先週金曜日、ニューヨーク市場が閉まる30分前に格付け大手:ムーディーズは英格下げの発表

をしました。どうしてこんな際どい時間をわざわざ選んで発表したのか

理解に苦しみます

今朝のロンドン市場では既に下がってしまったポンドを更に売り込むことはしておりませんが、格付け会社1社の格下げ報道で、どうしてここまでポンドが売られてしまうのか

首をかしげるトレイダーもいるようです。
注:今朝のロンドン市場では対ユーロでポンドが弱含んでいますが、これは月末要因と見られています。
*既成事実化した英格下げ昨年、格付け大手3社すべてが、英格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に下げたことを受け、実際の格下げは時間の問題と見られており、市場では’’完全織り込み済み’’という見方が一般的でした。米モルガン・スタンレーも 「英格下げは完全に織り込み済みのニュースであるため、これだけを材料としたポンド売りは短期的には反応薄となるであろう。」とコメントしていました。
ある大手欧州系銀行のレポートでは 「先週金曜日、ムーディーズは英国の格下げに動いた。しかし英国がデフォルトする危険性は1週間前も今朝も全く同じで’’あり得ない’’ことに変わりはない。そして格下げに関しては、随分前から既に市場に織り込まれていたことである。一番肝心なことは、今回の格下げを受け、オズボーン財務相の信頼性が傷ついたことが心配されるが、格付け会社自身の信頼性はとっくに欠如しはじめていることと比較すれば、たいした問題ではないのかもしれない」 と辛口のコメントを載せています。
金曜日の格下げ報道後のポンド急落で一番目立った売りをしていたのは、マクロ系ファンドと言われていますが、金曜日のNY、それも市場が閉まる30分前という時間ですので、商いがほぼ終了しており流動性が薄い時でしたので、動きも大きくならざるを得ませんね。
*オズボーン財務相の反応
この週末の各紙一面は、ムーディーズ格下げ報道で埋め尽くされました。果たして今回の格下げを受け、3月20日に予定されている2013年度予算案発表時に、オズボーン財務相は緊縮財政策を若干緩和し、その代わりに成長重視の政策に転換するか?が一番の注目材料

となることは間違いありません。
そのオズボーン財務相ですが、格下げに対して「英国は財政赤字削減姿勢を緩めるつもりは、ない。」と未だに財政規律優先をほのめかしています。
元はといえば、2010年に現在の保守・自民連立政権が誕生して以来、緊縮につぐ緊縮財政を国民に押し付けた政府ですが、その最大の理由は
『英国のトリプルA格付けを守ること』 とはっきり名言していました。しかし結果としては、予想以上に悪化した経済成長の低迷

が理由で、どんなに国を挙げて赤字削減に取り組んでも、GDPそのものが伸びないので、赤字対GDP比の改善に結びつかないという最悪の結果

を生んでしまった訳です。
*格付け会社の動きとその後のマーケット米国やフランスがトリプルA格から格下げされた時、ドルもユーロも下落せず、逆に上昇しました。それらの国の国債利回りも、上昇するどころか下落(=国債価格上昇)しています。
それなのに、どうして英国の格下げ報道の時だけ、ポンドは下落し、国債利回りは上昇してしまったのでしょう

ただ単に発表の時間が悪かった、流動性が一番薄い時間帯だったから?という理由だけなのでしょうか?

これが私が一番知りたい点です。
ブルーンバーグの調べによると、過去の格上げ・格下げ報道とその後の国債利回りとの関係で面白い関係があることが判りました。
昨年1年間の間に実施された32回の格上げ・格下げ・格付け見通し変更の報道後、53%の確率でその国の国債利回りは予想された動きの逆の動きをしたそうです


1974年からの長いデータを見ると、300回以上の格上げ・格下げ・格付け見通し変更が実施されましたが、その報道後予想された動きの逆の動きをした確率は47%となっており、昨年1年間の確率よりも若干下がります。

それではムーディーズとS&Pからの発表後、逆の動きをした確率ですが、ムーディーズは56%、S&Pは50%となっており、ムーディーズの発表後の方が逆に動く確率が高いことも判りました
現在の英株式指数・10年物国債利回り・為替レベルをチェックすると、株は上昇・国債利回りは金曜日の発表レベルまで戻したのですが、為替だけは未だにポンド安の状態です

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