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リテールとカジノ・バンク

あまり為替には関係ない問題ですが  英国に住む私には非常に大事な問題ですので記事にすることにしました。

本日、待ちに待った英銀行独立委員会(ICB Independent Commission on Banking )の中間報告が発表となりました。最終報告は9月になる予定です。

*どうして’待ちに待つに値する’報告書なのか?

米国ではリーマン・ショック、英国ではRBSやロイズ銀行の一部国有化と、2007年夏に米国でサブプライム問題が発覚して以来、世界中が金融不安で揺れました 。 日本ではどういう議論になっているのか分かりませんが、英国では2度と同じ過ちを犯さないためにも、リテール(小口金融)部門とカジノ・バンクと呼ばれてしまっている投資銀行業務を完全に分割する案が力を増してきていました。現連立政権の片割れである自民党議員や一部保守党議員からも特に ’カジノ・バンクを諸悪の根源とするような発言’ が目立っていました。

これらの発言を受けて、HSBCとバークレイズ銀行は 「リテールと投資銀行業務を2分化すると資金調達コストなどの余分な負担金が年間数十億ポンドかかる。もしそうなった場合は本店の移動 (HSBCは香港、バークレイズはニューヨーク) を考える。」ときっぱり断言 。 事実バークレイズは米銀行委員会だかなんだかと本店移転準備の可能性について既にミーティングを持ったそうです。



これで慌てた  のはオズボーン財務相。英国の代表的な2行が海外に本店を移してしまったら、金融センターとしてのロンドン・シティーの地位を脅かす屈辱的な事実となってしまうだけでなく、税収大幅減のダブル・パンチ  です。



結果として、本日のICB中間報告書ではリテールとカジノ・バンクの事業を真っ二つに分割すべき とは断言せず  リテール部門を別子会社として囲い込む方法を提案  これを受けて英銀行株上昇 

*ロイズ銀行による支店売却数増加か?

今回の中間報告書によると (2008年にHBOS買収を命じられた)英ロイズ銀行に対し、EUは域内競争法に基づき支店売却命令が出ています。

かなり古い記事で恐縮  ですが、このブログ記事 から内容を一部抜粋します

EU競争法の中に SMP (Significant Market Power) 有意な市場力評価のガイドラインというものが存在し その中に 単独支配性評価基準(市場シェア等)というものがありました。その基準として 
25%  市場シェアで支配的地位 認められず
40%  市場シェアで支配的地位 懸念が発生
50%超  例外的な支配的地位存在が認められる

つまりロイズは英国内の普通預金/貯蓄預金全体の50%を占めているので、単独支配性評価基準の’スゲェ~~~ ヤバイ  ところまで 来ちゃってるという事のようです。


今回の中間報告書が出るまでは、ロイズ銀行は600の支店売却義務がEUから課せられていたようですが、この中間報告書ではそれを上廻る1,000の支店売却を指示した模様です。

とりあえず本日の報告書で「リテールとカジノ部分の分割はない」とされたので、これを受けて今後のバークレイズやHSBCの出方を見守ってみたいと思います。

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[ 2011/04/11 20:36 ] 経済 | TB(-) | CM(0)

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[ 2011/04/11 18:47 ] 過去のパスワード必要記事 | TB(-) | CM(-)

ECBの利上げは間違いだったのか?

*英オブザーバー紙の記事

シティーの金融コンサルティング会社:Fathom社が行った分析によると、ギリシャとアイルランドに対する金融支援金利はECB政策金利にリンクしているため、先週の利上げにより両国が支払う利息が増え  財政再建遅延懸念発生   今後も一定期間を経てECBが利上げを実施すると仮定  ギリシャやアイルランドがデフォルトにおちいる危険性は避けられないかもしれない   ポルトガルもその例外ではない 

*スペインへも飛び火? 

ポルトガルが金融支援要請をしてからというもの 間髪もいれず、スペインの首相、財務相、経済相達が「スペインは大丈夫!」「その証拠にポルトガルと同日に実施した入札はバッチリ上手く行ったじゃないか?」など自信満々の発言が続きました。

しかしFathom社は、スペインはユーロ危機を避けて通るのは難しいのではないか  という考え方のようですね。この記事を読む限り、同社は 「政府の財政赤字に加え、スペインの銀行の債務借り換えは2011年度は対GDP比5%以上、2012年度は9%以上という規模になる。今後ECBの利上げが継続すれば、スペインの借り入れ金利も当然上昇し、同政府に対して相当の負担となり  それが財政危機を引き起こす。」 ということです。

*ユーロ切り下げ?

もしユーロ加盟国のデフォルトが連続して起きた場合(マジ? ) 市場の信用性がとことん傷つき、通貨(この場合、ユーロのことでしょうね)は30%ほど切り下げされる結果となるであろう という具体的な数字も出してきています。



利上げによる借り入れ金利上昇はユーロ圏を2極化(ドイツなどの優等国とPIGS劣等国)するだけでなく、ユーロ加盟国をばらばらに分裂させてしまうかもしれない。そして現在ユーロ圏を悩ませている加盟国の債務危機問題は「国家のソブリン危機ではなく、銀行セクター危機」であるとも書かれています。



*ソロスさん

世界的金融危機以来、主要国中銀で最初に利上げの決定を下した欧州中銀(ECB)。ソロスさんはこの利上げについて 「世界各国の経済は食料品や一般的な商品価格の上昇プレッシャー  を受けている。そのプレッシャーの誘惑に負け利上げしたECBの判断は極めて不適当である。ECBの金融政策は物価安定最優先 であることには変わりないが、ユーロ加盟国内で過剰債務問題に真剣に取り組んでいる国々にとり、今回の利上げは不利になるかもしれない。そして最近ずっとユーロ圏を悩ませている債務超過問題のお陰で単一通貨:ユーロには暗雲が立ち込めている。」と語った模様です。

それでもまだ世界各国の中銀やSWFはユーロをここからガンガン買っていくのでしょうか?
もう寝ます。本当は記事を書くつもりではなかったのですが、気がついたら書いてました  お休みなさい~ 

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[ 2011/04/11 12:00 ] ECB 欧州中銀 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

N20   (松崎美子)

Author:N20   (松崎美子)
東京でスイス系銀行Dealing Roomで見習いトレイダーとしてスタート。18ヶ月後に渡英決定。1989年よりロンドン・シティーにあるバークレイズ銀行本店Dealing Roomに就職。1991年に出産。1997年 シティーにある米系投資銀行に転職。肉体的・精神的に限界を感じ、2000年に退職。その後、憧れの専業主婦をしたが時間をもてあまし気味。たまたま英系銀行の元同僚と飲みに行き、証拠金取引の話しを聞き、早速証拠金取引開始。

口座残高ゼロ経験あり

セントラル短資FX (株)さんで 連載スタート
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