2年間に渡る115億ユーロ規模の歳出削減内容に対し、ギリシャとトロイカ調査団との話し合いになかなか決着がつかないまま、
協議は先週金曜日で一旦停止 されています。
トロイカ調査団不在のギリシャで、今週に入ってから財政事情に関する発言が続いています。発言内容を見ればみるほど ’’もしかしたら今年春に続き、新たな債務再編の必要性が表面化するのかしら

と気になってきました
*ギリシャ、債務再編第一弾今年3月に
民間部門との債務再編合意 により、約1000億ユーロの債務が圧縮されました。

この再編合意により、同国は公的債務残高対GDP比率を2020年までに120%に引き下げることを目標としています。

しかし5年目に入るリセッションによる景気低迷などが障害となり、3月の債務再編実施にもかかわらず、このままで行けば2020年の目標達成は不可能となるだけでなく、財政の切り盛り事態にも赤信号が灯る

のではないか?と心配されています。
*今週に入ってからの要人発言
1) ラガルドIMF専務理事昨日、ラガルド専務理事は「ギリシャは景気低迷や民営化の遅れで財政状況が悪化

しているため、検討中の財政措置では解決できない資金調達ギャップに直面している。」と指摘。関係者の間では、この発言は新たな債務再編の必要性を同専務理事が暗に指摘しているのではないか?とされています。
2)ドイツからの報道この記事 でもお知らせしましたが、独シュピーゲル誌はギリシャの国家予算の不足額は200億ユーロになる予定であり、当初見込みのほぼ2倍に達していると報道しています。
他のドイツ紙では不足額を300億ユーロと載せているものもあるようですが、いずれにしても現在ギリシャ政府とトロイカが協議中の115億ユーロの歳出削減では不十分であり、赤字ギャップの拡大

が懸念されます。
3)ギリシャ・スタイクラス副財務相発言今朝、スタイクラス副財務相は「財政赤字縮小と国有資産売却の目標を達成できなければ、資金調達ギャップは拡大する。」とわざわざ発言

この発言内容は昨日のラガルドIMF専務理事発言とほぼ同じ内容。
この発言に加え、ECBや加盟各国の中央銀行が保有している約300億ユーロ規模のギリシャ国債については「ロールオーバー(借り換え)を求めなくてはならない可能性がある。」

とも述べています。

3月の債務再編の時にECBや中央銀行は優先債権者待遇が適用されていたため、損失を被ったのは民間投資家のみとなり、ECB/中央銀行の保有分はそのままとなっています。

私がここに書くまでもなく、トロイカ調査団は欧州委員会、欧州中銀そしてIMFからなっています。月曜日のラガルド専務理事の発言は、先週金曜日に調査を一旦中止したトロイカ調査団からの中間報告を元に行われたのではないか?と私は思っています。
*ドイツやイタリアの動きは?イタリアは来年春、ドイツは来年秋にそれぞれ総選挙を控えています。
ギリシャに対する新たな金融支援や債務再編などの動きが出てきた場合、特にドイツでは新たに議会の承認が必要となります


総選挙まで1年を切った今、ギリシャ支援を議会で議論し有権者の反感をかいたくない...... とメルケル首相は思っていることでしょう。

しかし、議会や有権者への配慮を優先してしまうと、Grexitが現実のものとなってしまい

あらたな頭痛の種ともなりかねません

万が一、Grexitが米大統領選挙前に起こるようなことにでもなれば、オバマ大統領も黙っていないでしょう


しかし逆の見方をすれば、大統領選挙が終われば、米国からの圧力がなくなるだけに、Grexitが現実に起きるリスクが高まるのかもしれません

そうなるとメルケル首相は自分が首相時代にユーロ崩壊のきっかけともなりうるGrexitを引き起こした汚れ役には、なりたくないと思うのではないでしょうか?
同首相に近い人物の話しでは、総選挙が終わるまでユーロ加盟国の離脱はどうしても避けたいとメルケル首相は語っているそうです。
3期目を狙う同首相ですが、もし
・「来年の総選挙で負け、3期目続投が不可能になる」
・「ギリシャが総選挙までにユーロ圏から離脱する」
このどちらを選ぶか?という問いかけに、メルケル首相は「選挙で負ける」を選んだと言われています

。
そこまで通貨統合を経た欧州政治・経済・財政・金融統合に欧州は賭けているのかもしれません。
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