お早ようございます。本日夕刻 待ちに待ったマンションハウス・スピーチが行われます。日本では全く無名のスピーチですが、ここイギリスでは 金融関係者の間では知らない人はいない有名なスピーチと位置づけられています。このブログの過去記事を探したら 2008年6月に記事を書いていました。
リンクは これ。その過去記事から一部抜粋です
イギリスの財務相は 年に一度 英国の代表的な政治・経済・金融関係者に対し 英国経済状態を説明する機会が与えられ これを マンション・ハウス・スピーチ と呼びます。実際には 事前に話す内容を首相や他の政府首脳と打ち合わせしている筈ですが、このスピーチは本来 財務相が<自分の言葉で自由に英国経済について語る>のが趣旨とされています。そもそも このマンション・ハウス・スピーチが いつから始まったのか知りませんが 1911年のスピーチ原稿が存在するところを見ると かなり古い習慣のようです。
今年のマンション・ハウス・スピーチは 明日の夕方(6月18日水曜日)に行なわれます。現ダーリング財務相にとっては 最初のスピーチとなりますので 英国の経済・金融界、そして 報道各社が注目している事 間違いなしです。この日は財務相に続き ロンドン特別区長(Alderman David Lewis) そして 英国中央銀行キング総裁のスピーチが続きます。
私がまだ現役で働いていた当時は マンション・ハウス・スピーチがある夕方は ディーリング・ルームに残らされました。財務相や中銀総裁が 結構 きわどい発言をして ポンドが右往左往したからです。私は当時イギリスの3大銀行のひとつで働いていたので うちの銀行の会長は当然マンション・ハウスのディナーに招待され 直接 財務相や英中銀総裁のスピーチ そして <ここだけの話し>を聞く機会に恵まれていた訳です。マンションハウスの翌朝 ディーリング・ルームのミーティングでは <ここだけの話し>の全内容は無理ですが そこから考えられる今後の金融政策 そして金利・通貨動向を話し合ったものでした。
ところで どうして マンション・ハウス・スピーチと呼ぶかと申しますと このスピーチがマンション・ハウスで行なわれるからです。マンション・ハウスとは 公式にはロンドン特別区の区長公邸の事です。ロンドンには33自治区あり ロンドン金融界・シティーは このロンドン特別区内に存在します。ロンドンに観光・商用目的で来られた方でしたら たぶん バンク駅と言えば ”アッ!行った事あります”という方も多いと思います。バンク駅で電車を降り階段を登って地上に上がると すぐ目の前にあるのが 英国中央銀行(バンク オブ イングランド)、通りを渡って右にあるのが 王立取引所(ローヤル・エクスチェンジ)、反対にバンク・オブ・イングランドから通りを渡って左にあるのが マンション・ハウスです。今週と来週は新連立内閣の財務相:オズボーン氏にとって「人生最大のテスト」が待ち受けていると言っても過言ではありません。最初の大テストは 本日のマンションハウス・スピーチ、第2のテストは来週の緊急予算案です。
*どうしてマンションハウス・スピーチは そんなに重要なのですか?一番最近ですと、1997年総選挙で労働党が大勝利

を収めブレアー首相誕生、当時財務相に就任したブラウン前首相は 数々の驚き発言

をこのマンションハウス・スピーチの場を借りて行いました。
最初の驚き

は 英中央銀行の独立宣言

。独立に伴い 英中銀は物価安定を維持

インフレ・ターゲット導入

その達成を可能とする政策金利の設定義務を負う。そして 金融政策理事会(MPC)が発足しました。
次の驚き

は FSA(Financial Services Authority 金融サービス機構)の設立でした。これにより FSAは金融業界全般の規制、監督権限を与えられました。
このように 特に新しい財務相が就任した直後のマンションハウス・スピーチは、新財務相にとって絶好の「政策方針表明」の機会となる為、特に眼が離せません
*オズボーン新財務相のスピーチ内容予想は?2007年に端を発した金融危機の影響で世界中の金融機関がガタガタになりました。皆さんもご存知のように英系銀行も例外ではなく、国民の税金を使って一部国有化される銀行が2行出ました。
今回の新財務相のマンションハウス・スピーチの注目点は ズバリ

2点です。1)「金融システム」規制 2)銀行税導入。規制内容としては 有料記事に書かせて頂きますが、大雑把に言ってしまえば 現在FSAが行っている監督権限の一部を英中央銀行へ譲渡するようです。保守党としては FSAを完全に撤廃して全ての権限を英中央銀行に譲渡したかったようなのですが、連立相手の自民党がその案に対し難色を示した為

、妥協案を取ったとされています。
英中銀の監督権限強化により 英住宅ローン市場へ直接介入が可能となりそうです。そうなると今後の英住宅市場動向を英中銀が直接/間接的にコントロールする事にもなりかねない為

、 一部 懸念する声も聞こえてきます。これについても 有料記事で書かせて頂きます。
銀行税導入が決定された場合、その詳細は6月22日の緊急予算案で発表される予定となっている為、本日は導入の是非に関してのみ言及されるようです。
*マンションハウス・スピーチ 他の注目点目玉はオズボーン財務相だけでなく、英中銀キング総裁もスピーチをします。英中央銀行の監督権限強化に対するコメントが期待されます。
*スピーチの時間会食会ですので 時間的なずれが生じやすい為、具体的な時間はまだ発表されていませんが、だいたい例年ですとロンドン時間午後8時45分くらいから10時前後 (日本時間 木曜日午前5時ちょっと前~6時くらい) にかけて行われる筈です。
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