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英国の賃貸収入用住宅購入者の驚異的レバレッジ状態

やったぜユーロ 1.60!祝賀バーティー でも やろうと思っていたのですが、肩透かしな相場展開になってしまい 昨夜は一人でワイン飲んで終わってしまいました。1.60に乗るまで/乗る瞬間/乗った後 と ずっと画面を見ていたのですが あれって 1.60台に誰かいましたね。ニュースを片っ端から調べてみたけど よく分からない。人生を賭けたオプションの防戦売りだけじゃぁ ないと読んだ........

早速ですが 英国の賃貸収入用住宅購入者の驚異的レベレッジ状態を御紹介すると約束しましたので それを本日は書こうと思います。まずは 英国の住宅ローンの簡単な説明として 英国住宅事情 その1英国住宅事情 その2英国住宅事情 その3を 一通り読んで頂くと 助かります

念の為にお断りしておきますが、私はイギリスの住宅ローン専門家ではないので もしかしたら 間違っている部分があるかもしれません。一応 これを書くにあたり 私が頼んでいるファイナンシャル・アドヴァイザーに不明な点を確認しましたので たぶん大丈夫だと思います。

Aさんは 10年前に 20万ポンドで自宅を購入。当時の一般的な住宅ローンは 頭金25%は現金払い、残り75%を住宅ローン借り入れ という形でした。結果として Aさんは 頭金5万ポンドを現金で払い 残高 15万ポンドの住宅ローンを組みました。

10年経った現在 自宅の価値は2倍になりました。Aさんは 新聞で不動産投資で儲けた という記事を何度も目にし 自分でも賃貸用住宅購入を思い立ちました

現在の自宅の価値: 40万ポンド
住宅ローン残高: 15万ポンド
差額:25万ポンド

Aさんは この値上がり益を新規不動産購入用の頭金に当てる為 <Remortgage (借り換え住宅ローン)>を組む事から始めました。Aさんは 10年前に自宅購入時に行なった頭金25%現金、残高75%住宅ローンを今回も使用すると決めていたので 25万ポンド(25%)を頭金にし [75万ポンド(75%)の新規住宅ローンを組み] 総額100万ポンドを新規不動産購入資金として調達しました。25万ポンドのマンションを2つ と 50万ポンドの一軒家を賃貸用に購入。

この時点で Aさんのポートフォリオは
自宅: 時価 40万ポンド
賃貸用住宅: 25万ポンド+25万ポンド+50万ポンド
合計: 140万ポンド


1年後 不動産価格は順調に上昇し 自宅は42万ポンドへ、マンションは それぞれ 27万ポンドへ、一軒家は 53万ポンドへ値上がり。自宅値上がり分 2万ポンド(42-40万ポンド)、マンション値上がり分 4万ポンド(27-25万ポンドx2)、一軒家値上がり分 3万ポンド(53-50万ポンド) 合計9万ポンドの値上がり益が出ました。Aさんは 早速 この9万ポンドを 賃貸用不動産購入に当てる事に決定。前回同様 頭金25%現金、残高75%住宅ローンを今回も使用すると決めていたので 9万ポンド(25%)を頭金にし [27万ポンド(75%)の新規住宅ローンを組み] 総額36万ポンドを新規不動産購入資金として調達し 36万ポンドの一軒家を賃貸用に購入


自宅: 42万ポンド
賃貸用住宅 その1: 27万ポンド+27万ポンド+53万ポンド
賃貸用住宅 その2: 36万ポンド
合計: 185万ポンド


その翌年は 驚異的な不動産ブームが起きました。
自宅は 46万ポンドへ、賃貸用マンション その1は それぞれ 30万ポンドへ、一軒家 その1は 58万ポンドへ、一軒家 その2は 40万ポンドへ それぞれ 値上がりしました。
自宅値上がり分 4万ポンド(46ー42)、賃貸マンション その1 6万ポンド [(30-27)x2]、一軒家 その1 5万ポンド (58-53)、一軒家 その2 4万ポンド (40ー36) 合計 19万ポンドの値上がり益が出ました。

今回は 思い切って 頭金10%現金、残高90%住宅ローンのRemortgageを組む事に決定。つまり 19万ポンド(10%)を頭金にし [171万ポンド(90%)の新規住宅ローンを組み]総額190万ポンドを新規不動産購入資金として調達した訳です。これで 35万ポンドのマンション2件、40万ポンドの一軒家3件 合計5件を賃貸用に購入

自宅: 46万ポンド
賃貸用住宅 その1: 30万ポンド+30万ポンド+58万ポンド
賃貸用住宅 その2: 40万ポンド
賃貸用住宅 その3: 35万ポンド+35万ポンド+40万ポンド+40万ポンド+40万ポンド
合計: 394万ポンド


その翌年も 負けず劣らずの不動産ブームが続いています。
自宅は 50万ポンドへ、賃貸用マンション その1は それぞれ 32万ポンドへ、一軒家 その1は 62万ポンドへ、一軒家 その2は 43万ポンドへ、マンション その3は それぞれ 38万ポンドへ、一軒家 その3 は それぞれ 43万ポンドへ 値上がりしました。
自宅値上がり分 4万ポンド(50ー46)、賃貸マンション その1 4万ポンド [(32-30)x2]、一軒家 その1 4万ポンド (62ー58)、一軒家 その2 3万ポンド (43ー40)、賃貸マンション その3 6万ポンド [(38-35)x2]、一軒家 その3 9万ポンド [(43-40)x3]、合計 30万ポンドの値上がり益が出ました。

次の不動産投資先を選択していた時 新聞に興味深い記事が載っていました。それは 大型マンション建設が始まった時点で 数件のマンションを一括購入し マンション完成と同時に売却し 巨額の富を得た人の話しでした。マンション建築工事が始まった時点のマンション価格は ショールーム完成時の販売価格よりも約20%ほど 安い事に目を付けたようです。同時に 何件か まとめ買いをすれば 更に割引が受けられます。マンション完成時に売却すれば 賃貸先の心配をしなくても 各マンション 20%の利益が転がり込んで来る計算。もし 売れ残れば 賃貸にまわせばよい訳です。

たまたま イギリス8大都市のひとつであるLeeds中心部で 大型マンションが いくつか建つと聞き Aさんは早速 足を運び それぞれの業者と話し合いの機会を持ちました。LeedsマンションXは 完成時の希望販売価格が22万ポンド。Aさんは業者と話し合い 10件まとめて 160万ポンドで購入。LeedsマンションYは 完成時希望販売価格が21万ポンド、10件まとめて 140万ポンドで購入。マンションXもYも 完成までに約1年かかります。今回も前回同様 頭金10%現金、残高90%住宅ローンのRemortgageを組む事に決定。つまり 30万ポンド(10%)を頭金にし [270万ポンド(90%)の新規住宅ローンを組み] 総額300万ポンドを新規不動産購入資金として調達

自宅: 50万ポンド
賃貸用住宅 その1: 32万ポンド+32万ポンド+62万ポンド
賃貸用住宅 その2: 43万ポンド
賃貸用住宅 その3: 38万ポンド+38万ポンド+43万ポンド+43万ポンド+43万ポンド
マンション一括購入: 160万ポンド+140万ポンド
合計: 724万ポンド


わずか4年で Aさんは 700万ポンドを越える不動産ポートフォリオを組み立てました。しかし マンションの完成具合の確認にLeedsに行く度 市中心部に新規マンションがいくつも立ち並び Aさんは 一括購入20件完売出来るか 正直不安になりました。

ニュース・新聞等で アメリカのサブ・プライム不安が報道されたのは その直後でした。Aさんは 正直 サブ・プライムについての知識もなかったし イギリスの不動産市場は大丈夫だろう という根拠のない自信がありました。
そして クリスマスを迎え 新年になりました。Aさんは 700万ポンドを越えるポートフォリオが 今年はどこまで伸ばせるかを考えると胸がワクワクしました。

一括購入時点では マンション完成まで 1年と言われましたが その後 遅延が生じ 最終的に1年3ヶ月かかる事になってしまいましたが 今は 完成まで あと1ヶ月待つのみです。既に ショールームは出来上がっており Aさんは 購入したマンションの販売報告を待つばかりです。しかし 待てど暮せど 何の連絡も来ません。この一括購入用に調達した住宅ローン270万ポンドは 1年以上前から借りてますので ローン支払いだけでも 相当の金額になっています。

運悪く アメリカのサブ・プライムが世界的信用収縮現象を引き起こし その被害が英国の金融市場 そして 不動産市場へと飛び火してきました。ノーザンロックも国有化され 不動産市場が一気に冷え込んでます。Leeds市内のマンション供給過多も手伝い Aさんの買った20件のマンションは 全く売れていません。とうとう Aさんは 270万ポンドの住宅ローン支払いが出来なくなってしまいました。もし ローン支払いが3~6ヶ月以上停滞すると 購入した物件は抵当処分されてしまいます。

Aさんの運命 如何に?

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最後が 

[ 2008/04/23 21:18 ] 経済 | TB(0) | CM(4)
こんにちは。
まさに驚異的レバレッジです。平常心でこんなことが行われるのかと…とこんな感想を持つのは日本人だけなのかしら??
ところで、ゴールドが売られています。ドルに資金は戻りそうです。更に、ユーロドルは日足チャートではウェッジパターンのようでもあります。私は、現在ユーロのショート時期を窺っているところです。
[ 2008/04/24 13:52 ] [ 編集 ]
利食い千人力
怖いくらいのいけいけですね。利食いができないと結局は、すべて失うのは為替も同じですね。肝に銘じておきます
[ 2008/04/25 00:23 ] [ 編集 ]
ハニーさん
コメント ありがとうございます

この<高レバレッジ>投資を1980-90年代に行なった人達は 現在 英国長者番付上位100位以内に入っていますよ(笑)
しかし 2000年代突入以降 無理にこの<高レバレッジ>をやった人達は 悲惨な目にあっているはずです。やはり 本当にお金のなる木を見つけられる人達は 一歩も二歩も先が見え 尚且つ 決断力も備えていらっしゃるようです
[ 2008/04/25 21:51 ] [ 編集 ]
YEN蔵さん
セミナーご苦労様でした。楽しく拝見させて頂きました。利食いは 本当に大事ですね.....欧州通貨をいじくる時は 比較的穏やかな気分でいられるのですが 円関連のポジションをオーバーナイトで引っ張る時 非常に緊張します。朝起きて ”どうして?何 これ?”と愕然とした事が何度もありますから(笑)
これからも ストップ置き場の秘訣等 ございましたら 御教授のほど ヨロシク御願い致します
[ 2008/04/25 21:56 ] [ 編集 ]
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プロフィール

N20   (松崎美子)

Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

口座残高ゼロ経験あり

セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
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