ギリシャやポルトガル問題に時間を割かれてしまい、英国内で起きている問題を紹介する時間が全く取れないまま今日まで来てしまいました

1月末から2月末にかけて金融街:シティーではボーナス・シーズン

となります。シティーで働く人達にとっては、いろいろな意味で ’ここからの自分の将来’ を考える時期にもなります。
そのボーナスを巡って、英国ではこの2週間ほど大きな議論

をかもし出しました。それは、政府(国民の税金)が82%所有しているRBS銀行CEOに対するボーナス支給の是非についてです。
*ヘスターCEOへのボーナス支給に関する問題2008年9月のリーマン・ブラザーズ倒産の翌月に
英系金融機関に対し公的資金注入を発表した英政府。 その時に救済を求めた銀行のひとつがRBS銀行でした。
この公的資金注入と同時にRBS銀行の建て直しを最優先した英政府は、100%国有化されたノーザンロック銀行の建て直しを成功させたスティーブ・ヘスター氏をRBS建て直しプロジェクトの筆頭に備えました。
ヘスター氏はその後思い切った人員削減などを断行し、相当の評価を得ていたんですよね。
*半国有銀行職員に対するボーナス支給の是非しかし自分達の税金で倒産を免れた銀行の職員が高額のボーナスを得ることに対する国民の怒り

はもとより、英政府も筆頭株主としての権限を行使し、公的資金注入した銀行(RBS,ロイズ銀行)職員に対するボーナス抑制を声高に叫んだ

のです。具体的な数字を挙げますと、現金で支給されるボーナスの上限は2,000ポンドまで

と政府は宣告しました。
私もシティーで働いていましたが、通常銀行のボーナスは現金の部分はそんなに多くなく、自社株をドッと支給されます。そして支給された自社株をを売却し現金化できるのは、早くて18ヶ月~2年後という期限付き。それに加え、もしその期限内に退職する場合は株式を売却する権利を失います

つまりボーナスはゼロとなるんですよ....
(もしかしたら、今はその制度が変わっているのかもしれませんが、私の時はそうでした)



業界話しになってしまい申し訳ありませんが、ボーナスがすべて現金で支払われていた時代は、自分のボーナスが口座に入金されたのを確認したらすぐに辞表を出し、もっと条件のよい銀行へ転職する人達が後を絶ちませんでした。ボーナス持ち逃げや優秀な人材の流出を止めようと知恵を絞った銀行は、先ほど書いたような条件をつけて、ボーナスを自社株で支給するようになっていったのです。そうなると、どうしてもその優秀な人材が欲しい他の銀行は、(その人が銀行を辞めればボーナス支給額がゼロになるので)その人のボーナス分を上乗せした金額を提示しなければなりません。
話しがずれましたが、ヘスターCEOのボーナスも全額RBS銀行株で支払われる予定となっていました。これにより、RBS銀行が努力し株価を上げることに成功すれば、当然ヘスターCEOだけでなく他のRBS職員のボーナス手取り額も増えるという意味です。
*高額ボーナスに対する反感RBS銀行はこのボーナス支給に先駆けて、投資銀行部門の3,500人解雇を発表しました。過去2年間の間に同行は3万人の人員削減を断行しており、そのうち22,000人は英国で実施されています。
これだけ多くの職員を解雇しなければならないのに、CEOが100万ポンド弱のボーナスを受け取るとは何事か!という議論がずっと続いていたのです。そしてもともと英国内では銀行員に対する高額ボーナス支給を全く快く思わない風潮がずっと続いていたので、尚更国民感情を逆なでしたとも言えるでしょう。

この写真はロンドンのRBS本社ビルの前でネコの着ぐるみを着て、太い葉巻を吸う真似をして’高額ボーナス支給’に抗議する人です。いわゆる’fat cat with cigar'をもじっての抗議でしょうね
*ヘスターCEO,ボーナス返却を発表とうとう本日、ヘスターCEOご本人がボーナスは受け取らず返却すると発表しました。
この決断を巡り、政治家/国民/産業界では様々な意見があります。
政治家や国民は声をそろえて「当たり前の行為である。そもそもこれだけ高額のボーナス支給という文化自体が間違っている」という内容で統一されています。
しかしこれに対し、産業界や金融業界では「ヘスター氏はRBSの建て直しを任務として雇われた人間で、RBSが国有化される原因となった本人ではない。彼の手腕は素晴らしいもので、今回のボーナス返却後に同氏がRBSを辞めてしまった場合、ここからRBSを立て直せる人物は他にいない。」と心配の声が挙がっています。
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