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ESMの役割を巡る見解の相違

今週火曜日、ヘルシンキでユーロ圏加盟国のトリプルA格付け国:ドイツ・オランダ・フィンランドの財務相が集まり、ESM(欧州安定メカニズム)による銀行への直接資本注入をめぐり協議しました。その後に発表された声明では、6月のEUサミットでの合意事項と矛盾するような見解が示され、それが水曜日以降のスペインやアイルランドの国債利回り上昇の原因と指摘されています。

ヘルシンキでの会合

*見解の相違

火曜日の会談後に発表された声明によると、過去に起きたユーロ圏加盟国の問題には新規に発足するESMによる救済は適用すべきではないという見解  それに対して、6月下旬のサミットでは、今年6月に銀行部門への支援を申請済みのスペインなども銀行監督一元化が施行されれば、ESMによる直接資本注入に切り替えられると理解されていました。

1)ヘルシンキ会合の具体的な発表内容

・ESMが新たな監督機関として発足してから発生する加盟国の銀行問題が対象となる
・過去に既に発生している(スペイン・ギリシャ・アイルランド・ポルトガル)銀行の問題とは、完全に区別される

上記4ヶ国の銀行問題については、各国政府が責任を負うこととなる

2)6月のEUサミット

「ESMが正式発足後は、アイルランドやスペインの銀行に直接資本を注入することが可能となり、政府の負担が軽減される」と解釈されており、私もずっとそう信じていました 


火曜日のこの発表を受け、昨日はアイルランドなどの国債利回りが上昇しましたが、欧州委員会は「ESMの役割に関しての最終合意は、なされていない」と火消し役  に廻っています。

*アイルランドからの発言

アイルランドのケニー首相は、火曜日の発表を受け
「6月のEUサミットでの決定事には2つの目的がある。ひとつはソブリン危機と銀行の不良債権問題を明確に分離すること。もうひとつは(ユーロ圏各国が直面している危機に対し)加盟国全てに対し平等な措置を講じるというものである。」と発言。

*ここからの懸念材料

6月サミットでの決定とヘルシンキ会合での見解の相違により、いくつかの心配事  が出てきたと私は思っています。いくつか挙げてみますと

・ユーロ圏内部での見解の相違/分裂の表面化 

・ユンケル議長率いるユーロ・グループ、そしてユーロ加盟各国政府に対する問題解決に向けたプレッシャー 

・火曜日の発表を受け、S&P以外ではトリプルA格付けを維持しているオーストリアのフェクター財務相も「過去に起きたユーロ圏加盟国の問題には、新規に発足するESMによる救済は適用すべきではない。過去の問題は当該国政府の責任とすべきである。」という見解に同意  北欧州 対 南欧州 との対立?

・火曜日の発表が今後『公式見解』となった場合、既に金融支援要請に動いたギリシャ・アイルランド・ポルトガル、そして6月に銀行支援要請に動いたスペインが、過去の救済内容に関してESMの救済対象から外れる   政府の負担は雪だるま式に増え  財政均衡目標達成が相当遅れるリスクが出る。

・スペインがギリシャに続き債務再編の対象となるのか?

・ギリシャは 2回目の債務再編 を余儀なくされるのか?


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[ 2012/09/27 21:20 ] ユーロ危機 | TB(-) | CM(2)

期待高まるQ3GDP値

先ほど発表された英Q2のGDP確報値・経常収支についてお知らせします。

*Q2GDP確報値
・前期比
速報値 -0.7% 改訂値 -0.5%  本日発表された確報値 -0.4%

・前年比
確定値と同じー0.5%

*Q2経常収支
予想 124億ポンドの赤字  実際の数字は208億ポンドの赤字  となってしまいました。この数字は経常収支の発表開始以来の悪さ 

貿易赤字も悪化し、Q1の81億ポンドの赤字から、Q2は101億ポンドの赤字へ。

*期待高まる  Q3GDP値

未だにマイナス成長である点に変化はありませんが、Q2の数字が速報値から確報値に至るまでに、少しづつ上方修正  されていることを受け、ロンドン・オリンピックが開催されたQ3の数字はかなりの改善となるのではないか  という期待感が高まっています。

今朝、英中銀MPC理事の一人であるフィッシャー・英中銀公開市場操作責任者も
「10月に発表されるQ3GDP速報値は非常に強い数字になると予想している。」と発言しています。既に同理事が何らかの情報を得ているのかは不明  ですが、予想以上に強いオリンピック効果があったのかもしれません。

同理事の発言を受け、
・Q3の数字はQ2のマイナス分0.5%を完全に相殺する数字(+0.5%以上)となるという予想が徐々に出てきている  たぶん+0.6~0.7%という数字がコンセンサスとして出来上がりつつある。

・Q2はエリザベス女王即位60周年記念式典の為、今年に限り国民祝日が1日増えたことに加え、長引く悪天候のお陰で、通常のQ2と比較すると生産性の減少という特殊要因があった  Q3は通常通りに戻る  英中銀の試算によると、エリザベス女王即位60周年記念式典による国民祝日1日追加の経済効果は-0.5%となっています。

・オリンピックの切符販売分だけを取っても、GDPに対する寄与度は+0.2% 

どうしてもフィッシャー理事の発言が気になりますが、10月の英中銀MPCでは政策金利・資産買い入れ枠(QE2)ともに据え置きとなるでしょう。


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[ 2012/09/27 19:49 ] 経済 | TB(-) | CM(0)

スペイン予算案

報道各社により、ばらつきがあったスペイン2013年度予算案と銀行ストレス・テストの発表日。先週末の時点では、明日28日(金)に両方とも発表となっていました。

しかし今朝になり、英FT紙・ガーディアン・テレグラフ紙の3紙、そしてBBCテレビが、本日27日(木)にスペイン予算案が発表されると発表しています。

具体的な発表時間としては、
ロンドン時間午後1時(日本時間午後9時)よりモントロ予算相の演説が開始

予算案詳細発表はロンドン時間午後2時(同午後10時)からとなっています。

銀行ストレス・テストの発表日に関しては、本日という報道と明日金曜日という報道が未だに分かれている状態です 

*予算案の見所

ズバリ『財政赤字対GDP比』  予定としては、2012年度+6.3%、2013年度+4.5% という数字が市場のコンセンサスとなっています。

もし本日発表された2013年度予算案の財政赤字対GDP比が+4.5%以上であったり、2012年度の数字が+6.3%より悪かった(=高かった)場合はスペイン長期金利の上昇や株価下落、そしてユーロ下落を引き起こす可能性がありますので、要注意  です。


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[ 2012/09/27 18:05 ] ユーロ危機 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

N20   (松崎美子)

Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

口座残高ゼロ経験あり

セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
Net Money
FXダイレクトプラス
2012年11月16日より毎週金曜日に連載を担当することになりました。 皆さん是非ご覧下さい !
フィリップ証券さんで連載始めました
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