が果たしてあるのか?

・FEDがQE3規模縮小に動くことは、しごく当たり前のことで、マーケットがそれに対して、驚いた反応を見せることじだい、おかしなことだ
*長期金利上昇懸念BISからの年次総会報告書の中で、ひときわ目に付いた

のが、長期金利の上昇による投資家が受ける損失の予想規模でした。
米長期金利(各国の国債10年物利回り)はずっと2.4%より下で推移していましたが、先週のバーナンキ発言以降、上昇し、金曜日終値は2.514%となり、一気に2.4%超え。本日は2.6%台へ一気に上昇(=国債価格急落)

BISは報告書の中で、この長期金利上昇について、強い警告を発しています

「米長期金利があと3%上昇したら...」という前提をつけ、その場合、米国債を保有する投資家達の損失額は1兆ドルを超える

米国だけでこれだけの損失が発生するのですから、欧州各国やイギリス、日本などでも同様の動きになれば、国によっては自国のGDPの15~35%という桁違いの損失

が発生するとも書かれています。
米長期金利金曜日終値が2.514%

それから更に3%上がったら5.5%台となります。そんな高い金利になる訳ないだろう...

と思い、過去のチャートを調べてみたところ、2007年米サブプライム事件が発覚した頃、米長期金利は5%台だったことを発見

しました。

ということは、5%台の長期金利は一度通った道だったのです。
この長期金利上昇傾向が続けば、当然ユーロ債務危機で危ない思いをしたギリシャやスペインだけでなく、イタリアなどの今後の動向からは目が離せなくなり、それがユーロ売りに繋がらないという保証はありません。既に本日月曜日の欧州市場ではスペインの10年物利回りが5%台に乗りました。
*ECB理事会は要注意 


BISはドラギ総裁を名指しで非難しているともとれるため、7月4日のECB理事会、そしてそれに続くドラギ総裁定例記者会見は要注意です。
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いつもタイムリーな情報をありがとうございます。
この報告書を読むと、今まで讃頌してきたドラギさんの発言や黒田さんの方針を、あまり良く
思わない内容なんですね。
世界経済のバランスを考えると・・何てよく解りませんが、興味をそそられる記事です。
hisato