さて 今更 わざわざブログに書かなくても 皆さん ご存知でしょうが WSJ紙によると 格付け会社:ムーディーズが 英国ソブリン格付け(トリプルA)の引き下げ検討を
今年4月末に続き 再度 警告

しました。
たぶん 今回の格付け引き下げ検討発表のタイミングは 明日水曜日 ロンドン時間午後12時30分より ダーリング財務相によって発表される予算編成方針 = プレ予算案(PBR Pre-Budget Report) を意識したものと 勝手に想像しております。
イギリスは日本と違い 毎年3~4月に 予算案を発表し、約半年後の秋から冬にかけた時期に 政府が翌年度の予算が成立される前に 検討している改正に関しての情報、英国の経済に関する最新の予見と、公共予算に関する予測などを発表します。それを 予算編成方針 = プレ予算案(PBR Pre-Budget Report)と呼んでいます。今回のPBRは ダーリング財務相にとっては 3度目となり たぶん 最後のもの

となるでしょう。
明日のPBR発表に先駆けて 私個人が 最も注目している4点をご紹介します
1)リセッション関連 (経済活動の安定化)
2)公的債務削減の見通し
今年4月より始まった新財政年度から現在までの税収入額は 12.9%落ち込んでおり、4月の予算案で政府が予想した 約8%の落ち込み(4,650億ポンド)をはるかに越えてしまっています。これは 法人税収が 政府予想の -20%を大幅に上回る -30%となっている事が挙げられます
3)雇用市場の活性化
4)2010年総選挙に向けて
今年4月に発表された予算案では 富裕層

(10万ポンド以上の所得を有する層)に対する所得税を50%まで上げました。しかし 被害を受けたのは 富裕層だけではなく、私達一般庶民の財布を直撃

した ガソリン税上げを忘れてはなりません。その後 暫定措置として 2008年12月1日から 2009年12月31日の間に限り 付加価値税(VAT)17.5%から15%への下げを発表。しかし VATカットは 消費刺激を伴う景気回復の助けにならないだけでなく 増税は 財政赤字削減に全く寄与しないという最悪の結果

となっています。(VATは 来年1月より 元のレベルへ戻ります)
来年総選挙で 政権交代は避けられない事実となっている今 赤字削減に対し どの程度 真剣な対策が講じられるのか 正直 疑問ですが、現在 英国が抱えている赤字問題は 政党を超えた国家の問題にまで悪化している為 真剣になって欲しいものです。
歳入拡大を念頭に置いた増税として考えられるものは....
1)VAT(付加価値税)利率上げVAT 1%上げ=50億ポンド税収増 という計算になっています。
2)VAT控除の一部/全面廃止イギリスは 食料品

、子供用服/靴、書籍/新聞 等は無税扱いとなっています。そして 家庭用のガス代のVATは 17.5%ではなく 5%となっています。
もし 現在 VAT控除されている子供服等に対し 一律 17.5%のVATを課した場合 その税収は 120億ポンド、一律 5%のVATとした場合 税収は 30億ポンドになるそうです
しかし これは 相当 国民の反感

をかいますから 無理じゃ ないかな?と 個人的には 思っています
3)所得税上げ所得税1%上げると 税収は45億ポンドとなるそうです。
しかし 平均的年収 25,000ポンドの人を例に取ると 所得税1%上げは 毎週 約3ポンド50ペンス相当の負担、VATを1%上げた場合は 毎週 1ポンド相当の負担に 値するそうです。最初の1)で述べましたが VAT1%上げによる税収増 50億ポンド、所得税1%上げによる税収増が45億ポンド と ほぼ同じレベルとなる為 国民にとっては 間接税であるVAT上げの方が ありがたい

結果となります
3)キャピタル・ゲイン税 (譲渡益課税)上げ現在 18%ですが 所得税最低税率の22%まで引き上げられるのでは?という話しも聞こえてきます。しかし 今年度のキャピタル・ゲイン税の税収(1年分)予想が 約25億ポンドですので 税収増という観点からすると 特に魅力的には見えません
4)社会保険料(National Health)上げ保険料率を 0.5%上げる事による税収増は 45億ポンド。しかし 私 この保険料率の計算方式 よく 分かっていません

。2002年だったかに 計算方法が大幅に変わり 以前は従業員の所得から自動的に引かれていたものですが この年を境に 雇用側/従業員 両方から摂取されるもの

へとなりました。その為 この保険料率を上げるという事は 雇用側の負担増に直結します。失業率、失業者数の増加を少しでも緩和させたい政府としては この動きに慎重にならざるを得ません
まだまだ 歳入拡大に関して 私が見落としている点は 多々 あると思いますが、今のところ VAT上げが一番 効果があるのかな?という見解に 勝手に 達しました。
言い忘れましたが 暫定措置を取っているのは 上で挙げたVATだけではなく、イギリスのアキレス腱である不動産市場を活性化する為に 住宅所得時に発生する印紙税にも適応されています。詳しく申しますと、2008年夏までは イギリスで家を買うと 家の価格が 0~125,00ポンドまでは ゼロ%、125,000以上~250,000ポンドまでが 1%、250,000ポンド以上~500,000ポンドまでが 3%、500,000ポンド以上は 4% となっていました。しかし 2008年9月3日から 2009年12月31日に限り 印紙税ゼロ%の範囲を 0~175,000ポンドへ拡大し、1%の範囲を 175,000ポンド以上~250,000ポンドへと狭めました。最近の不動産市場回復のニュースを受け 政府は この<ゼロ%範囲拡大>措置を延期する事は しないだろう と 思っています
参考までに
回のPBR(昨年11月)の記事のリンク、
今年4月の予算案に関する記事のリンク その1、
その2も つけておきます。

最後になりますが 冒頭で申し上げた格付け見直しですが、公的部門ネット債務残高の増大ぶりは 恐いもの

があります。つい先日 欧州委員会が発表した英国の公的部門ネット債務残高予想は 今年度 対GDP比 60%、2020年度 160%、2040年度 406%

、2060年度 760%

という驚異的な数字をあげています。もちろん この数字は 今後 英政府が債務削減に対する努力を怠った場合、そして 今後 増加するであろう年金支給額の増大を念頭に置いて弾き出された数字です。まぁ これが現実となったら 私 イギリス捨てるしか ありませんが その頃 日本も 酷いんだろうなぁ....

この記事がお役に立ちましたら 欲張り3段攻めポチッ御願いします!
最初は
人気blogランキングへ 次が
最後が
こんな嬉しい賞を頂きました。受賞に恥じないよう 頑張ろうと思います。応援 よろしく!