昨日から開催されたEUサミットは、ユーロ圏に属さないEU加盟10ヶ国が夜中12時に退席し、それから約5時間に渡りユーロ加盟17ヶ国の間で激論が交されたようです。
「国債利回りを下げる即効薬が決定されない限り、日曜日までサミットを継続するべきだ!」と息巻いていたモンティ伊首相。その言葉通りモンティ首相とラホイ首相は即効薬が決まらない限り「1200億ユーロ規模の成長戦略」の署名を拒否

何も前に進まないので、他の加盟国の譲歩が始まったと言われています。
現在判っている決定内容は
1)今年の年末までに欧州中央銀行(ECB)の関与を得て、ユーロ圏17ヶ国の銀行監督機関を設立する
2)銀行監督機関設立を確認後、欧州安定化メカニズム(ESM)による民間銀行への直接資本注入が可能となる
3)
スペイン向け金融融資の条件に関し、返済優先権を放棄することで合意4)EFSF/ESMによる加盟国(この場合はイタリア・スペイン)の国債購入
利点:・ESMによる民間銀行へ直接資金注入が可能となれば、その支援金はEU加盟各国政府の債務には組み込まれないため、赤字に計上されない処理となり財政再建を実行しやすい環境が整う
・返済優先権が付かないため、民間投資家による加盟国の国債購入の継続が期待される。
欠点:・欧州の恒久的救済措置であるESM(欧州安定化メカニズム)の批准手続きは終了していない。
・ESMから直接資本注入を受けた銀行は、トロイカ調査団による定期的なチェックを受けないという報道(モンティ伊首相)と、チェックを受けるという報道(メルケル独首相)があり、どちらが本当なのか現在は不明
・ESMが加盟国の国債を購入する場合、資金不足に迫る危険性が高い
・ESMへの資金捻出率が一番高いドイツの国民にしてみると、自分が払った税金がイタリアやスペイン国債購入にあてられたり、スペインの銀行救済に使用される事実をどこまで受け入れるのか、不透明感が高い
*個人的な感想過去のEUサミットを思い浮かべると、いつも市場参加者を落胆させるような内容(=具体的な決定がない)

となるのが普通でした。しかし今回はスペインやイタリアの国債利回りが持続的な財政運営が不可能とされる7%近く

になっている為、何か出てくるに違いないという期待

が高かったことも事実です。
現在発表されている内容は、市場参加者が予想した「即効性のある解決策」全てが盛り込まれており、予想外の『バズーカ砲』級

の決定内容だったと私は思っています。
実際に株・債券・為替全てが値を戻しており、ある意味万々歳

と言っても言い過ぎではないと思います。
しかしスペイン救済サミット’’とも言える今回の発表を受けても、現在スペインの代表的株価指数:IBEXは昨日の終値から160ポイント近い上昇に留まっています。

昨年12月に欧州中銀が「3年物LTROを実施する」と発表

した翌日、そして実際にLTROが行われる前日には、IBEX株価指数はそれぞれ200ポイントの上昇

を成し遂げていました。

私自身が考えるには、今回の発表内容のほうが、3年物LTROよりずっとスペインに取っては’’喜ばしい’’

発表だと理解しているのですが、実際の動きはLTROのときよりも小幅であるのが非常に気になります。
本日は2012年上期末、第2四半期末、月末などの特殊要因が重なりますので、意味不明な動きが出ることもあります。EUサミット関連の報道に加え、十分にご注意下さい。
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