アイルランドの
新財政協定に関する国民投票 が明日に迫り、ケニー首相は国民に対してYESへ投票するよう最後の呼びかけ



をしました。

(ダブリン駅での演説風景)
同首相は 「新財政協定とは、財政赤字削減に対する努力をおろそかにする加盟国を罰する権限を持っている。
アイルランドがこの協定を批准するということは、我が国がEUに対し金融システムの安定を維持することを示すだけでなく、単一通貨:ユーロに ’’信頼と安定’’ をもたらす効果もある。」 と語っています。それに加えて 「(金融支援を受けたアイルランドが) 財政再建の手本となることも出来る。

」とも語ったようです。
*国民投票でNOがでてしまった場合 


(アイルランドでのNO投票を支持するポスター)
この国民投票は別名
『メルケル投票』とも呼ばれています。その理由は、新財政協定の設置を強く押したのが他でもないメルケル独首相であり、ドイツが望んだ財政均衡を最優先目標にしているからに他なりません。
この記事の冒頭でつけたリンク記事でも書いた通り、新財政協定を批准した国のみが、ESM(欧州安定化メカニズム)からの金融支援を受ける資格を有するとなっています。アイルランドは来年にでも市場で国債入札を行い自力で資金調達をしたいと切に希望していますが、万が一それがうまく行かなかった場合は

まだまだ欧州からの金融支援に頼らなければならない

可能性を残しているだけに、今回の国民投票実施の是非は’’この国の存続にもかかわる重要問題’’

へと発展しかねません。
ただし、問題はこれだけではなく、今週のはじめにヌーナン財務相が語ったところによりますと
・NOという結果が出た場合、非居住者によるアイルランドへの投資が引く危険性がある
・経済成長の達成機能が麻痺する危険性がある
・ESMによる救済支援の道が閉ざされるということは、アイルランドの財政再建は国民の努力のみに頼らなければならなくなる (より一層厳しい緊縮財政策の起用が必要となる)
・来年度のキャッシュ・フローが厳しくなる
*更なる不安材料もし明日YESが出れば、アイルランドはユーロ加盟17ヶ国中、5番目に新財政協定を批准した国となります。
しかしドイツもフランスも未だに批准しておらず、特にフランスはオランド新大統領が就任した直後、「批准時期を少し遅らす」 と発表しており、この事実が明日投票所に向かうアイルランド人達に不安を与えている

とも伝えられています。
もうひとつ、気になる材料としては、この協定に反対するシン・フェイン党の支持率が増加していることです。この名前は日本ではどのくらい馴染みがあるのか判りませんが、英国に住む私はあまり耳にしたくない名前です。
話すと長くなるので簡単に説明しますと、1922年にアイルランドは英国領から独立しましたが、カソリック教徒の多い北アイルランドはそのまま英国領にとどまりました。その後1960年代後半、アイルランド共和国への統合を目指すカトリック系武装集団IRA(アイルランド共和軍)がテロ活動

を活発化し、北アイルランド紛争


が口火を切りました。「統一アイルランド」建国を目指すIRA暫定派の政治組織が、他でもないこの『シン・フェイン党』なのです。私が渡英した1980年代後半は、IRAのテロ行為とも呼べる爆弾騒ぎが後を絶たず、つい最近までイギリス各地の駅や道路のゴミ箱は中身が見えるように透明のプラスチック袋が提げられていました。それはIRAが爆弾をゴミ箱に装置し、歩行者に死傷者が出たりすることがよくあったからです。
話しを国民投票に戻しますが、ギリシャの急進左派連合(SYRIZA)が反緊縮政策で人気を高めた

のと同じ理由でしょうが、アイルランドは国民投票を目前に控えシン・フェイン党は財政協定反対キャンペーンのおかげでアイルランドで2番目の支持率を誇る党にのし上がってきたのです。もう現在はテロ活動が収まっていますが、私自身はこの名前をあまり聞きたくない思いに変わりはありません。
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