アメリカの予算審議の難航を受け、いろいろな報道が出ています。これはAP社が書いているもので、非常に要点をついていると思ったので、皆さんにご紹介します。
*予算審議と債務上限に関するQ&AQ: アメリカの来年度の予算案内容が未だに決定していませんが、今後数日~数週間のうちに、なにが起ころうとしているのですか?
A: 早急に解決しなければならないことは、今年度予算案が9月30日に失効した後も、政府諸機関に資金を配給し続ける何らかの対策を打ち立てることが出来るか?です。さもなければ、一部の政府機関の窓口は閉鎖されざるを得ません。上下両院ともに、なんらかの対策を考慮中と言われています。しかし下院はオバマ・ケアの打ち切りを条件に交渉を進めているのに対し、上院はそれを認めていません。どちらかが折れない限り、政府窓口の一部閉鎖が現実のこととなる可能性がでてきました。
Q: もし上下両院が合意できなかった場合、米経済にはどんな影響が起きると予想されますか?
A: 約210万人の政府職員のうち、3割に当たる80万人程度の職員が自宅待機となり、その期間の給与は支払われません。防衛や国家の治安を守る機関、そして医療などは平常通りの運営となります。国立公園や博物館の閉鎖が長期化されると、周辺のホテル・レストランなどレジャー関連業務に影響が出るのは必須です。パスポートの新規発行や再発行が遅れると、貿易業務にも支障をきたすことも考えられます。
窓口閉鎖が数日間だけのものとなれば、経済に与える影響はあまり心配せずに済むでしょう。しかし、閉鎖が2週間かそれ以上続いた場合、経済活動が弱まることが指摘されています。
ある大手米系投資銀行の試算によると、
もし3週間の窓口閉鎖が起こった場合、その経済損失の規模は、10~12月期(第4四半期)GDPで、最大0.9%の押し下げリスクとなると指摘されています。もしそうなった場合、Q4GDPの数字は、予想されている+2.5%から+1.6%まで下がることになってしまいます。
ホワイトハウスのHPには、
いくつかの緊急対応策が載っていますので、参考にしてください。
Q: 債務上限引き上げ問題に関しては、どうなのでしょう?
A: 10月中旬に資金が底を付くと言われていますが、それまでに米議会で引き上げに対する合意が得られなかった場合、悲惨な結果となります。
普通は、国債を発行し、その資金を使って政府はいろいろな支払いに充てます。しかし引き上げが出来なくなれば、新規に国債を発行出来なくなりますので、支払いは税収に頼るしかありません。その場合には、政府は32%の歳出削減を即刻実施しなければなりません。
更に深刻なことに、
政府は国債利払いが出来なくなります。つまり、これは米国が債務不履行(デフォルト)に陥ることを意味します。これは格下げだけでなく、世界規模の金融危機の引き金にもなりかねません。
Q: 債務上限引き上げに成功すれば、問題はないのですか?
A: 2011年夏にも同様の事態が起こり、期限ギリギリまで交渉が決裂寸前となりました。最終的には、引き上げに成功しましたが、格付け大手:S&P社は歴史上初の【米国のトリプルAからの格下げ】を決定しました。それを受け、その翌日の米株式指数:ダウジョーンズは、635ポイントの急落となっています。
その年の8月には、消費者信頼感指数がリセッションで苦しんでいた2009年4月以来のレベルまで落ち込んだことも忘れられません。
米連邦政府監査院によると、(実際にデフォルトしなくても)デフォルト懸念が起きるだけで、米国債の急落による長期金利の上昇 つまり、米政府の借り入れコストの急騰により、年間13億ドルの支払い増に繋がると警告しています。
Q: かなり深刻な問題になりそうですが、金融市場はパニックに陥りますか?
A: 最近の株式市場の動向をみると、過去7営業日のうち、6営業日に渡り、株価が下落しています。当然、これは予算審議の難航や、債務上限引き上げ問題に対する不透明感を嫌っての動きと思われますが、下落速度は穏やかなものとなっています。その理由は、過去に何度も同じ問題を繰り返したものの、いつも最後の土壇場でなんらかの合意にこぎつけているため、「今度も大丈夫に違いない。」と投資家が信じているからに他なりません。
それに加え、2011年夏にはじめてトリプルA格を喪失しましたが、その後も引き続き、米国債は常に投資の対象と見られており、国債利回りは史上最低まで下がっています。
幸いなことに、世界経済も徐々に立ち直ってきており、債務危機で苦しんでいたユーロ圏もリセッションから抜け出したことが、Q2のGDPで確認されていることも好感されています。
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