予算案発表から既に1日経ちました。もっと早く記事更新を と努力したのですが、やむを得ぬ事情が生じまして昨夜は夜中2時まで外出しておりました。
まずは、
予算案の原稿リンク です。お暇な方はお読みください。私は読みません

今回の予算案は 「戦後最も過酷な予算案」

と いう呼ばれ方をしていましたが、発表前の増税幅予想があまりにも過激

だったせいか、実際に発表を聞いていても ショックは受けませんでした。人間の心理って面白いものですね。
ブログでも何度か書きましたが、今回の緊急予算案に於ける最大の関心事は VAT率とCGT税率の「上げ率」。VAT 20%へ!と聞いた時は 既に「心の準備」が出来ていましたので 仕方ないかな...

と諦めがつきましたが、CGT税がHigher rateの人だけを対象に28%と知った時は かなり ホッとした人が多かったのではないかな?と思います。国民全員に対し CGT率40%へ というのが、私達が想定していた内容であったからかもしれません。
*VAT上げ 17.5%
20%予想通りと言ってしまえばそれまでですが、やはり 20%は痛いッス

。 VAT上げ実施が来年1月4日からですので、今年のクリスマス商戦

は最後の追い込み需要が期待出来そうですね。クリスマス後の売り尽くしセールも 1月3日までが勝負

。 その後は 誰も何も買わないかもしれない、つまり 商店街は幽霊屋敷のような静けさ

かも。もちろんその時の景気動向にもよりますが、そもそもイギリスの2月というのは 「ワクワク

する事が何もない月」

の代表みたいなものなので、かなり景況感が落ち込むような気がします。
現在 小売業者用の店舗物件の約15%が借り手不在状態のままですが、今回のVAT上げの影響で 閉店せざるを得ない小売業者は増えるでしょう。その為 失業者が増加するという負の面と、店舗用賃貸料の値下げに踏み切る家主も出てくる面とが背中合わせとなりそうです。
予算案が発表された昨日、ちょっとした事があってロンドン在住の日本人宅に友人3名が集まりました。その時にも予算案、VAT上げの話題が出て、私も含めそこにいた全員が家電製品や車などの大型製品の前倒し購入は避けられないよね!という話しになりました。私は家の改築を3年前にやったのですが、一部 手を加えなければならない箇所があります。修繕費/人件費共にVATがかかりますので、そういう手配もVAT上げの前に済ませておかないとなりません。たぶん 英国中がそういう状態になると思われるので、先ほど書いた駆け込み需要は高まらざるを得ないですね。
*CGT上げ今回の予算案では Higher Tax rate の所得を受け取っている人を対象に CGT税率が18%から28%へ上がりました。
英国に於ける所得税は4段階から成り立っています。
・Lower rate 0~2,440ポンド 所得税 0%注 
:このLower rateは 年間所得総額が2,440ポンド以下の人のみが対象。
・Basic rate 0~37,400ポンドまで 20%
・Higher rate 37,401~150,000ポンドまで 40%
・Additional rate 150,000ポンド以上 50%例えば 年間所得総額が 50,000ポンドの人は、37,400ポンドまでが20%、37,401~50,000ポンドの部分が40%の所得税が適用されます。
で、今回のCGT税28%適用は この所得税 40%であるHigher rateを払っている人達のみが対象となります。
*果たしてどれくらいの人が 40% Higher rate の所得税を支払っているのでしょうか?私は何をするにも、まず どのくらいの人がそういう対象に含まれるのかの「数字」を見ない限り 納得しない嫌な性格の持ち主です

調べてみたら、1997年労働党政権が誕生した当時は全労働人口のうち 約200万人が 40% Higher rate に属していました。それから13年後の現在、その数は2倍の400万人に達したと報告されています。2010年6月時点での英国連邦総人口推定約6,250万人

労働人口は3,360万人(2009年9月時点)

40% Higher rate bandに属する労働人口は全体の約12%に当たります。12%なんて大したことない

と思われるかもしれませんが、私が渡英した当時は たぶん全労働人口の5%未満だったような記憶がありますので、やはりかなりの比率アップと個人的に思います。
*CGT税率変更は昨夜からちょっと早急すぎないかい?

という印象もありますが、見方を変えれば X月から税率アップ

という期限をつけてしまうと、CGT上げ前に不動産売却をする人が増え、一時的にせよ 不動産価格の値崩れを起しかねません。その意味からは この決定は正しかったように思います。
*感想VAT上げは赤字削減に向けて避けて通れない事であるのは私達も理解していますし、(年金受給者の方々には気の毒ですが) VAT上げというものはこの国で買い物やサービスを受ける人全員に
公平に課せられる物である事を考えると、ある意味 諦め

もつきます。
これにより景気減速が起こらないという保証はどこにもありませんが、もし 景気の2番底をつけて そこから這い上がれるものであれば、「痛みは短期的なもの、その恩恵は長期的なもの」となる筈ですから、我慢のし甲斐がある

と見てもよいかなと思っています。ただ 私と同じ考えをする人がたくさんいるとは思えませんが...

その理由は、VATというものは どの資産階級に属している人にも均一に課せられます。私自身は先ほど書いたように 公平な課税というものを支持しますが、貧困層に属している人達や年金受給者にとってみれば たまったものではありません。オズボーン財務相は繰り返し 「今回の予算案は公平なものになるよう 極力 努力した」と言っていましたが、VAT上げそのものが既に不公平な増税であるという見方は根強いです。
たぶん政府もそこを考慮してでしょうが、CGTの課税対象を高額 (と言っても 37,401ポンド以上ですが...)対象に絞ったのかもしれません。
秋には 各省庁個別削減額とその内容が発表されます。
とりあえず 来年1月のVAT上げまで 英国に住む私達は如何にVATが低いうちにやる事をやっておくか 計画を練らなければなりません。
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