本日は 失業率に関して 記事を書きます

最初のグラフ (GDP) を見ると一目瞭然ですが 2008/9年リセッションは 1980年来 最悪のリセッションとなっているにも関わらず 失業率は 過去2回のリセッション当時よりも 低空飛行しています(2番目のグラフ)
そんな事が可能なのでしょうか?

この素朴な疑問に対して いろいろ調べた結果 いくつか納得出来る回答が得られましたので ここでご紹介します
1)失業手当申請/受給方法の複雑化政府は 失業手当申請手続きを複雑化し、尚且つ 申請基準を厳しくした模様。(私は この国で 失業手当を貰った事がないので 申請資格、手続き方法は全く知りません。悪しからず.....

) その為 実際の失業者数は 英統計局が出す数字よりも 多いみたいです
2)失業者の職種英労働市場は 大きく分けると 4つのセクターからなります。内訳は 製造/建築業関連 約17%、小売/飲食業関連 約24%、金融/保険関連 21%、教育/医療/公務員 約27%となっています。今回のリセッションにより 一番打撃を受けた

雇用市場は 金融関連セクターである事は間違いありません。具体的な数字を挙げますと 英国の全労働人口 (2,893万人 2009年第3四半期)に於ける金融関連従業者は 21.2% (2008年12月4日時点) 今回のリセッションにより 金融セクターの解雇が増えましたが 全体の労働市場における約2割ですので 以前のリセッション時と比べると 失業者数の増加は 穏やかなものとなっています。それに加え 製造業関連の失業者と違い 金融関係者は 失業手当の支給を受けず 次の雇用を探す傾向が高いので 失業者数に数えられていない可能性も あるようです
3)企業の対応の変化これは特に製造業、小売業界で見られた変化ですが 今回のリセッションでは 企業は 従業員を解雇する代わりに 各従業員の労働時間短縮、給与削減を徹底した点です。そして 従業員側も この要求をすんなりと受け入れました
4)大学受験者数の増加労働党政権下では 2010年までに大学進学率50%達成という目標があります。2002年に 40%台に達したものの その後 徐々に下落し 一番 最新の2007年度の数字は 39.8%となっています。2002年から 2007年までの間 大学進学率が下落した理由として考えられるものは 英景気が好調なので就職先には事欠かない為 16歳で義務教育を終えた若者が そのまま 労働市場に流れて行った (=大学進学率低下)結果だと思います。2007年からの金融不安は英経済を直撃し 就職先も限定されてしまった為 今度は 大学進学率が上昇してきました。リセッション真っ只中の今年の大学受験者数は 昨年度の12%増し となっており 一部有名大学の学部によっては昨年の2倍の受験生数を記録しているようです。つまり それだけ 就職する生徒が減少したので 失業者数として数えられない訳ですね
現在 英国の失業者数は 249万人となっています。本日発表された英商工会議所が行った 260の大企業を対象にした調査によりますと
・70%以上の企業は 2010年 賃金カット 又は 賃上げゼロを予定している
・20%の企業は ボーナスを含む諸手当の一部カット 又は 全面廃止を予定している
・70%以上の企業は 2010年第1四半期の間 新たな設備投資は 行わない
2009年同様 人員解雇をせずに 現在 雇用されている者が痛みを分かち合う形には変化がありません。その結果 当初 予想されていた「失業者総数 300万人」達成は 逃れられそうですが、2010年も 消費回復があまり期待出来ない内容と なりました。
この記事の題目 「失業率」から話題が逸れてしまいましたが 果たして 小売業界は 2010年をどのように見ているのかと思い 調べてみたところ 小売業界「2010年見通し」というものを発見しました。それによりますと
1)雇用約33%の小売業者は 2010年に人員削減を予定
20%の小売業者は 2010年に人員増加を予定
2)売上高80%が 2009年とほぼ同じくらいになるだろう と予想。(ちなみに 2009年は歴史的に低い売上高を記録)
20%が 2009年より若干良いと予想
言い換えれば 2009年より悪くなるだろう という予想は ゼロ
3)2010年 小売業界を襲う危機22% 個人消費低迷が継続
20% 失業者の増加危機
16% 増税による消費欲減退
やはり 消費回復への道は険しい内容となっています。
これらを総合して考えると 来年の総選挙までには 現在の 249万人から 280万人くらいまで失業者が増えるようなイメージです。幸か不幸か イギリスは 総選挙後まで あまり 思い切った動きがとれず 金縛り状態が継続かもしれません
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