お早ようございます。週末に このブログ常連の くぁ~っさんから 質問を頂きました。
どうしてポンドがキャリ-通貨になるのでしょうか?(中略) 1%を切ったらポンドのような格式ある通貨は 持ってて安全かつ使いやすいからでしょうか? 貧民のわらひには理解ができません。 元トレイダ-のN20さまは「キャリ-通貨になる資格」って どんなものとお考えですか貧民である事は 私も同じです(笑)冗談はさておき 本題に入りましょう
キャリー取引とは 金利の安い通貨(=借入通貨) を借り入れ それを為替市場で売り、金利が高い通貨(=運用通貨) 又は 商品、株を買い 金利差や投資/投機から高リターンを得る行為です。
ポンドは歴史的に高インフレの国ですので 運用通貨として為替市場に登場する事が ほとんどでした。しかし 今回は 借入通貨としてのポンドのお話しです。くぁ~っさんの質問 「キャリ-通貨になる資格」ですが 私なりの考えを述べさせて下さい
1)現在 歴史的低金利であり 将来も低金利のままで推移するというコンセンサスがある
2)超金融緩和策を実施しており 将来も解除される見込みが薄い (インフレ懸念がない)
3)ポジションが まだ 売りサイドに大きく傾いていない
4)国内に於ける資金需要が低調であり その傾向が すぐに変わるとは思えない
5)国外からの投資が高まる見込みが薄い
6)為替レートに先安感がある
7)あまり大きな変動リスク(Volatility)を伴わない。言葉を変えれば 変動はリスクを伴うので 大きく反対サイドに動く可能性が低いほど よい
ざっと こんな事が頭に浮かびました。それでは ひとつひとつ検証してみましょう
1)現在 歴史的低金利であり 将来も低金利のままで推移するというコンセンサスがある先週のキング総裁発言 「準備預金の引き下げを検討」からも分かるように 早急な金融引き締めは 非常に考え難いです
2)超金融緩和策を実施しており 将来も解除される見込みが薄い各国で出口戦略をにらんだ議論が進む中 キング総裁は 出口戦略とは逆方向の政策を検討している事を 証言を通して示唆

インフレに関しては インフレ目標値 2.0%を下回っているので 全く インフレ懸念は ないのですが、毎月発表されるCPIの数字が 例外なく 予想の数字よりも 若干高めの数字に落ち着くので 将来のインフレ懸念を口にする人達は 結構 います
3)ポジションが まだ 売りサイドに大きく傾いていないまだ 借入通貨としてのポンド・キャリー取引説は 語り始められたばかりであり ポジションの傾きは ない(対豪ドル、NZドルでショートになってるでしょうが 世界中がポンドをショートにしている訳では ないでしょう)
4)国内に於ける資金需要が低調であり その傾向が すぐに変わるとは思えない量的緩和策継続、リセッション真っ只中である為 2007年夏までの需要と比べれば かなり低い
5)国外からの投資が高まる見込みが薄い世界的リセッション、金融危機の為 英国への投資が今後 急速に高まるとは考え難い
6)為替レートに先安感があるポンド/AUDを例にすると 私のMT4は 1987年からのプライスがあるのですが 現在の1.86台は 最安値1.87Lowを切って 脳天逆落とし的下落の結果。ある意味で ダブルボトムを形成している最中なのか、はたまた ポンドを借入通貨、AUDを運用通貨としたキャリー取引の幕開けで ここから 歴史的ポンドの安値をつけるのか......
7)あまり大きな変動リスク(Volatility)を伴わない通貨オプションのVolatility 私 全然 チェックしてません

オプションに関しては 同じブログ仲間である
YEN蔵さん に 聞いて下さい (YEN蔵さん ごめんね、話題をふってしまいましたよ!) ブログを書いている人達の中で YEN蔵さんほど オプションを熟知している方 私は 他に知りませんので.....

結果として ポンドに 借入通貨としての資格は あるのか?
1) 2) 3) 4) 5) ある
6) 7) 私には 分からない
どうなんでしょう?全部が 「ある」とは なりませんでした。しかし これは 違う人が見たら 「ある」となる可能性もありますね
私の個人的な意見としては 今のところ まだ みんな 様子見を決め込んでいるのでは ないかな?と思います。今後 (特に11月) 英中銀が量的緩和枠の総額を更に拡大するような様子を見せ始めたら 一気に ポンドを借入通貨としたキャリー取引が加速するような気がしてなりません

しかし 円キャリー取引が一世風靡した時と違い 投資家達は今 <リスク>を取る事に 当時ほど 積極的でない為 キャリー度も中途半端に終わってしまうのかな とも思っています。
ポンドより 一足お先に キャリー取引の借入通貨として名前があがっている 米ドルですが、私が挙げた7つの「資格」条件のうち 3)ポジションが まだ 売りサイドに大きく傾いていない
将来 これが 一番 恐い要因ですね。ここで言うまでもなく ドルは世界の基軸通貨。つまり 私達のような 日銭稼ぎの チマチマしたトレーダー達の しょぼいポジションではなく、世界の中央銀行全部が ドル 又は ドル資産を 保有

している事実。これらの ほんの一部でも ポジション解除、他通貨への移行が起きたら ドルの価値低下は ちょっとやそっとでは 済まないでしょう。
もちろん この記事では キャリー取引の借入通貨になる資格を論じているだけで 決して 基軸通貨の位置を奪われるなどという大それた議論をしている訳では ありません。常識的に考えても 借入通貨の<下落幅/率>と 基軸通貨の位置を失った場合の<下落幅/率>は 比べ物になりません....

基軸通貨で思い出しましたが いつだったかな....先週木曜日か金曜日だったと思いますが アルムニア欧州委員会経済・通貨問題担当委員が 「ドルに代わる主要準備通貨として、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)を採用する中国の案は実現不可能だと認識している」 「中国が 2兆ドルにも上る外貨準備の分散を 急激に実施する場合、分散先の第一候補となるのは ユーロである。しかし それは ユーロ高につながってしまい われわれの利益に トコトン 反する。私達の利益と 中国の利益は 一致しないということだ」と 発言しました。このオジサンは かなり はっきり自分の意見を仰る方ですが やはり 欧州内で ここからの急激なユーロ高を歓迎していない証拠のひとつかと思います。
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