ギリシャの銀行からの預金引き出しが加速していることはこの記事でお伝えしました。しかしそれら個人の動きの陰に隠れて地味に継続しているのが、非居住者によるユーロ圏加盟国の国債離れ

です。
*イタリアとスペインの場合昨年7~12月の半年の間で、非居住者が売却したイタリア国債の額は1,000億ユーロに上り、これは彼らが保有している国債投資総額の12%にあたります。
スペインに関しては、昨年11月~今年2月の間に売却した国債総額は370億ユーロとなっており、その比率は14%となりました。
昨年12月と2月にECBによる3年物LTROを使って資金調達をした地元の銀行が、その資金を使って自国の国債を購入するたびに、非居住者が売りに廻っていた形となっているようです。
もし今後もこの調子で非居住者の売りが継続するのであれば、彼らによる国債保有レベルはユーロ誕生以前のレベルにまで低下する危険性が出てきたようです。イタリアの場合は、そのレベルに達するのは2013年7月、スペインの場合は同じく2013年12月となっています。



つい今しがたイタリア2年物国債入札結果が出ましたが、応答利回りは先月行われた2年債利回りの 3.355%からぐっと上昇し、本日は4.037%となっています。そして応答倍率も前回の1.80から今回は1.66へと低下。散々な結果となっています。
*フィッチの予想格付け会社:フィッチが先週発表した非居住者による両国の国債保有残高推移予想によると
・イタリア: 2008年の時点での非居住者保有比率 50%

2012年Q1末での保有比率予想 32%
・スペイン: 2008年の時点での非居住者保有比率 60%

2012年Q1末での保有比率予想 34%

(クリックすると拡大します)
これはIMFなどの資料を基に作成された2011年6月末時点での米英日欧の国債保有者別の比率を表したもの、それぞれの国に青い丸で囲んだ数字が『非居住者による保有比率』となっています。ここでいう『ユーロ圏』というものは、スペインやイタリアという個別国の割り合いではなく、’’ユーロ圏’’全体の数字となっていますが、先ほどイタリアの個別保有率を調べた結果、これとほとんど同じでした。
*非居住者による預金口座の減少ある米系銀行の調査部の調べによると、国債投資の引き上げだけでなく非居住者が過去に保有していた口座からの資金流出も継続しているようです。
現在に至るまでに、ギリシャでは64%減、アイルランド 55%減、ポルトガル 37%減、スペイン 13% そして イタリア 34%減

となっている模様。
2011年だけに限ってですと、イタリアからの流出額は1,600億ユーロ、スペインは1,000億ユーロとなっており、もしギリシャ情勢の不安定が継続すれば、今年の流出額は昨年の2倍ほどのレベルに達すると予想しています。
万が一、ギリシャやスペインがユーロ離脱を免れて
並行通貨 を使用したとしても、その価値はドイツ・フィンランドなどが加盟する 『ユーロ』 よりもずっと価値が低くなることは避けられないため、流出は依然として継続

すると予想しています。
ギリシャ危機発覚から3年目の今、財政再建措置に有権者が反対し政権が崩壊した既に6ヶ国となり、リセッション不安・高失業率などの経済苦と並び政治不安懸念も台頭してきました。
投資家は当然この動きに不安を感じ、欧州からの投資特にPIGS各国の国債への投資を停止し、それらの国の国債購入は地元の銀行だけとなりつつあります。そしてそれらの地元の銀行が国債購入が出来るのも、ひとえに欧州中銀(ECB)からの資金供給があるからです。
来週木曜日に控えた欧州中銀(ECB)理事会では、何か驚きの発表

があるのでしょうか?
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