秘信の方から 以下のような質問を頂きました。
今日、久しぶりにいろいろなブログやらを覗いていたら、英国に関する とある人のブログにこんなことが書いてありました。
N20さんはこれを見て、英国に住んでる方として同じように感じるのかな?と思って書いてみまーす!
そんなに英国の財政赤字って国民が肌で感じる程深刻ですか? 日本も財政赤字ってすごいですが、不景気だとは思いますが、私は就職した時からずっと不景気なので、今更って感じなんですが…
こんなに自信を持って書いてる記事って久しぶりに見たのでN20さんの 見解聞いてみたいな~と思いました。 今年の3Qから4Qにかけて英国にソブリン問題が飛び火する!120%格下げだ! 左派と右派が同居する現英国政権では政策立案面で双方の意見を考慮していかなければならないが双方の意見が対立してくるのは時間の問題
今、赤字削減策を行っており、英国に対して市場は好感まではいかなくともそれほど悪いようには見てい市場だが、英国は結局金融中心での経済発展を遂げてきたことが仇となっていることを市場が認識するのはまもなくだ。現在、実需産業に裏打ちされていない英国に於いては、金が出て英国に資金が流入しずらくなっている。金融大国英国の時代はすでに終った。
実に、金融市場が確実に英国離れをしているのは明らかだ!! 世界にとって英国なんぞもう全く興味がないものになってるのだ。金融が集まっていたロンドンからは撤退しているんだ!
米英は信頼とか言ってたが、もう米も英国を見捨ててる! 原油流出が米国との間を終わらせた。英国が沈んでも米国は助けない
また、悪性のインフレが襲ってきて金利の引き上げが余儀なくされる状況に追い込まれるのもまもなくであり、それが英国を近々崩壊させる。新しい政権なんて何の意味ももたない!期待するだけ無駄!
銀行税を独自に取り入れる?とりいれた途端にポンド急落! ポンド円100円 ポンドドル1ドルはあり得ない数字じゃない!
日本は駄目だ失われた10年などと言われるが、今後の英国と比べたら私は日本に住んでて本当に良かったと思う。
この問題を解決しない、できない英国は近いうちにソブリンリスクの顕在化と相俟って投資家は売りを浴びせることなる。
夏頃に英国はとんでもない財政状況に陥り、ソブリンリスクはユーロ圏から確実に英国にうつっていくことは明らかである。
英国なんてもう終わってると思って間違いないと思う。英国に住んでる友人は新政権の赤字削減なんて何の意味ももたないだろうと言っている。住んでる友人が言うんだから間違いない! 英国人でなかったらこんな国捨ててもいいくらいだそうだ!
そのくらい駄目な国になったということだろう
夏の英国ソブリン格付け引き下げ、ユーロ圏より悪化な財政状況、立て直し不可、ポンドの価値なし 私の意見を述べる前におや!

と思ったのですが、これを書いた方は日本人ですよね?どうして こんな質問をするのかと申しますと、この内容と非常に似ている記事を英語で読んだ記憶があるからです。もしかしたら これを書いた方はその記事をただ単に和訳しただけなのかな?とか思ってしまいました

。もし 差し支えなければ この記事のリンクを頂けますか?興味あります、どういう方が書いているのか
*私も賛成です!という箇所・右派、左派同士の連立政権である事実

政策合意が困難になって いつか崩壊しないかが心配
一応 現政権は「5年間期限付き内閣」 (
参考記事) で合意していますので、キャメロン首相に内閣解散権は ありません。しかし リンクの記事でもふれましたが、下院全体の55%以上の賛成があれば解散、総選挙が可能

である事も事実です。保守党議員の中には連立成立を実現する為に、キャメロン首相があまりにも自民党に対し政策内容で譲歩しすぎた事を非難している人

がいます。そういう動きがもっと大きくなった場合には55%以上の賛成を持って解散⇒総選挙となっても全く不思議ではないでしょう。
・金融大国としての英国は終わった という点ですが、この点は私も一番心配

しています。
終わったのかどうかの判断を早急に下すのは危険ですが、前労働党政権が下した銀行員賞与に関する特別税や15万ポンド以上の所得に対する所得税率上げなどの決定を受けて、金融機関の一部が海外に拠点変更している事は事実です。金融立国である事以上に、優秀な人材の流出を私は心配しています。
・世界にとって英国なんか興味のない国になっているのだ という点ですが、ソブリン危機がなかった頃から 私自身も そう感じた事 何度もありました。英国の「過去の栄光

にしがみつく姿勢」に関して パブで同僚とやりあった経験は何度もあります。しかし 興味のない国になっているのは英国だけに限った事ではない点も事実であり、ここでそれを声高に叫んだ

としても何の進展もありません。
・悪性のインフレに関しては 私も心配しています。
今のところ まだ大丈夫そうですが、新政権のここからの舵取り次第では先行き暗いかもしれませんね。1990年代初期の苦しさ

をまだ私も覚えていますが、あれよりひどい事になるかもしれないです、今回は

・ポンド 1ドルはあり得ない数字では ない という点は 私も同じ意見です。
・夏の英国ソブリン格付け引き下げに関しては ちょっとムムム...

と言ったところでしょうか。
ソブリン・リスクが欧州から英国に移ってくるのを避けたいが為に、キャメロン首相は先手先手を打って来ています。ギリシャ危機から端を発したユーロ圏危機に対し、トリシェ総裁の後手に廻った対応を嫌というほど見ていたお陰かもしれません。夏頃にソブリン・リスクが欧州から英国に移ってくるという時期に関しては 今後の欧州次第ですが、英国が6月22日に発表する緊急予算案の内容如何では もっと早い時期に投資家離れが起こる可能性も捨ててはいけないかもしれません。もしそれを乗り切った場合は、この秋には具体的な歳出プランの発表もありますので その時が峠かもしれませんね。
*私は反対です!という箇所・原油流出事件により米が英を見捨てるという意見に関しては 反対です。
原油流出によりオバマ大統領だけでなく 全米国の人達が英国石油 (BP) を非難するのは当たり前の行為だと私も思っています。ただ これが原因で米英の連帯関係がぎくしゃくする事はあっても、どちらかがどちらかを見捨てる事はないと思います。軍事関連などで、米国は英国なしでは無理がある部分もありますから。ただ 英国側から見ると、前ブレアー首相と前ブッシュ大統領との「友達」関係を 現在のキャメロン首相とオバマ大統領には求めていないのも事実ではないでしょうか。
・新政権なんて何の意味も持たない という意見には 反対です。
日本にいた当時は私も日本の政治、それを操っている政治家には何の期待も失望も持っていませんでした。しかしこの国に来てからは政治家を非常に身近に感じるようになり、同時に期待する事も悪くないなぁ~! と思えるようになりました
・日本は「失われた10年」ではなく 20年になるかもしれません。
この筆者の方が 「今後の英国を考えると、日本に住んでて良かった

」と感じるのは 各個人が ’何を基準に住んでいて良かったと感じるか’ によると思います。私自身は、赤字削減対策を断行した後 どのような事態が英国を襲うか分かりませんが、何かを決定したら他の国のご機嫌伺いをせずに、堂々と徹底的に実行するイギリス (まぁ 見方を変えれば 変人っぽい頑固な国なのですが....) に住んでいて良かったと思っています。
・
英国に住んでる友人は新政権の赤字削減なんて何の意味ももたないだろうと言っている。住んでる友人が言うんだから間違いない! 英国人でなかったらこんな国捨ててもいいくらいだそうだ新政権の赤字削減は何の意味ももたないという理由が分かりません。どうせ中途半端な削減しか出来ず、何も成果が上がらない事を言っているのでしょうかね?
どういうお友達か分かりませんが、そんなに嫌だったら愚痴を言うだけでなく実際に国を捨てて他の国に移住すればいいと思います。2000年に入ってからの英国の物価高、住宅価格高に嫌気がさした英国からの脱出組は相当の数にのぼっていますから 特に目新しい事でも何でもありません。
*結論そんなに英国の財政赤字って国民が肌で感じる程深刻ですか?という質問を頂きましたが、今はまだ肌で感じるほど深刻だとは思いません。しかし6月22日の緊急予算案でVAT そして CGT(キャピタルゲイン税)両方とも上がった場合は肌で感じざるを得なくなると思います。その場合、増税の実施時期が新会計年度である2011年4月6日以降となるのか、赤字削減を急ぐ為に即刻実施となるのかにもよります。もし 来年実施である場合は、その前に駆け込み需要が起こるのは確実でしょうから、一時的にせよ英国のGDPは上昇するかもしれません。しかし今のキャメロン首相の話しぶりからすると、少なくともVATは即刻実施 又は 数ヵ月後から実施という事になるような気がしてなりません。
イギリスの格下げの可能性、ポンドが対ドルで1.0000になる可能性、どちらも あり得ると思います。しかし 英国がデフォルトに陥る事はないと思っています。
ギリシャ危機が表面化した今年の初め頃、英国は 財政赤字対GDP比がギリシャと同じであるという「財政リスク」に加え、総選挙を控え「政治リスク」も一緒に抱え込んでいました。どうにか総選挙が終わったと思ったら、今度は どの政党も過半数に達しない事が判明。この事が「現在の英国が深刻な問題を抱えている事を有権者は認識しており、それに対して どの政党も有権者を納得させられるだけの「答え」を持っていなかったか」 が浮き彫りになりました。リーダーシップの欠如はこの国を運営していく上で致命的である為、キャメロン首相は新連立内閣を選択し、3週間が過ぎました。
今後 連立内閣が破綻する可能性は否定出来ませんが、少なくともこの3週間で新連立内閣が取ってきた行動は、単独政権内閣以上の迅速さを持っていたと私は思っています。連立であるからこそ連立相手に隙をみせてはならない、どちらの政党も手抜き出来ない緊張感が両党を動かしたのだと思います。
市場は不透明さを嫌いますので、キャメロン首相は6月22日の予算案まで待たずに毎週と言っていいほどの頻度でオズボーン財務相に「削減案の進行状況」をマーケットに説明させているのだと理解しています。
私個人の意見ですが、本当にイギリスという国がダメになるには トコトン英国債(Gilts)のイールドが上昇しなければなりません。その理由は そういう最悪の事態が起こっている場合は海外からの投資家が英国への投資を手控えるだけでなく、国内の投資家がイギリスを見捨てて海外に投資を移す時だからです。そうなった場合 海外からの投資引き上げに加え、国内投資家の怒涛のポンド売り/他通貨買いが出ますので、もちろんポンドは大暴落しますが、英中銀以外 買い手不在となる英国債のイールド高騰は とことん英財政事情をこなごなにします。もしかしたら 通貨安定の為に英中銀が介入するかもしれません。
最後になりますが、頂いたコメントの中で 私が特に ムムム......と感じた部分は ここなんです
日本も財政赤字ってすごいですが、不景気だとは思いますが、私は就職した時からずっと不景気なので、今更って感じなんですが… 失われた10年を的確に表現した文章だと思いました。たぶん 英国は こういう状況にならないよう 死ぬ気で右往左往しながら不景気と戦うと思います。もちろん 日本と英国では景気浮揚への手段が違うと思いますが、数年に渡るド底景気の可能性はあるとしても10年という期間ずっと不景気という状態を許す国ではありません。まぁ そうは言っても許す許さないの問題ではないのも事実ですが...
イギリス政府と中央銀行のお手並み拝見です
すみません、歯医者に行く前に朝食をとらなければならないので、この記事は読み返さずに更新します。帰宅後 読み直して訂正があれば訂正します。ロンドン午後1時30分からのトリシェ総裁記者会見に間に合うよう帰りたいです!
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