先日途中まで書いたESM(欧州安定メカニズム
記事リンク)の続編です。読みづらくなるのを避けるため 最初の記事もコピペしておきますね。
*ESMとは?欧州安定化基金(
参考記事リンク)の一部であるEFSFの期限が2013年夏まで。それ以降の欧州安定に必要なメカニズムとして、このESM(欧州安定メカニズム)の創設が決定されました。つまり簡単に言ってしまうと、
2013年夏以降は (EFSFに代わるシステムとして) ユーロ加盟国になんらかの危機が生じ、市場からの資金調達に困難が生じた場合、ESMが融資を行います。
*設立は?現在EFSFの融資申請期限が2013年6月30日となっている為、
ESMは2013年7月1日より融資開始とする。
EU基本条約である「リスボン条約」では加盟国の恒久的な救済を禁じています。ESMは ’EFSFに代表される7500億ユーロ規模の欧州安定基金のような時限措置’ ではない為、その
創設にはリスボン条約の一部改正が必要となる訳です。この点に関しては先週のEU首脳会議で合意が得られました。今回の条約改正については、その規模が最小限に留まるという見方により、ユーロ加盟国に於ける国民投票は不要。 (重要な基本条約改正の際には国民投票が義務付けられているアイルランドも今回は国民投票を実施しない方針) それに代わって
2012年末までにEU加盟27カ国での批准は必要とされています。
全ての加盟国の批准を得られ次第、2013年1月に新条約発効予定。もしリスボン条約改正手続きが一部の加盟国で難航した場合、ESM設立開始時期がずれ込む可能性も考えられます。
*ESM最大支援可能総額と支援金調達手段現在のところは未定。しかし大方の予想としてはEFSFの規模(4,400億ユーロ)以上になる模様。
払込資本、請求払込資本そして拠出保証による裏づけにより資本を獲得。加盟各国の公的資金の使用はなし。
*それ以外の制度の詳細は?
2011年3月末までにユーロ圏財務相会合(ECOFIN)で詳細を決定する予定になっています。
*ESM発動の条件1) 流動性逼迫危機ある特定のユーロ加盟国になんらかの問題が生じたと仮定 ⇒ その国の債務返済能力には問題がない ⇒ しかし一時的な流動性逼迫が生じている ⇒ 欧州委員会/欧州中銀(ECB)/IMFがその加盟国の公的対外債務が維持可能かどうかを分析(債務持続可能性分析) ⇒ 必要と判断されたら分析結果に基づき加盟国に対し流動性供給を行う ⇒ この場合、一般投資家の関与義務は発生しない
2) ソルベンシー危機流動性逼迫による問題がソルベンシー危機へと発展してしまった場合、各ケースごとに債権者との合意が必要となる ⇒ 全ての問題はケース・バイ・ケースの解決方法となる ⇒ 問題が起きたユーロ加盟国と一般投資家との間で再編策の交渉を持つ ⇒ ESMは流動性支援を行う

ここで私なりの考え方を付け加えますが、何度も繰り返し使用されている「流動性」とは2つの意味があると思います。
・資金流動性つまり資金の調達が簡単に出来るか否か、つまり資金調達の容易性 ですね
・市場流動性これはある金融商品の売買が市場で簡単に出来るか否か、つまり金融商品売買の容易性 です。
ESMに於ける「流動性」に関してですが、資金流動性を指していると見受けられます。
念の為に付け加えておきますが、独メルケル首相はESMによる支援が発動される為には、上記の危機が ’ある一定の加盟国’ に対してのみ発生した場合ではなく、その危機が ’ユーロ圏全体のシステムに支障をきたすほどの危機’ へと拡大した場合のみ発動と考えているようです。

この新しいメカニズムを理解する為、2日間に渡りGoogleしまくりましたが

ESMはなかなか難しい問題を抱えているように感じました。その中でも一番私の目を引いた

のはCACsに関してです。
*CACsとは?Collective action clauses (CACs) 日本語に訳すと 集団行動条項
頭文字を取って「CAC」とも言う。債券を保有している投資家の多数決によって、事後的に償還期限や金利などの条件を変更できるようにする契約条項のこと。1980年代のメキシコ通貨危機をきっかけに、新興国ソブリン債への導入議論が起こり、これまでもー部の国で起債された債券に同条項が付けられた例がある。
ユーロ圏のソブリン危機時への対応策として、負担分担と債券投資家のモラルハザード防止を目的に、導入に向けた議論が浮上している。アイルランドが金融支援を要請するなど、欧州の財政・金融問題が広がりをみせる中で、注目度が高まっている (
参考資料リンク)
*ESM(欧州安定メカニズム)に於けるCACsの取り扱い方法1)2013年6月以降に発行されるユーロ加盟国の国債全てにCACsを適用
2)この条項適用債券に関しては、一部の債権者が反対した場合でも一定比率の債権者が同意すれば債務再編が可能となる

現在の時点では、どの程度の同意が必要か具体的な数字は示されていない (フランスは75~80%の同意が必要という案を支持)
3)債務編成内容としては、債券の償還期間の延長や価格/金利の変更などが挙げられている
4)これにより、債務国と債権者グループとの間でケース・バイ・ケースによる債務編成に向けた決定が迅速に進められることになる
5)CACs条項記載の国債を保有している民間投資家に対し、ヘアカットやそれ以外の債務再編策の受け入れる可能性が求められる

民間投資家/国債保有者にも損失負担を求める
CACsに関する問題点は有料記事にさせて頂きます。
最後になりますが、EFSF(欧州金融安定ファシリティー)の規模拡大や、ユーロ圏の共同債券(欧州共通債 又は Eボンド)発行に関しては合意に至りませんでした。
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