翌日物預金残高の増減 や
3年物LTRO など、ユーロ圏債務問題解決に向けて次の一手が注目

される欧州中銀(ECB)
実際に欧州系の銀行は、今までにECBが行ってきた危機回避手段をどのように評価しているのでしょうか?
ある欧州大陸系大手銀行のエコノミストがQ&A形式でまとめました。それをご紹介します。
私自身、これを読みながら「ヘェ~

」とか「なるほど~

」とか 「マジ?

」と声を出してました

個人的には非常に役に立って嬉しかったです
Q: ECBの無制限資金供給オペにより、市場の資金調達はスムーズになりましたか?A: はい、ユーロ圏各国のインターバンク市場での資金繰りは楽になりました。’’劇的に改善した’’とは言い難いですが、ベンチマークであるライボー金利と翌日物金利のスプレッドが狭くなりました。最も改善した部分は、ドルの資金繰りです。今まで欧州系銀行がユーロをドルにする際の上乗せスプレッドが高すぎてドルの資金繰りが大変でしたが、このスプレッドが77bpsも下がり、昨年8月以来のレベルまで低下したからです。
Q: ECBが新たに導入した3年物無制限資金供給オペ(LTRO)には具体的にどのような銀行が参加したのでしょうか?A: 3年物LTROから資金調達した銀行は、予想通りPIGS諸国の銀行が多かったのは事実です。第2回目の3年物LTROは2月29日に予定されていますが、その時の資金調達総額が1回目の4,892億ユーロを越える額になるとは思っていません。
Q: どうして欧州の銀行はほとんど金利がつかないECBの口座に資金をデポジットしておくのですか?A: 「欧州の銀行は1%の金利を払って調達した資金を0.25%の金利しか払わないECBの口座に預けておくなんてバカげている」

という議論をよく耳にしますが、それは間違っています。
ECBから資金調達する銀行と、ECBに資金を預け入れている銀行は同一ではありません。
例を挙げますと、フィンランドの銀行は12月の3年物LTROで20億ユーロの資金を調達しました。ところがフィンランド系銀行達がECBに預け入れている金額は合計すると500億ユーロという額になっています。それに加えて、同国系銀行はECBの1週間固定金利デポには180億ユーロ預けています。
Q: 3年物LTROから調達した資金は、PIGSや他のユーロ加盟国の国債購入に充てられているのですか?A: 一部の資金は仰るとおりユーロ加盟国の国債購入に充てられたのではないでしょうか?スペインやイタリアの国債入札が成功を収めた

ことからもそう判断出来るでしょう。しかしかなり多くの部分は銀行債の償還などに充てられたと見ています。
国債投資に対する我々の見方ですが、欧州系の金融機関がPIGS各国の国債に対しここから積極的に投資することには及び腰姿勢

であると見ています。最近特に成功したと言われているスペインやイタリアの短期債入札結果ですが、2月29日の第2回目の3年物LTRO以降も持続して好調な成績を収め続けられるのか?については懐疑的です。

Q: ECBの資金供給はインフレ懸念を引き起こさないのですか?A: いいえ、ECBの資金供給はデフレにおちいらないための対策です。ECBが資金を供給してくれるお陰で市場での資金不足が解消されているのも事実です。多大な困難を抱えているユーロ圏で資金不足が顕著になってしまうと、即刻クレジットの収斂

を引き起こし、それはユーロ圏の先行き景気動向をますます悪化させるきっかけになります。
ECBが供給した資金が民間部門の融資や貸付に積極的に廻るようになった時にはじめて、インフレ懸念を心配しなければならなくなるでしょう。しかし近い将来それが現実のものになることは難しいと思います。
Q: ECBのユーロ加盟各国の国債買い支え(SMP)は有効な手段であると思われますか?A: ECBが2010年5月にPIGS各国の国債買い支えプログラム(SMP)を開始してから現在までに2,200億ユーロの残高があると言われ、この額はユーロ圏(17ヶ国)全体のGDP規模の2.3%となります。
ECBがSMPを開始して以来、PIGS各国の国債イールドは下がるどころか上がっています

。つまりSMPは効果を発揮していないと言えるでしょう。たぶんこの意見に対しECBは 「SMPがなければ、PIGS各国の国債イールドはもっともっと高くなっていた筈だ!

」 と反論するに違いありません。もっともな意見ではありますが、それだけでは満足出来ません。
ECBは 「市場介入する目的は金融政策の効果が加盟各国へ平等に波及することを維持するため」 と言っていました。しかし加盟各国に於ける貸し出し金利ひとつを取ってもとても平等であるとは言い難いことを考えた場合、SMPが成功した!とは言えないのではないでしょうか?
Q: 2012年にECBが取る新しい手段/政策は?A: 昨年起きた原油やエネルギー価格の高騰は、今年は今のところ鳴りを潜めており、インフレ懸念は一旦後退しました。
そのため、ECBには更なる政策金利下げ余地が出てきたと言えるでしょう。そのため、最低でも0.25%の追加利下げを実施すると考えています。
政策金利の利下げ以外では、ECBはPIGS各国の国債に対し、SMPをさらに強化し増額してくるでしょう。欧州の政治家達の危機収束手腕があまり当てにならないことや、最近の加盟国の格下げを考慮すると、ECBが危機収束に対し大きな役割をおわざるを得ないことは明白です。
万が一’’非常事態発生’’

となった場合は、ECBが加盟国の国債イールド上限金利を設定する可能性もあると見ています。

すみません、ここから私です。
この「国債金利上限設定」ってどのようなメカニズムで可能となるのでしょうか?
例えば、ユーロ加盟国の国債イールドの上限を6%と設定したと仮定した場合、6%を越えたら即時ECBがその国債を’’無制限で’’買い支えるという意味ですよね?

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