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スペイン、銀行支援を要請

おはようございます 。普通の週末はブログ更新をするのは早くても日曜日の夜なのですが、昨日スペイン政府が 『銀行の資本増強を目的とした支援要請』 に動いたので、それをお伝えしたいと思います。

過去数ヶ月に渡り、スペインによる支援要請の憶測や噂は常に流れていました。しかし先月のギリシャ総選挙の結果  を受け、踊り場状態であったユーロ圏危機  が新たな展開を見せ始めました。

世界第9位、ユーロ圏第4位という経済規模  をもつスペインなだけに、この国が市場での国債入札の道を絶たれ  EU/IMFに金融支援を要請した場合、過去のギリシャやポルトガルなどに対する金融支援とは桁違いの規模になることが非常に心配されていました 

市場の憶測を絶つかのごとく、ほんの1週間前まで ラホイ首相は「スペインは自力で危機から脱してみせる」 と息巻いていました。しかしその数日後に  フィッチによる格下げ でジャンク債まであと2ノッチ  という心細いレベルまで格下げされた  異例とも言える  オバマ大統領による記者会見 で 「欧州は銀行への金融支援という選択肢も含め断固たる金融システム強化への努力を求める」 という強いメッセージを流したことで、スペインの金融支援要請は避けられない事実となってきました。

*デギンドス経済相の記者会見



土曜日に2時間半に渡って行われたユーロ圏財務相会合による電話会議  での決定内容を受け、スペインのデギンドス経済相がマドリッドで行った記者会見では

1)スペイン政府は銀行部門の資本増強のため、欧州に支援を要請 
2)支援要請額は最大で1,000億ユーロ規模となる予定
3)支援に伴う条件などは銀行セクターに限定される
4)要請するのは金融支援であり、断じて「救済」ではない
5)6月21日までに外部監査会社から銀行部門の資金必要額が示された後、具体的な支援要請を明らかにする
6)IMFはスペインの銀行セクター改革の監視を支援する役割を担い、直接の資金援助は行わない
7)EUが、スペインにマクロ経済の目標を確実に順守させる

*過去の金融支援との違い

記者会見の席でデギンドス経済相は出来る限りの元気を装っていたという印象を私は強く受けたのですが、同氏によると 「今回の支援は (ギリシャ・ポルトガル・アイルランドに対して行われた) 過去の金融支援とは根本的に違う。その理由は、スペインが要請した支援は銀行セクターだけに限定され、マクロ経済・財政状態を改善する目的では使用されないからである。」 と語っています。

それを裏付けるように、今回の支援受け取りに対してスペイン政府はIMFからの資金受け取りを頑なに拒否したとも伝えられています。

過去に金融支援を受けた国は、支援金受け取りの際に交わした財政・経済状態の改善に関する交換条件の順守を義務付けられ、四半期に一度づつEU/IMF/ECBからなるトロイカ調査団がその進行具合を調査することになっています。

しかし今回の銀行セクター支援プログラムの条件として現在伝えられていることは

1)EUがスペインの金融業界再編を力強く指導する
2)トロイカ調査団による四半期ごとの調査を受ける必要は、ない その代わりにIMFが監視する


これに対してユーロ圏財務相会合では、スペインは今まで必死に財政赤字削減に対する努力を行ってきたので、今後も継続して緊縮財政策や経済構造改革を継続することには間違いないとしています。



私の理解が正しければ、スペインの支援受け取りは銀行セクターに対してだけなので、今後も国債入札を通じて財政運営を継続していく筈です  (ギリシャ、ポルトガル、アイルランドは国債入札の道を絶たれた為、EU/IMFから金融支援を要請し、その支援金で自国の財政を賄っています)

*金融支援金の出所

一番気になる点は「果たして最大1,000億ユーロにものぼるお金がどこから出てくるのか 」 ですが、まだ欧州金融安定ファシリティー(EFSF)からなのか、7月から発足する欧州安定メカニズム(ESM)を通じて支援がなされるのか決定されていません。もし今月中にでも支払いが必要となれば、一部をEFSFから、残りを来月発足するESMからという選択もある模様。

EFSF、またはESMから捻出された資金はスペインの銀行再編基金(FROB)を通じて実際に銀行への資金注入が実施されるようです。ちなみに、支援金がEFSFから支払われる場合、フィンランドは自国の負担分に対して担保を求めています 

*どうしてこの週末に発表なのか?

ラホイ首相があれだけ否定した ’’スペインによる支援要請’’ が、どうしてこの週末に決定されたのか  ですが、来週の週末にはギリシャの2回目選挙が実施されます。選挙結果いかんでは、ギリシャがユーロ圏から離脱するリスクも浮上   不透明感高まる  他のユーロ加盟国への飛び火懸念  などが心配されるため、ユーロ圏財務相会合ではギリシャ選挙前に「支援体制」をしっかり築く必要を感じたと言われているようです。


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[ 2012/06/10 19:50 ] ユーロ危機 | TB(-) | CM(2)
恐らく、スペイン銀行の不良資産にはギリシャ国債・デリバティブなどが更に隠されていると思います。IMFもスペイン政府も本当の損失額を把握していないのですから。
[ 2012/06/10 23:39 ] [ 編集 ]
Zenjiさん
今日は!2社の監査機関がそれぞれ調査するようなので、その数字の違いが大きかった場合、また問題になりますね...
[ 2012/06/13 22:24 ] [ 編集 ]
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プロフィール

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Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

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セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
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