今晩は久し振りに娘が1泊だけ大学から帰ってくる予定でしたが、「提出が明日に迫ったエッセイをまるっきり忘れていて

今夜は徹夜になるから帰れない~

」 と完全に泣きが入ったメイルが届きました。私は「これ幸い

」 と、この時間を頂いた質問の答えを書くことにあてようと思います。先週くらいからユーロ圏のゴタゴタ

が起こる頻度が増えたような気がするんですが....

実際に日中のトレード回数が激減しています

ですのでマーケットがほとんど動かない夜にこうやって記事を書く時間が確保出来るのはありがたい~
西原さんのメルマガ購読者の方と、このブログの読者の方からほとんど同じ内容の質問を頂きました。
IMF基金4300億ドル強化で合意と出ておりました。N20さんの過去記事を読み込んでいくと、
この金額では到底不十分なのでは?と感じるのですが
合意に達したということでユーロにはプラス材料になるのか、
あるいは金額が不十分だということでマイナス材料になるのか、
私では判断がつきづらいので質問させていただきました。*IMF融資原資増額合意報道先週このブログでも紹介しましたが (関連記事
その1 、
その2 )先週末IMFはギリシャからスペインへと舞台を移したユーロ圏債務危機問題のこれ以上の飛び火

や拡大を防止するためにも、加盟国から追加資金を要請

しました。
現在のIMF融資可能額は3,800~4,000億ドル

出来れば6,000億ドルの増額を希望

合計で1兆ドルとなる

欧州救済基金(EFSF/ESM)が2014年中盤には1兆ドル規模(7,000億ユーロ)

IMFと欧州両方あわせて2兆ドル
ギリシャのデフォルト懸念が発覚した昨年秋以降、『投資家が納得するユーロ圏債務危機対策用の救済基金規模:2兆ドル』 という数字が一人歩き

しており、今回もIMFの分担として出来れば1兆ドル確保御願い

状態でした。

しかし今回のIMF増資額は4,300億ドルと発表されています。

ちょっとくどくなって恐縮

ですが、この
「4,300億ドル」という数字はあくまでも『予定額』であり、BRICsのうち 中国、ロシア、インド、ブラジルの4ヶ国は、6月中旬に開催されるメキシコG20首脳会議で最終的な金額を明らかにする見込み

となっています。つまりこれらの国のいずれかが ’’やっぱ、や~めた~’’

とか言ったりした場合、増資額は更に減少してしまうのです。
*4,300億ドルでは不十分だと思いますか?この質問への私自身の答え

「はい、不十分だと思います。」
そして更に付け加えてもよいのであれば 「この4,300億ドル増額合意というニュースは、ユーロ圏債務問題に対して若干のプラス材料にはなるかもしれないけれど、問題解決には何の寄与もしない点が問題である」と私は思っています。私自身の理由は後で書きますが、市場で心配されている点をいくつか挙げますと....
IMFへのクォータ(出資割当)率や議決権の見直しなどの「IMF改革」が増資受け入れの前提条件となっている新興国である中国、インド、ロシア、ブラジル、湾岸産油国などは、IMFにお金を出す代わりに自分の国の議決権

を増やしてくれ!と訴えています


IMFに於ける議決権

IMFでの決定事には加盟188ヶ国が投票します。この加盟国の議決権の大きさは、出資クォータ(出資割当額)と全加盟国が同数有する基礎票を合わせたものにより、それぞれの加盟国の議決権の比重が決定される仕組みとなっています。つまりクォーター=議決権=発言/影響力という認識となります。
米加の強~~~烈な反対米オバマ大統領もガイトナー財務長官も、ユーロ圏救済目的でのIMFへの拠出金増額には反対姿勢を貫いており、今回の増資も断っています。
しかし更に強硬姿勢に出たのが他でもないカナダのフレアティ財務相でした。まぁ、この方はギリシャ危機が悪化した頃から欧州各国の対応の遅さにしびれを切らしていた

のは知っていました。しかし先週のIMF増資の話し合いの場では、カナダは増資に参加する意思はないことに加え、

ユーロ圏救済に関してIMF加盟国のユーロ圏以外の国に対し拒否権を持たせることを提案

したのです。つまりIMF加盟188ヶ国のうち、ユーロ圏加盟国以外の全ての国に対し 『IMFがユーロ圏債務危機で財政的困難に直面した国に対し、IMFは金融支援すべきか否か

』 を問うつもりのようです。これはあくまでも提案で決定ではありませんが、予想以上に厳しい発言内容で私も驚きました。
そしてこの財務相はラガルド専務理事に対して、ユーロ圏の債務問題により金融支援を受けている国の財政状態をチェックするトロイカ調査団 (EU/IMF/ECBから成る) にIMFが加担することは、IMFの本来のあり方にそぐわない行為ではないのか?トロイカからIMFは抜けるべきだ とも提案したそうです。
ドラギECB総裁の言葉"Both structural reforms and fiscal consolidation have to be in place. If that is not in place, there is no firewall that is enough to cope with the unavoidable fluctuations of the market."
(ユーロ圏加盟各国政府は)構造改革と財政再建をしっかりと実施しなければいけない。もしそれがきちんと実行されていないのであれば、どれだけ莫大な欧州救済基金が設定されようと、マーケットの予期せぬ変動には対処不可能となる。

厳しい言葉ですが、真実が隠されていますね。つまり有権者の反対であったり、政府内での意見の調整がつかなかったりと理由はいろいろあるでしょうが、加盟各国が本気で財政再建努力をしない限り、援助資金なんていくらあったって足りないんだよ...という事なんでしょう。
*私が4,300億ドルでは十分ではないと思う理由・ギリシャ第一次金融支援額: 1,100億ユーロ
第二次金融支援額: 1,300億ユーロ
GDP規模: 2,370億ユーロ
債務残高: 3,488億ユーロ
・アイルランド金融支援額: 850億ユーロ
GDP規模: 1,640億ユーロ
債務残高: 1,220億ユーロ
・ポルトガル金融支援額: 780億ユーロ
GDP規模: 1,680億ユーロ
債務残高: 1,526億ユーロ



既に金融支援を受けている上記3ヶ国が受けた金融支援額は、(ギリシャを除き)それぞれの国のGDP規模の約半分ほどの額となっているのが判ります。しかしここで注意したい点は、アイルランドとポルトガルの公的債務残高の規模はGDPよりも少ない額となっているのに対し、ギリシャのそれはGDP規模よりも大きくなっている点でしょう。
それでは最近話題になってきたスペインとイタリアはどうでしょうか?
・スペインGDP規模: 1兆520億ユーロ
債務残高: 7,004億ユーロ
・イタリアGDP規模: 1兆5,300億ユーロ

ユーロ圏で3番目、世界で8番目に大きな経済規模
債務残高: 1兆9,000億ユーロ

ユーロ加盟17ヶ国の債務残高合計の25%を占める



スペインはアイルランドやポルトガル同様、債務残高はGDP規模よりも小さいです。
しかしイタリアとなると、GDPよりもはるかに大きな債務が残っているのが判ります。
現在市場ではスペインでの債務危機は同国だけの問題として捉えておらず、必ずイタリアが引き合いに出されます。
もし両国の長期金利が7%を越え、長期債の入札だけでなく短期債でも国家財政のやりくりが出来なくなってくる場合 『市場が十分だろうと思っている2兆ドルの救済基金』だけではとうていスペインとイタリア両国を支え切れないでしょう。そしてこの時には両国の格付けもジャンク債扱いになっているかもしれないので、利回りも急騰し、財政赤字額はますます増加。
オランダの財政再建案が合意出来ないこともあり、もはやユーロ圏債務危機問題はPIGSと呼ばれる’’南欧州’’各国だけでなく、ドイツと並ぶ’’北欧州’’の強硬国へと拡大してきました。
個人的には今年の6月か9月がひとつの山になるのではないか?と思っています。その理由はまたいつか
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