4月2日に行なわれるロンドンG20に先立ち 今週末 イギリス ウエスト・サセックス州で G20財務相、中央銀行総裁会議が開催されます。この会議を G20本番に向けての準備会議と簡単に片付けるのは大間違い。と言うのは G20は オバマ氏が大統領就任後はじめての桧舞台となるのですが 既に G20会議の焦点について 米国と欧州の間で不協和音が鳴り響いています。今週末の財務相・中銀総裁会議で 出来る限り 両者の溝を埋めようという努力が行なわれるのでしょうが 万が一 それが不成功で終った場合 ますます溝が深くなる可能性も捨て切れません。4月2日にG20議長となるイギリスのブラウン首相は どうやって 米・欧州両方が満足出来る結果を出せるか 頭を抱えているようです。
ブラウン首相自身が 今回のG20で合意すべき課題として念頭に置いているのは
1)一般家庭や企業が 厳しいリセッションを乗り切れるよう 世界的規模の金融市場の安定を取り戻す為には手段を選ばない覚悟で臨む必要がある
2)個人/企業/金融機関に於ける信用と信頼を取り戻す為には 金融/経済両システムの強化と再編成は避けて通れない
3)それが達成されれば 世界規模での持続性のある成長は達成可能である
以上の3点です。
話しが前後して恐縮ですが 先程申し上げた米・欧州間での意見の食い違いを 具体的に説明しますと
*米国G20参加国 (特に 財政状態が他国と比べて健全であるドイツには 眼をつけているようです) に対し 米国同様の<巨額の財政出動>を呼びかける。今回の世界的金融危機は 世界各国の協調姿勢が大切
*欧州からの参加国金融危機問題発生により傷んだ金融機関に対する規制強化
はっきり物事を言う事で有名なEUユンケル議長は “The 16 euro-area ministers agreed that recent American appeals insisting that the Europeans make an additional budgetary effort to combat the effects of the crisis was not to our liking.” (ユーロ加盟16カ国の財務相は 最近 米国が欧州諸国に対し 金融危機終息に向けて 一段の財政出動を要求した事を 好ましく思っていないという見解で一致した) 同時に ユンケル議長は 欧州諸国は 「やるだけの事はやった。これからは その効果を見守る時期だ」とも語り それに付け加えて "We take the view that we don't need to make a further effort for the moment. We mustn't pile deficit upon deficit." (現時点では 追加措置を取る必要はない という見方をしている。我々は 赤字に次ぐ赤字を積み重ねる事を してはならない) とも語っています。
ウェーバー独連銀総裁は 「私達が出来る事は限界に達した。金融危機に端を発した世界的リセッションを乗り切る手段として 目先の財政政策のみに頼る事は 間違っている。私達は それに気付くべきだ。(もし それに気付かずに財政出動を繰り返していたら)非常に高くつく間違いを犯している事になる。」と警告。
ユーロ加盟国、特にドイツ、フランスにしてみれば 世界規模の金融危機終焉を理由に 財政赤字を積み上げていたら
ユーロの存続自体を危うくする事になりかねない という危機感が 非常に高いのではないか?と 私は想像していますが 違うのかな?PIGS諸国は プレミアムを払ってまで国債を発行して どうにか自国の財政を切り盛りしています。
米国が提唱する<世界的リセッションの終焉に向けての財政出動>などという雲を掴むような話しの為に ユーロ離脱とまで言われるほど悪化した財政赤字を増やす余裕は 全く ゼロである という事でしょう。それとは対照的に ユーロ加盟していない英国のブラウン首相は 追加の財政出動に対し 少しだけ 米国寄りの姿勢を示しています。まぁ ブラウン首相の場合は G20を通して 政治/経済的成功を収め 今年の春に予定されている欧州議会選挙/英地方選挙の足がかりにしたいというスケベ根性ミエミエですけどね......

話しは 少し 脇道に逸れますが、G20開催国のイギリスで イライラしているのは ブラウン首相だけでは ありません。G20開催準備委員会で指揮を執っているある議員は 米財務省の主要ポストが 現在でも空席のままなので 事前打ち合わせの連絡をするにも 連絡が出来る人が誰もいない と コメントし それが水曜日の新聞紙上を賑わせました。皆さんもご存知のように オバマ大統領就任後1ヶ月以上も経っているのに 財務副長官のポストも空席のままです。先週 ブラウン首相が ホワイトハウスに招かれた時にも どこかの省の主要ポストが空席だった為 打ち合わせが不十分で 全く予定とは違う行動を取らされた という内容の記事を読みました。私自身 選挙運動中のオバマ氏に とても好感を持っていたのですが 大統領就任後の長すぎる空席の事実など オバマ氏の大統領としての能力に 少しだけ 疑問を持ってしまっています。最悪の時期に就任した事は十分に考慮しますが それにしても アメリカの大統領ですよ、彼は!オールマイティは無理としても もうちょっと出来る人である事を期待してました。
ps 全く G20とは関係ありませんが 私がオバマ大統領に対し ガッカリしたのは 他にも理由があるのです。3月3日に ブラウン首相がオバマ大統領との初会談を米国で行ないました。その際 ブラウン首相は大統領へのお土産として 19世紀に奴隷貿易監視船として使用された英海軍帆船「ガネット」の木材を加工したペン立てを持参。この船は「奴隷によって建てられたホワイトハウスの主人となった黒人初の大統領」への敬意を示すため選ばれたようです。英国は19世紀末、ビクトリア女王が 第19代米大統領ヘイズ氏への贈答品として、「ガネット」の姉妹艦「レゾルート」の木材を使った執務机を贈呈しているそうです。机はホワイトハウスで 今でも現役として使われており、「ガネット」の木材を使ったペン立ての贈呈は、この机の故事を踏まえたものだそうです。
これだけ 時間をかけ 心を込めた贈り物に対し オバマ大統領が ブラウン首相へ贈ったプレゼントは 何だったと 思います?私 聞いて呆れました。ナント 25枚入りのDVDボックス・セットだって。ETなどの 有名な映画のDVDセット

ブッシュ前大統領の負債を背負って 大統領になられた苦労は 十分過ぎるほど 分かっているつもりですが DVDセットって 非常に相手をバカにしていると感じませんか?私だけかな? 友達同士の軽いプレゼント交換なら いざ知らず、首相と大統領の間での贈り物交換です。もちろん このDVDセットは オバマ氏自身が選んだ物とは思えませんが そんな贈り物を許した大統領、ちょっと オバマ氏の品性を疑ってしまいました、私....
この話しを読んだ時 つくづく アメリカではなく イギリスに住んでいてよかった と 私 思いましたよ。
追記の追記:
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