みそねこさんという読者の方から以下2点の質問をコメント欄を通して頂きました。
メルケル首相は、「通貨ユーロを維持する。」とか「ユーロ圏からどの国も離脱させない。」とか言ってるわりには、借金を肩代わりすることに対しては頑なに拒否し続けています。 確かに、自分の国民の税金を他国のために使われたくないのは良く分かり、政治家の発言としては真っ当なのですが、「通貨ユーロを維持する。」ということを中心に考えると、この強情さは異常と感じます。 複数の国が同一通貨を採用している限り、財政の統一は不可欠で、国民感情云々では何も解決せず、機械的にそれを実行しなければこの問題は半永久的に続くと考えられます。(中略) 財政統一の第一歩となるユーロ圏共同債を頑なに拒否しているドイツ・オランダ・フィンランド等の真意はどんなところにあるのでしょうか?
最近、自分の見通しとマーケットの動きが全く一致しないもので、頭の中のモヤモヤがピークとなっております。。。良いニュースも結構出ていると個人的には思っているのですが、完全に掻き消されてしまっています。。この記事からの抜粋となりますが、ユーロ誕生までの経緯はこんな感じです。
欧州統合の核はドイツとフランスでした。特にドイツは侵略戦争を犯した過去を反省し償うため欧州統合に積極的でした。当時のコール首相、ミッテラン大統領、そしてデロール委員長は、ドイツが経済面を、フランスが政治面を分担対処しEU統合を推進。
その統合の第一歩として「経済/通貨統合」への道が開かれました。欧州圏での単一通貨導入 ⇒ 為替変動リスクを取り除く ⇒ 国境を超えた資本移動を容易にする ⇒ 米国や中国に対し経済/政治的に十分対抗できる重要な連邦圏を形成し、巨大市場を創出する事が可能となりました。そして加盟国はEUが進めてきた経済統合の集大成の結晶である単一通貨:ユーロ誕生をスムーズに推進するだけでなく、次のステップである「政治統合」を円滑にすすめていくためにも「自国の主権/権限の一部を (EUへ) 移譲する事」を必然条件として飲み込んだ訳です。
ユーロ誕生10周年を迎えた2009年、次のステップである「政治統合」へ向け、リスボン条約が発効されました。EU大統領 (欧州理事会常任議長) と外相 (外交安保上級代表) が選出され、EUは政治的統合体としての第一歩を踏み出しました。
これと平行し「経済統合」に関して、ユーロ圏共通債券発行構想や経済政府発足の必要性が話し合われ、ユーロ加盟国間の密接な財政政策の遂行を可能にしユーロ圏の更なる飛躍を遂げるのは時間の問題となるはずでした。 私が知っている限りでは、当時コール首相は「財政統合」をまず完了させ、その次に「通貨統合」や「ユーロ共同債」発行へと繋げて行きたかったようです。しかし一日も早くドイツ連銀の存在を消したかったフランスがイタリアと共謀して、通貨統合を先行した.....という読み物を読んだ記憶があります。
メルケル首相やドイツ政府高官、連銀関係者からは現在でも、このコール首相の主張と同じ意見が聞こえてきます。
私の意見で恐縮ですが、メルケル首相が頑なに拒否しているユーロ共同債構想は、国民感情だけを理由に反対している訳ではなく
1)財政統合が完了していないため、NOという答えしか出てこない。
2)昨年9月にドイツ憲法裁は
共同債に対して拒否の姿勢 を示しています。一国の憲法を左右する憲法裁の決定ですので、メルケル首相もその決定に添った主張を繰り返す。
みそねこさんが書かれている『財政統一の第一歩となるユーロ共同債(ユーロ共同債

財政統一)』という見方を私は共有しておらず、私は 『財政統合完了後の第一歩となるユーロ共同債 (財政統合

ユーロ共同債)』という見方をしています。
ユーロの動きですが、良いニュースが出ているにもかかわらず完全にかき消されていると書かれていらっしゃいますが、ここのところのユーロの動き(下落)は機関投資家やSWF,中央銀行などが過去に積み上げてきたユーロ資産を手放しているため、ちょっとやそっとの売り玉ではなかったと私は理解しています。こういう大玉を動かす人達がユーロに対する信任を回復する(=ユーロ資産の買い手となる)までは、戻ったところを丁寧に売るというポジション形成を繰り返すことに、私はしています。
「OECD iLibrary」の以下のデータを見ても、フランスの政府債務と比較してスペインのそれは悪くはありません。
http://www.oecd-ilibrary.org/economics/country-statistical-profiles-key-tables-from-oecd_20752288
でもフランスの債券は、モノによってはマイナス金利となっています。
フランスよりも借金の積み上げができるスペインの国債利回りが急上昇し、スペインよりもそれのできないフランスの国債利回りが低下していくのは、異常な状況ですよね。。。
嘘つきのギリシャは別として、スペインに関しては、投資家・投機家は、落ち着いて行動してもらいたいです。破滅論が好きなんでしょうか?金が儲かれば何でもいいのでしょうか?最近のユーロ債務危機の話題の中心はスペインになっていますが、以前はギリシャでした。
フランス系銀行はギリシャへのエクスポージャーが高かったため、ギリシャ問題で騒いでいた当時は、フランスの銀行に対する不安から、同国の国債利回りもスペイン同様、上昇していました。つまり両国共に利回りが上昇していたのです。
それでは、どうしてここにきて、スペインの利回りは上昇しているのに、フランスの利回りは下落するという動きになってきたのでしょう?
これにはいろいろな説がありますが、
今春にアイルランドが新財政協定に関する国民投票を実施し、批准した 時期が一番大事だったようです。この時期には、スペインでは
バンキア問題 や
預金流出問題 が立て続けに起こっていました。
銀行の不良債権問題がいきなりクローズアップされたスペインの国債は叩き売られましたが、機関投資家や投信などの運用に関わる実需筋は、どうにかして投資先を探さなければなりません。そこであまり問題がなさそうなフランスやベルギーまでもが「買い対象」と見なされ、この頃からスペインとフランスの国債利回りの動きが正反対になってきたのです。個人的にはベルギー国債を安全資産と見なすのには抵抗がありますが、特に欧州の実需筋の買いは根強かったようです。
話しが少しずれてしまいますが、過去10年くらいに渡ってスペインで起きていた不動産バブルは、やはり異常だったとしか言いようがありません。私自身もバブルがどんどん膨らんでいる時に、2回ほど現地の不動産を見学に行ったものです。お隣のポルトガルにも1度、フランスにも1度行きました。
しかし実際に足を運んだ経験から言いますと、スペインのバブルは本当に異常なまで膨らんでいました。そのバブルが弾けてしまったからには、当然現地の銀行は莫大な額の不良債権処理に動かなければなりません。ご存知のように、スペイン政府はお手上げ状態となり、EUに対する銀行支援要請に動きました。この処理が成功し、スペインの財政政策が軌道にのり、マクロ経済指標の改善が確認されるまで、ユーロ圏を取り巻く環境に不安は残ると私は思っています。
最後になりますが、ここに書いたものはあくまでも私の考え方であり、正解ではないと思っています。
何かの参考にでもなれば嬉しいです。
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