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英格付け見通しについて

このすぐ下の記事の続編です。

*英国財政状況

この表は1979年~2010年度までの英国の財政赤字の推移を示したものです。
赤い棒グラフは労働党政権、青い棒グラフは保守党政権です。一番右側の青い棒グラフは保守/自民の連立政権ですが財務相が保守党出身のため、青い棒グラフで表しました。
UK budget deficit since 1979
(クリックすると拡大します)

これを見ると、1988、1989年、そして1998~2001年にかけて英国の財政は黒字化していますが、それ以外全ての財政年度で赤字を垂れ流していることがはっきり判ります。

特に2008年のリーマン・ショックからの赤字幅拡大には目を見張る  ものがあります。

*2009年の出来事 

上のグラフ、右から2番目の赤い棒グラフに注目  してください。赤字幅が思いっきり拡大しているのが確認出来ます。

この年(2009年)の5月に格付け大手:S&Pは英国の格付け見通しを「安定」 『ネガティブ」へ変更しています。 ( 関連ブログ記事のリンクです">短い記事ですが、関連ブログ記事のリンクです)  その時もS&Pは当然のことながら「英国がトリプルA格を失う(格下げ)チャンスは30%となっている。」とも付け加えました。



当時 ’’見通しをネガティブに変更した’’という報道を受け、マーケットのリアクションは、ポンド1%以上の下落 、英代表株式指数であるFTSE100は2%の下落 、10年物ベンチマークの英国債利回りは上昇(価格下落)という過激なもの  となりました。



その後の展開ですが、英国はトリプルA格を失うことはなく  S&Pは2010年10月に見通しを「ネガティブ」  「安定」へ逆戻ししました 。 この逆戻しの背景には「財政均衡を最大の選挙公約として誕生した新連立政権が、公約通り財政赤字削減に真摯に取り組んでいる姿を評価。新政権誕生後すぐに発表された緊急予算案でも、2007~2009年度の間に一気に膨らんだ財政赤字を削減しようとする相当の努力が見受けられた。もし新政権が財政赤字削減に取り組む姿勢を見せなかったら、英国の見通しはネガティブのままであった。」と発表しました。

*今回の見通し変更後のマーケット・リアクション

昨夜の見通し変更発表がNY夕方だったことも手伝って、市場での反応は2009年時よりもずっと穏やかです。

一部のエコノミストは、米国やフランスなどのトリプルA格付けの国に対し、S&Pは既に格下げを実施した事実を考えれば、見通し変更などは相場を大きく動かす要因にはならず、単なる「ひとつのニュース」として扱われても不思議でないとしています。

しかし私は個人的に今回の見通し変更は非常に重い気持ち  で受け止めています。
その理由は、2009年の見通し変更の時には、まだ財政赤字削減に対する対策を打ち出すことが出来たのに対し、今回の発表時では既に過去2年に渡り財政再建を断行し、それが景気減速や失業者増加に繋がるという負の連鎖  を生み出しているからです。

ここからの最大の注目点は「いかにしてここから更に赤字を削減するか?」ではなく「景気回復のてがかりをどこで掴むのか?」に移ってきたと思っています。

そして一番恐い  のは、米国が格下げされた時のタイミングです。私の記憶が間違っていなければ、昨年7月にS&Pから警告を受けた米国の格付けが実際に下げられたのは、その翌月だった筈です。

もし歴史が繰り返すのであれば、英政府がなんらかの「景気浮揚策」を来月に予定されている来年度予算案で示さなければ来月末にでも早々と格下げされる可能性がないとは言えません 

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[ 2012/02/14 22:25 ] 経済 | TB(-) | CM(0)

ムーディーズからの発表

昨日夕方、格付け大手:ムーディーズが欧州各国の格下げや見通し変更を発表しました。
夕べから今朝にかけて、英国ではこの見通し変更発表を受け相当動揺している様子です。

*発表内容

ムーディーズ 格下げ 2012年2月
文字で読むと頭に入ってこないので  簡単な表を作ってみました。

イタリア、マルタ、ポルトガル、スロバキア、スロベニアは1ノッチの格下げ
スペインは2ノッチの格下げ
オーストリア、フランス、英国は最上位の格付けは維持出来ましたが、格付け見通しが「ネガティブ」となりました。

通常12~18ヶ月以内に改善が見られない場合は、ネガティブ見通しは直接の格下げにつながります。その可能性は30% 

*発表のタイミングに 

ユーロ加盟国の格下げや見通し変更は特に違和感ないようですが、英国の見通し変更に関しては「タイミングがおかしくないか?」という指摘が国内でされています。

「米国の景気回復に若干希望が持てるようになった直後、英国から発表された経済指標でも大きな改善が見られた。依然としてユーロ圏債務危機問題の行方には不透明感が漂っていることは事実であるが、英国の国債イールドも全く上昇していない点を考えると、このタイミングでの見通し変更は少し疑問を持たざるを得ない。」というのがその代表的な見解となっています。

*ムーディーズからの警告 

昨日の見通し変更発表はオズボーン財務相に対し、政治的にも個人的にも相当打撃  を与えた筈です。同財務相は常々「英国のトリプルA格付けは、我々が断行している緊縮財政政策が正しいと認めている証拠である。」 と語っていたからです。

昨日の発表直後に行われた動財務相へのインタビューでも、同氏は「現在ユーロ圏や他の地域を直撃している債務危機問題の深刻化を受け、英国も赤字削減に対しますます真剣に取り組まなければならないと再確認している。」と緊縮財政政策の続行を確認。
Osborne Oct 10

ムーディーズは今回の変更見直しの理由として

1)今回の見直し変更の最大の要因は、英国のマクロ経済を取り巻く環境が不安定になったこと。この環境のもとで2015/16年度までに財政均衡を達成することは厳しいものとなるかもしれない。

2)英国はユーロ圏には属していないが、ユーロ圏債務危機の悪化が顕著となった場合に英国が受ける経済/金融/政治的ショックは計り知れないものがある。

3)公的債務残高がトリプルA格付けの国でも高い点も見逃してはならない



昨日の発表を受け、現在でもS&P/ムーディーズ/フィッチ3社ともにトリプルA格+見通しが安定的である国は

オーストラリア、カナダ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、シンガポール、スウェーデン、スイス  の8カ国


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[ 2012/02/14 20:42 ] 経済 | TB(-) | CM(0)

ギリシャに与えられた時間

*ギリシャに与えられた時間

欧州連合は、ギリシャ政府がこの週末に可決した追加緊縮策がどのように確実に実施されるのかについて、明日水曜日までに納得行く説明を求めました。それを受け、本日13:00GMT(現地時間午後3時)よりギリシャ閣僚会議が召集される予定となっているようです。

明日水曜日まで.....という時間の限定ですが、これは水曜日にユーロ圏財務相会合が開催される予定となっており、その場で本日中にギリシャが決定する実施内容を協議するからに他なりません。

*ギリシャGDP発表

つい今しがた2011年Q4ギリシャGDPが発表されました。それによると同国の2011年GDP(年率)はマイナス7.0% 

ギリシャGDP 2012年2月

2011年を通してのGDP推移(全て年率)は

Q1 2011: -8.0%
Q2 2011: -7.3%
Q3 2011: -5.0%
Q4 2011: -7.0%

Q3で若干持ち直したものの、結局また振り出しに戻りかけているというイメージです 

*ポルトガルGDP発表

ギリシャに続き、ポルトガルの2011年Q4GDPが発表されました。

2011年Q4 -1.3%(前期比) -1.5%(前年比)

同国の今年のGDP予想は-3.0%となっており、相当厳しい一年  となることは間違いなさそう

*某欧州系銀行の相場予想

・ユーロ/ドル
1ヵ月後の予想を当初の1.2000  1.3000へ修正
3ヵ月後の予想を当初の1.1500  1.2500へ修正

・ドル円
3ヵ月後の予想を当初の75円  77円へ修正

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[ 2012/02/14 19:47 ] ユーロ危機 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

N20   (松崎美子)

Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

口座残高ゼロ経験あり

セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
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2012年11月16日より毎週金曜日に連載を担当することになりました。 皆さん是非ご覧下さい !
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