先週は体調が思わしくなく、仕事をかなり控えていました。先週火曜日だか水曜日に
バイトマン独連銀総裁のインタビュー が米WSJ紙に載ったので週末に読んでみたのですが、あのオジサン、良いことをお話ししていらっしゃるので、思い切って翻訳してみました。
*WSJ紙のバイトマン総裁インタビューQ: ECBが最近導入した非標準的手段は、ユーロ圏のインフレ率をターゲットまで、持ち上げることが出来るのでしょうか?A: 我々は、いくつかの政策手段の導入を決定した。理事会としては、中期的にインフレ率がターゲットまで戻ることを期待している。
Q: 総裁は、どうしてABS購入に対して反対したのですか?A: 最近の政策決定を見ると、ECBの金融政策のアプローチの仕方が、クレジットの緩和を通して量的緩和策に一歩近づいた方向へと変化してきている。この政策目標の変化は非常に重要であり、理事会では、既にTLTROなどを通じて、相当金融緩和を実施しているにもかかわらず、更にここまでの変化を実行する必要があるのかについて、激しい議論がなされた。
ECBが目標としているバランスシート額の増加を達成するためには、ECBは資産購入に対して資金を使いすぎてしまうリスクが出てくると私は考えている。その場合、そのリスクは、欧州の銀行や投資家が背負うものではなくなり、最終的に納税者にしわ寄せが来る可能性がある。
Q: ABS購入時に加盟各国政府が保証をつけるという考え方については?A: その考え方は、いざという時には、納税者が負担をすることになるリスクをはらんでいる。そうなると、納税者としては、そういう決定を受け入れた政治家達の責任だといい始めるだろう。
Q: 最近の低インフレ状態は、ECBが追加緩和策導入を急ぐ理由になったのでしょうか?A: 低インフレが長期化することには、リスクが伴う。しかし、冷静に考えれば、この段階で慌てて決断することが、果たして正しいことかについては、異論も出てくるだろう。最近の低インフレ傾向の大部分は、食料品やエネルギー価格の低下がもたらしたものであるため、じきに自立反転し、じわじわと元の水準に戻ると我々は予想している。
Q: 総裁は、必要であれば非標準的手段の導入には賛成すると言いながら、ABS購入には反対姿勢を取られているのは、矛盾してるのではないでしょうか?A: 私がどういうスタンスを取っているかについて、憶測で語ることは、逆効果である。ECB理事として物価の安定という責務に忠実になるのであれば、各理事が独自の意見を持つことは、至極自然なことであろう。
Q: 加盟国の国債購入に動くことは、ECBの責務の範囲内の行動だとお考えですか?A: 流通市場での購入は、厳密に言えば、禁止されていない。ただし、他の主要国の中央銀行と比較して、欧州中銀の責務は、非常に厳しく限定されており、政府債務の直接的な取得は、条約で禁止されている。その場合、流通市場での国債購入は、見方を変えれば「抜け道」とも言え、厳密に考えれば許されるべきではない。 そして、特に中央銀行が最もリスクが伴う国債購入に動くということであれば、こういう心配は出てきて当然だろう。
Q: (国債購入は)欧州経済の回復を助けるとお考えですか?A: 流動性の有無や資金繰りのコストは、経済の回復を促すことにとって、障害になるとは考えていない。各国政府は債務が増加しているにもかかわらず、資金繰りに払うコストは (

ここで言うコストとは、10年物国債利回りのことを指していると考えます)、今までに見たこともないような低金利でまかなうことが出来ている。これは政府の資金繰りに限ったことではなく、企業にとっても同じことだ。本当に我々が抱えている問題は、構造改革の必要性である。
Q: 欧州委員会はフランスの予算案原案を拒否すべきですか?質問内容を変えれば、欧州委員会は、加盟国のサイズにより、対応の仕方を変えるべきでしょうか?A: 財政ルールを徹底することは、非常に大事だ。財政の健全化は、安定した通貨同盟を築く上でも欠かすことが出来ない要因である。国の大小によって扱い方を変えるべきか?という質問であるが、フランスはユーロ圏で2番目に大きな経済大国である。当然、その国の財政政策には断固とした態度で欧州委員会は臨まなければならないし、フランスも模範国としてふるまうべきであろう。
Q: 2008年の世界金融危機以降、世界経済は未だに金融政策に頼りすぎていると考えていますか?A: 米国とヨーロッパそれぞれの最近の金融政策は、二股開きとなってきている。景気回復が順調に進んでいる米国にとっては、出口戦略(=引き締め)が必要となってくるだろう。それに対し、ヨーロッパでは、これからもしばらくの間は緩和措置が必要である。
しかし、金融政策が全てだと考えることは、非常に危険である。金融政策は、欧州で必要とされている構造改革を断行することは、出来ない。そして、必要以上に長期に渡り超緩和政策を実施する場合、金融安定が脅かされる危険がある。
Q: 政策金利がほぼ0%まで下がった現在、為替レベルがより重要になってくるのではないでしょうか?A: (米欧は金融政策の方向性が違っているため)当然それは為替レートにも反映する。我々には、目標とする為替レベルはないが、一部の関係者は、通貨安が継続すれば、ユーロ圏の競争力の回復につながると考えているようだが、現実的な判断とは言えない。長期的な実効レートの動きを見ると、現在は「ニュートラル」なレベルにいる。
Q: どうして、ECBは米国に続き、量的緩和策の導入に動かなかったのですか?A: その問題で、欧州と米国を比較することは、間違っている。ユーロ通貨同盟には、財政同盟が設立されていない。そのため、国債購入を含む量的緩和策が導入された場合、ECBは加盟各国の国債を大量に購入することになる。
もし、イエレン議長がアメリカ各州が発行した債券を購入するよう要請されたら、即座に拒否するだろう。
つまり、欧州にも政治同盟が既に設立されていたら、私の立場は大きく変わっていた筈だ。しかし、政治同盟が現実のものとなっていない限り、中央銀行のバランスシートを国債購入でふくらませることは、危険な行為である。
Q: ドイツ連銀の総裁という立場で、代替案がないまま(国債購入を含む)追加緩和策の導入に反対姿勢を取ることは、簡単なことではないでしょう?A: 本当のことを言うと、私はTLTROの導入に重要な役割を演じた。私が絶対に支持出来ないことは、金融当局が財政政策や経済政策の領域に立ち入ることだ。私はこれまでにも、(金融当局ではなく) 選挙で選ばれた政治家が決定し、結果を出すべきことがたくさんあると主張してきた。金融政策は、政治的に解決出来ない問題を解決するために存在すべきではない。
Q: ドイツ連銀は、市場の変動が激しくなり、危機的状態となっても、あくまでも保守的な立場を貫き通すのですか?A: 金融政策にも限界があるということを知るべきだ。「現在我々を取り巻いている状況は、今までとは違う」といううたい文句にひっかかるのは、危険である。最近の欧州の金融政策は、政治家の人質的存在となってしまった。独立した中央銀行とは、物価安定の維持に忠実になることであり、これは時代遅れでもなんでもない大事な使命である。
Q: ドイツ経済のモメンタムが、先月くらいから弱くなってきていますが、Q3のGDPはどのようになるとお考えですか?A: たしかに経済成長のモメンタムは、以前期待されたよりも、弱くなっている。このままで行くと、今年下半期は、上半期よりも経済成長率は低くなるだろう。しかし、そうは言っても、ドイツ経済には問題はない。雇用も安定しているし、設備稼働率もほぼ標準的レベルでの推移となっている。
Q: ドイツは公共投資など、もっと財政支出をすべきなのでは?A: 公共投資を増加するべきだという点で、合意がなされている。問題は、そのサイズだ。投資をする場合、ケースごとに独自の判断を下すことは重要であり、借り入れによる公共投資よりも優先すべき投資があるのかを考えるのが大事だ。
Q: ドイツは財政均衡を成し遂げ、投資をする余裕がありますよね?どうして、その余裕の部分で投資を増大しないのですか?A: ドイツに限っていえば、経済そのものが、ここから追加の公共投資を必要とする状況ではないことに加え、ドイツの債務レベルは未だに高く、高齢化問題など財政政策を圧迫する問題を抱えている。その視点から考えると、財政均衡を保つことは、とても大事である。
ヨーロッパ全体を視野に入れた視点で発言すると、借り入れによるファイナンスで実行される投資は、思った通りの効果を得られない可能性が高い。例を挙げれば、ドイツの投資によって潤うのは、ギリシャではなく、中国であったりする可能性も出てくるという意味である。
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