2日前のバレンタイン・デーから英FT紙が書き始めた気になる記事があります。

それはユーロ圏の財務相達が「ギリシャの民間債務交換交渉がスタートし、債務交換が途中まで来てしまった時点で、突然中止せざるを得なくなってしまった場合」の助言を米名門投資銀行:ラザード、法的な影響をNYの法律事務所に助言を求めたというものです。
そもそもこの動きが出たきっかけとしては

ユーロ圏関係者の間では、民間部門の債務交換が自発的に開始/終了するまでに、欧州議会に於けるギリシャ支援金支払条件内容の承認が終わらない可能性がある。その場合、ギリシャ救済案そのものが無効となってしまう可能性すら出てくる。もしそうなった場合、一部の民間投資家は既に債務交換を終了したこととなるので、それに関する法的措置はどうなるのか?

今週水曜日のユーロ圏財務相会合は電話会議

で終わり、ギリシャから提出された緊縮財政案の内容が協議されるのは来週月曜日(2月20日)まで先送りされてしまった。これにより欧州議会での承認手続き完了が3月20日に予定されている145億ユーロの大型償還までに間に合わない可能性が浮上


そうなると、民間投資家達は欧州議会の承認を待たずに自発的な債務交換に応じるのか、ますます不透明感が増した
*ラザードからの答え
「上記で指摘された不確定要素がある限り、債務交換交渉が成功に終わる確率をかなり低くしてしまうことは否定出来ない

。 民間部門にしてみれば、交換交渉に参加したとしても、果たしてギリシャが3月20日にデフォルトするかわからないので、既発債と交換する新発債を実際に受け取れるのか、3週間という長い期間不安を抱え続けなければならないからだ。」

「もしギリシャがユーロ使用を中止した場合、預金引き下ろし制限又は停止令が発令され、その時間を使ってギリシャ政府はドラクマの流通を急ぐ事になるであろう。
ギリシャ系の銀行のバランスシートに残っている資産/負債は全て固定されたドラクマ交換レートが適用される。国内の金融機関は一時的に閉鎖されるか、または現金引き落とし(窓口、ATMともに)額に制限が設けられる。そうしている間にもギリシャ政府は、それ以上の制限や停止が必要であるか常に考え続けなければならない。」
*英国政府の対応策英外務省は、ギリシャ国内の銀行が引き下ろし制限をかけた場合、どのようにしてギリシャ国内に在住する英国籍の人達を本国へ帰らせるのか検討中。



このブログに書いたかどうか忘れてしまいましたが

英政府はスペインに非常事態が生じた場合

の対応策は既に決定済みのようです。その理由はスペインには100万人の英国人が移住しているので、英政府としても対岸の火

と暢気に構えてられないからです。たぶん書いてないと思いますので、ここに書きますね



*英政府のスペインに対する対応策英国は比較的早くから「ギリシャのデフォルト、飛び火

、最悪の場合はユーロ崩壊

」 というシナリオへの対策を練っている国です。ギリシャという国はイギリス人の夏休み旅行の行き先として人気があるため、旅行業界は昨年夏が終わった時点で「2012年の夏休み旅行のキャンセル料金などをユーロ建てにするか、ドラクマ建てにするか」についてギリシャ観光局に問い合わせしていました

昨年10月になると英財務省と外務省が「ユーロ圏崩壊または加盟国のデフォルト対応策」を極秘に練っていると報道

12月に入るとすぐに英中銀キング総裁がユーロ崩壊という不慮の出来事

に対する対策を立てていると証言

年末のクリスマス直前になってはじめてタイムス紙が極秘の対応策の一部を暴露したのですが、その内容は非常に緻密なものでした。

イギリス人の海外移住先として欧州大陸で一番人気のスペインには、約100万人の英国人が住んでいます。その極秘報告によると、万が一スペインがどういう形にせよデフォルトまたはユーロ崩壊の影響で国内の銀行からの預金引き出しの制限/停止をした場合、スペイン在住の英国人は帰りの飛行機代

も引き出せないまま、悲惨な思いをしなければならない。それを想定し、英国から特別機、又はタンカーを出してスペイン在住英国人を着の身着のまま一旦英国へ帰国させるようです。そして一文無し

で帰国した人達に対しては、英財務省の特別勘定枠を使い、さしあたりの生活費を貸し付ける。それにより帰国した人達はとりあえず飢え死にせずに済む訳です。

スペインに残っている英国人の住宅ローン支払いに関しては、英財務省と英中銀そしてスペイン政府とスペイン中銀の間で暫定措置を取り付け、その住宅は差し押さえ対象にならない手配をする
など非常に事細かに書かれていました。これはたまたまスペインへの移住者が多いからであり、ユーロ圏のスペインやイタリアへ移住した人達に対しても同様の措置が取られると私は理解しています。

たぶん英国がここまで徹底して 「ユーロ崩壊後のシナリオ」 を立てているからには、同様の動きは他の主要国でも極秘にすすめられていると理解した方がよいでしょう。ただ誰もそれを公の場所で口にしないだけかもしれません。

長々と書いてしまい申し訳ありませんが、私が言いたかったことは、少なくとも英国では 「ギリシャのデフォルトやユーロ崩壊は絶対に起こらない」 という認識ではなく、起きた場合の対応策が既に練られた段階まで来ているのです。
欧州高官達が最も恐れているのは、1)ギリシャのデフォルトが他のユーロ加盟国に飛び火

する可能性 (特にスペイン、イタリア、フランス) 2)欧州発金融危機が「ギリシャはデフォルトしない、ギリシャは特別なケースだ」と繰り返し述べている本当の理由は、ギリシャがデフォルトすることによる金融危機を収拾するコストの方がギリシャ救済のコストより数倍高くつくので、そう言っているだけだと思います。もしギリシャが特別のケースであれば、ポルトガルも’’2番目に特別ケース’’と扱われるでしょう。
ギリシャのデフォルトがギリシャ国内で収拾する、又は欧州発銀行危機に発展しないということが可能であれば、欧州はとっくにギリシャを切り捨てていたのかもしれません。しかし欧州各国の大手銀行の規模が監督責任を持つ母国政府の規模に対して過大になりすぎたことを考えれば、ギリシャ発デフォルトの飛び火

は食い止められないでしょう。だから欧州当局や関係者は何をどうしてもギリシャが倒れないよう何でもすると思いますが、最終的にはデフォルトかもしれません。最近なんとなく限界が見えてきた感じがしています......
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