2010年に保守/自民党の連立政権が誕生して以来、あるひとつの決定事がなされました。意外と知られていない’その決定事’というのは
『英国政府からEUへ、今まで以上の/何か新しい/追加の国家権限を委譲しなければならない場合、国民投票の実施を保証する法律』が設定されたことです。これは英語で''referendum lock''と呼ばれています。

言い換えれば、EU加盟国による統合強化が深化され、英国が現在保有している国家主権の一部を譲渡せざるを得ない状況になった場合、又は国家主権の一部を断念しなければならないような事態が起きた場合には、決断をするのは政治家ではなく’’国民がその是非を決定する’’法律です。
これは非常に民主的に聞こえますが、現政権がかかえたアキレス腱

となっていることも事実です。
*保守党議員からの要求ユーロ圏の債務危機がギリシャから大国:スペインやイタリアを直撃

する危険性が浮上したことを受け、先週のEUサミットでは銀行統合を皮切りに、ユーロ圏そしてEU全体の政治的統合強化が加速する可能性が見えてきました。
この動きに大きな難色

を示しているのが、他でもないキャメロン首相率いる保守党です。もともと欧州に対し懐疑的な姿勢を示していた党ですが、先週に入って閣僚も含む100名の保守党議員がキャメロン首相宛てに『一国も早い国民投票実施』を要求した書簡

を送りました。
その内容は 「ユーロ圏危機収束のため、政治・経済統合の深化に向かおうとしているが、これは英国と欧州の関係の変化へと結びつくであろう。果たして英国はこのままEUに残留すべきであろうか?Referendum Lockに基づき、英国のEU残留の是非を国民に問う時期が来たのではないか?」 というもののようです。
しかしその実施時期としては、
現在の連立政権が終了する2015年春までに「国民投票実施の約束」を取り付け、実際に国民投票を行うのは、次期政権(2015年春以降)開始後という提案になっているようです。
*キャメロン首相の返事昨日の
英テレグラフ紙に長いコメントを載せたキャメロン首相。
いまのところ、保守/自民/労働党のいずれも
・早急な国民投票実施を望んでいないこと
・英国はEUの一員であることを望んでいます。
しかしこのキャメロン首相のコメントを読む限り、今すぐ国民投票を実施することには反対

EUが今後実施する統合などの改革を経て、どのような統合体となるか?その姿がはっきりした時点で、英国はEUとの関係の再定義を模索することが賢明である

その場合、英国とEUとの関係が若干変わる可能性も出てくる

形を変えてEU内に残留する選択肢も出てくる
という感じになっています。
昨年秋に『英国のEU離脱に関する国民投票の実施』(関連記事
その1、
その2)の可能性が高まりましたが、最終的には実施されませんでした。
今回の保守党議員によるキャメロン首相への書簡ですが、下院に占める保守党議員の人数は306名

そのうちの100名がこの書簡を送った

つまり3人に1人が国民投票実施を訴えている

計算になります。
今後のユーロ圏を巡る欧州統合の深化のスピードが加速すれば、あと数年以内に英国で国民投票が実施されることは十分に可能となるのかもしれません。
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