おはようございます

、と言ってももうすぐお昼時間。昨夜は久し振りに目覚ましをかけずに寝ました。そうしたら今朝眼が覚めたのが10時20分

日本から戻りそろそろ2週間になりますが、8時間寝たのははじめてです。そのせいか非常に爽快な気分ですよ、今日は

昨日はずっと外に出ていたのですが帰宅後にニュースを調べたら「ECB3年物資金供給」に関する記事ばかりが目に付きました。このブログの読者の方は既にこのニュースをよくご存知かと思いますが、私自身の記録のためにざっと読んだあとの感想を書き留めておきたいのでその点はご了承下さい
*欧州中銀(ECB)による3年物資金供給オペとは?ECBが市中銀行に向けて実施していたオペは最長13ヶ月まででした。しかし今回「3年物」という期間の無制限オペを新たに導入。
オペ総額: 4,891億9,100万ユーロ
オペに参加した金融機関の数: 523行
資金供給金利: 固定1.00%
事前にロイター社がエコノミスト達に対して行ったアンケート予想では、オペ総額は「3,100億ユーロ」との予想を出していた

予想以上の金額を供給したことになる

2009年6月、リーマン・ショック後にECBが実施した1年物無制限資金供給オペでは、
1,121行が4,420億ユーロの資金を受け取りました。これと今回の3年物を単純に比較すると、参加した金融機関の数は半分に減ったにもかかわらず、オペ総額は若干増えている事がわかります。

今回の3年物オペに参加した銀行の国別の割合はわかりませんが、資金繰りに問題があると思われるPIGS諸国の銀行が多額の資金供給を受けたという見方が優勢

国別明細は来月にでも発表される各国中央銀行のバランスシートである程度判明すると思われますので、その時のユーロ動向には注意



が必要です。
*4,891億9,100万ユーロ という数字が意味するもの
この数字はスペインとイタリア両国による2012年入札総額の1.5倍にあたる

だからと言って、この資金で欧州系銀行が両国の新規発行国債を買い上げる保証はどこにもない。

ある英系銀行の予想

オペ総額:約4892億ユーロのうち 「1930億ユーロが新規にシステムに注入される資金」 + 「2960億ユーロは満期を迎えた資金の借り換え分」 だと推計

その銀行のエコノミスト弁
「民間部門への融資や銀行債の償還」に使われる公算が大きいとし、「周辺諸国の国債購入に多くが使われるかは疑わしい」

英中央銀行(BOE)の試算によると、ユーロ圏の銀行が2012年に償還期限を迎える債務総額は6000億ユーロ+

この数字は2011年より35%増

3年物オペ総額よりも多めであるが、今回のオペ資金のほとんどは償還を迎える債務返済に廻るのか?

ある新聞の報道では、2012年中に償還期限を迎えるユーロ圏金融機関の債務総額は7,000億ユーロ、そしてユーロ圏加盟国全ての国債償還総額は1兆6,000億ユーロ

今回の約4,892億ユーロという金額はスズメの涙的規模にしかならない。

2008年9月に起きたリーマン・ショックの時、資金調達目的で銀行は債券を発行した

その時発行された債券は3年物が多かった

2012年に大量の償還を迎える

具体的な数字を挙げると、来年第1四半期には2,300億ユーロ前後の銀行債が償還を迎える見込み

今回の3年物オペの一部はこの償還資金に充てられるのか?

キャリー取引に使われる?

ECBの政策金利である1.00%で3年という長い期間の資金調達が可能となったので、多少のリスクを取りに行くと考えられる
この供給オペの前日に行われたスペイン短期債入札結果 が非常に好調であったことを考えると、3年物資金供給に先駆けてキャリー取引に踏み切ったのではないか?(ちなみにこの入札時の3ヶ月物落札金利は1.735%、6ヶ月物は2.435%)

それに加え、この日からスペインなどの10年物国債利回りも低下傾向を辿っている。

新銀行自己資本比率規制(バーゼルIII)への移行に先駆けて

欧州銀行監督機構(EBA)は英国も含む欧州系銀行に対し、2012年6月までに狭義の中核的自己資本比率(コアTier 1)9%を義務付けています。

一番大事な点は欧州系銀行が抱えている資産の査定基準

満期保有目的の資産をいくらで査定するかにより、各銀行が必要な資金額がかなり違ってきます。

ギリシャを60%、ポルトガルを25%、スペインを0.8%、イタリアを4%、アイルランドを9%とした場合、9%のコアTier 1達成に必要な金額は2600億ユーロとされています。

BISの試算によれば、欧州系銀行が新自己資本規制に対応するためには約2兆5,000億ユーロに上る貸出債権を圧縮する必要が生じるようです。今年後半特に目立っている欧州系銀行による資産の売却などに代表されるレバレッジ外しの動きは目を見張るものがあります。

今回の3年物オペの資金は、この自己資本規制の為に使用されるのではないか?という見方も多いです。
*私個人の感想欧州債務危機に対応し、日米欧の主要中央銀行が銀行向けのドル資金供給オペに適用する金利を引き下げる協調策を打ち出したのは、つい先日だったと記憶しています。この措置の背景には、一部の欧州系銀行は以前のような低金利で市場から資金を調達する事が無理になってきたことを受けて実施に踏み切ったと考えられる

そうなると、資金繰りに窮している欧州系銀行にとれば、1%という低金利で3年間の資金を借りられるというのは恵みの雨の筈

しかし実際に参加した銀行数が2009年6月に実施された1年物資金供給オペの半分であった事実に私は驚きました

。この事実は見方を変えれば、リーマン・ショック後はどの金融機関にとってもある程度の資金繰りの難しさはあったので、オペに参加した銀行数は多かった

今回は勝ち組/負け組がはっきりしており、資金繰りに窮している銀行はとことん困っている

ので参加行数が低い割りに資金供給量は以前を上回ったことになり、問題は今回の方が深刻度を増している

と受け取れます。
今回の供給オペが過去2年に渡りユーロ圏を悩ませ続けている債務危機問題の解決にならないことは、私がここに書くまでもありません。今回の措置はあくまでも延命装置であり、長年苦しんでいた病が完治した訳ではありません。
特に来年6月までに狭義の中核的自己資本比率(コアTier 1)9%を義務付けられている以上、PIGS特にギリシャやポルトガル国債へ意欲的に投資する訳にはいかない

つまり今回のオペにより達成された点は、欧州系銀行が近い将来破綻する危険性が一旦は遠のいた + 金融機関に対し流動性を供給した に留まると思っています。
この3年物無制限資金供給は今回一回限りではなく、次回は2012年2月29日に実施予定となっており、これはECBによる量的緩和策という考え方をしているエコノミストがいることも事実です。
今後注目すべき点としては、継続される3年物無制限資金供給と欧州系金融機関による資産の売却などに代表されるレバレッジ外しの動きとの相関性だと思っています。もし今後レバレッジ外しの動きが緩和された場合、主要国株価は上昇する可能性が増すと同時に、各金融機関の海外の拠点撤退の減少や、顧客向け貸し出しの向上などが考えられます。これが現実化すれば、ユーロ加盟各国の企業活動が活発化し、景気回復に向けて淡い期待さえもてます。そしてこれはユーロ買いに繋がる点も忘れてはなりません。
過去記事でも紹介しましたが、1990年代に起きた日本の金融機関の国有化/破綻を受け、日本の金融機関全体にジャパン・プレミアムという貸出金利上乗せが生じました。もちろん事の深刻度は現在欧州系銀行を襲っている問題とは程度が全く違いますが、それでもあの時に今回のような無制限供給という措置が講じられなかったことは残念です。
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