4時間かけて物凄い大作の記事を書いたのですが、全て消えてしまいました



まだかなりの部分を覚えているので、ざっと書き直しますね。



こんなに遅くなってしまいましたが、コメント欄を通じてHimobakaさんからこのような質問を受けましたので、それに対するお答えです。頂いた質問は
解説をお願いいたします
早速ですが、このスイス中銀のニュース、よく解りません。
これは、対ユーロにおいてスイスフランはペッグ制を採る、という意味なのでしょうか。つまり、スイスとユーロ以外の他の通貨との関係は、ユーロドルなどに準ずる、という意味なのでしょうか。
こんな事が出来れば、円なども対ドルで最低為替レート設定できるのでしょうか。
ともかく、スイスフランがデンマーククローネなどのように当局の監視通貨という事になれば、暫定避難通貨は英国ポンドになるのでしょうか。 いろいろ質問してしまい恐縮ですが、よろしくお願いいたします。私自身、ペッグ制という言葉の厳密な意味が分かっていません

。 なので頂いたご質問に対し偉そうに「回答」する立場にはありません。ただ私なりの解釈をここで書かせて頂けたら幸いです。
*変動相場制と固定相場制現在ほとんどの国は変動相場制を取っており、毎日相場は激しく動いています。しかし一部の国では、完全な固定相場制 (サウジアラビアなど) や上下の変動幅を設定したペッグ制 (香港など) を採用し日々の為替変動を最小限に抑えています。

(クリックすると拡大します)
このチャートですが、最初のものはサウジアラビア・リアルの対ドル・チャート

リアルは1米ドル=3.75リアルに固定する相場制を採っています。
2番目のチャートは、ドル/香港ドルのチャート

香港ドルは米ドルにペッグしており、中心レートを7.80 (チャート上の黒い横線) に設定し、変動幅を7.75~7.85に設定しています。つまり7.75より香港ドル高になった場合にはドル買い/香港ドル売り介入を、7.85より香港ドル安になった場合にはドル売り/香港ドル買い介入を実施し、香港ドルの価値を一定のレンジ内に収めています。
今回スイス中銀が発表したものは、スイス・フランが対ユーロに対して1.20よりスイス高になった場合は、無制限のスイス売り介入を実施

するという「1.20フロアー制」導入と私は理解しています。ニュースや新聞報道で「スイスが対ユーロのペッグ制導入」という書き方をしているものを見かけますが、厳密な意味では今回の措置はペッグ制とは言えないと思います



その最大の理由として、例えば米ドルに対するペッグ制を導入した場合、米国が政策金利を上げれば、ペッグしている国も国内の経済状況にかかわらず米国に追随して利上げに動きます。今回のスイスの措置は金利面での動きは全く連動していません。そして香港ドルなどとは違い、対ユーロでのスイスの下限は設定していません。言い換えれば、スイス中銀は対ユーロを「一定の範囲に収めたい訳ではなく、あくまでも1.20以上のスイス高を避けたい」だけでしょう。
*最低為替レート設定が可能であるのか?私は為替制度の専門家でも何でもありませんが、もしある国が本気で最低為替レートを設定したければ、それを止めることは不可能だと思います。例えば日本が「対ドルで円の上限を75円で設定する」としたければ、いつでも出来ると私は理解しています。
それではどうしてそういう設定をしないのか?それはそれを維持する代償の大きさ

でしょう。
現在市場の一部では、スイス中銀が1.20を死守するには最低でも1兆ユーロ規模のユーロ買い/スイス売り

を継続しなければならないと噂されています。では最悪の事態が発生

したと仮定した場合、1兆ユーロ使っても1.20を守りきれず、スイス高がどんどん加速してしまったらどうなるのでしょうか?スイスの経済規模は約5,500億スイスです。1兆ユーロ規模の介入を実施したと想定した場合、スイス中銀の介入による為替損失額を計算すると
10ポイント(1.2000が1.1990へ)動いた場合、損失は10億フラン
100ポイント(1.2000が1.1900へ)動いた場合、損失は100億フラン
1,000ポイント(1.2000が1.1000へ)動いた場合、損失は1,000億フラン

スイスGDP規模の2割の損失

これはあくまでの私の想像ですが、いかなる理由にせよスイス中銀が1.20死守を放棄してしまった場合、スイスに与える悪影響は為替損失だけでは収まらないでしょう。
・守れもしないフロアーを設定したことに対するスイス中銀のCredibility (信用性)の損失
・為替相場に於ける介入の限界
・1.20を守りきれなかったので、次のフロアーがどこになるのかを探る為に市場参加者は今までにも増してスイス買いを加速させる
こんなことがパッと頭に浮かんできました。
スイス中銀はここまでの危険性を覚悟

で、今回の決定に踏み切ったのです。もし日本も本気の覚悟があれば、いつ同様の発表があってもおかしくありません。
*避難通貨このブログでも何度か書いていますが、スイスに代わって浮上してきた避難通貨はノルウェー・クローネ。ただマーケットでの流動性はスイスと比べて断然少ないので素人向きではないと思って私は取引していません。
*面白い報道たまたま米WSJ紙を読んでいたのですが、面白い記事を発見したのでここで紹介します。それはスイスがユーロに対してフロアー制を導入したことに対する独メルケル首相の発言でした。私自身はこの発言は聞いていませんが、WSJ紙によると
"Neighbouring Switzerland had de facto pegged its currency to the euro. The strength of Switzerland becomes its own weakness if it doesn't fit into the whole global structure. That's the lesson. And because of that the euro is right,"
直訳すれば
「お隣のスイスはユーロに対し事実上のペッグ制(連動性)を導入した。スイスという国の強みは、世界的構造変化に適応しなければ、それが自国の弱みとなる性格のものである。それがスイスが学ぶべき教訓であり、それゆえユーロという通貨は正しい道を歩んでいると言える。」
何を仰っているのか私には分かりません

繰り返しになって恐縮ですが、今回のスイス中銀の発表は
1)厳密な意味でスイスはスイス・フランの対ユーロ上限を設定しただけでありユーロに対し連動すると発表していません。金融政策に関しても全く連動させていません。
2)スイス・フランの対ユーロ下限も設定していません。
3)スイスが今回の措置導入に踏み切った理由は、ユーロ圏加盟国のギリシャで債務危機

が表面化した2009年以来、スイス・フランは対ユーロで約35%スイス高になり、スイス高の影響で同国経済が崩壊寸前まで行ったため

くどいですが、このスイス高は決してスイス経済が奇跡的な発展を遂げたからではなく、ユーロという通貨を保有することに危険性を感じた

世界の投資家達がその資金をお隣の安全な国:スイスに移動させたため
4)絶対に間違っていけないことは、ユーロはスイスに対し数々の問題を提起したが、何の解決法も与えてくれなかった点ではないでしょうか?
5)メルケル首相が言うように「ユーロが正しい道を歩んでいる」と証明されたからスイスはユーロを選んで上限設定した訳でもなんでもないと思います。スイスは対ドルで上限設定することは100%可能だったでしょうが、貿易相手地域として最大のユーロを選択しただけのこと



もしユーロが正しい道を歩んでるのなら、どうして対円で10年ぶりの安値に接近しているのか説明して欲しいですね。
しかし政治家の方達の為替に対する見解というか理解度というのは、私には全くわかりませんわ....
風邪がますます悪くなったみたいで悪寒がひどくなりました。この文章を読み返す気力が残っていないので、そのまま更新します。間違ったことを書いていたら申し訳ありません。スパに行ってサウナとスティーム・ルーム(蒸気が出る部屋)に入ってきます。帰宅後は

借りた昔~~の韓国ドラマのDVDを見て早く寝ます

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こんな嬉しい賞を頂きました。受賞に恥じないよう 頑張ろうと思います。応援 よろしく!
リーマンショックから約半年間の介入で1兆円超も損出してあんなに避難されたのにw
日銀でさえ介入資金は40兆円程度ですけど。