ギリシャ債務問題にばかり気を取られている私達。少し話題を変えようと思い、
スペインの抗議スト に関しても記事を書いてみました。しかし欧州ではこれ以外の政治的問題も起こっています。
今回は北アフリカからの難民受け入れ増加に伴い特に南欧州を中心に高まってきた「シェンゲン協定」の見直しについて書いてみたいと思います。
*シェンゲン協定これは協定参加国間でのパスポート検査を撤廃し、人々の行き来を自由



にするものです。現在この協定に加盟している国は25ヶ国。
まず1995年にベルギー・フランス・ドイツ・ルクセンブルグ・オランダ・ポルトガル・スペインで始まり、1997年にはイタリアとオーストリアに拡大されました。その後2000年になってからギリシャが加わり、翌年2001年にはデンマーク・スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・アイスランドとEU加盟国以外の北欧地域へも拡大。2007年にはチェコ・エストニア・ハンガリー・ルシアニナ・ラトヴィア・マルタ・ポーランド・スロバキア・スロベニアと東欧へも広がって行き、2008年末にはとうとうスイスも加盟決定に至りました。
つまり西はポルトガルから東はロシア国境の手前まで、北はアイスランドから南はトルコ国境の手前まで、自由にどこでも行き来



出来ることになったのです。
*北アフリカ・中東危機
の余波チュニジアから始まり北アフリカ、中東を次々襲った民主化運動。その余波を真っ向から受けているのがイタリアです。今年に入ってから主にチュニジアからの難民受け入れを積極的に行っているイタリアですが、今春だけでも既に2万6000人のチュニジア人がイタリアの仮設難民センターに収容されました。

(チュニジアからイタリア入りする難民達)
難民センターにいるチュニジア人達はフランス語を話しますので、当然フランスへ移動しようとしました。ところがイタリア政府が手配した難民移動列車

がフランス国境にたどり着いた途端、フランス政府が一時的に国境を閉鎖してしまい

イタリアへ逆戻り

させられる事件

が起きたのです。
そもそもチュニジアからの難民がイタリアに到着した時点で、イタリア政府はこれら難民に対し「6ヶ月間有効の仮の在留許可書」を与えたようですが、その中には ’シェンゲン協定加盟国内での移動は自由に出来る権限’ が含まれていたようです。そうなれば移民達はイタリアに留まらず自分達が住みたい場所(国)へ移動するのは当然ですよね。
*次はデンマーク先週に入ると、今度はデンマークが「数週間後から国境検査はシェンゲン協定前の厳しさに戻す」と一方的に決定

。 デンマークでは今夏に総選挙が予定されており、連立政権のひとつである反移民政策を主張するデンマーク人民党への機嫌取りくらいだろうと考えていた人が多かったのですが、なんだか雰囲気が違う。その後のデンマーク政府高官発言のいくつかをまとめてみると、パスポート検査の強化というよりかは、脱税や東欧移民による犯罪率の増加を取り締まるのが目的であると判明

だからデンマーク政府の解釈としては (パスポート検査の強化ではないから)シェンゲン協定違反ではない!ということ。
しかしこの発表に腹を立てた

バロッソ欧州委員会委員長はデンマークのラムセン首相に対し 「欧州単一市場の象徴である単一通貨やシェンゲン協定を今更後戻りさせるような動きは断じて許さない

。 そしてデンマークの一方的な動きはEU法に基づいた動きではない!」という怒りの鉄建の手紙を送りました。
*シェンゲン協定の一時停止は可能 
私も詳しい内容は知りませんが、この協定の23条だかなんかに、特例として国家安全が脅かされる

と認められた場合に限り、協定の一時停止が認められています。例えばこの記事の最初に書いた ’フランスの国境一時封鎖’ や ’2006年サッカーの世界選手権がドイツで開催された時、サッカーのフーリガンの封じ込めを目的として、ドイツ政府は一時的な国境封鎖を決定’ しました。
果たしてデンマーク政府の決定が「一時的な停止」とみなされるのか否かは分かりませんが、欧州では今年から来年にかけて地方選挙や総選挙、そして大統領選挙が次々と行われますので、このシェンゲン協定に対して有権者である国民の関心

が高まる可能性は十分に考えられます。
とりあえずデンマークの取った対応やシェンゲン協定全般に関する話し合いは6月末に予定されているEUサミットの席で協議される模様です。
なんだか欧州全体が穏やかでないですね.....

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