大変 御無沙汰しております。クリスマスも終わり あとは 大晦日を残すだけとなりました。日本と違い こちらでは クリスマス そして 大晦日のパーティーが終わると 元旦は全く<普通の日>となります。日本は これから活気が出てきますね。皆さん 大掃除 済みました?私は こちらでは 特に 日本のような大掛りな大掃除しません(だから いつも 汚いんですね、部屋の中が....)
さて 今日の記事は 秘信で頂いたコメントへのお返事です。コメントの内容は
どうして 私は ユーロが形を変えて継続すると考えているか その根拠を教えて下さい というものです。秘信の方 お返事がこんなに遅くなりました事 お詫び致します。
自分で言っておきながら無責任ですが 改めて文章にするのは難しいな と痛感しています。どこから 文章をはじめようか もう 既に2時間近く ああでもない こうでもない と やってるんですよ(笑)
私自身 本当にユーロが形を変えて継続するのか 是が非でも現在の形でのユーロを継続させるのか 正直 よく分かりません。しかし 今年の夏の金融危機以来 非常に継続が難しくなってきたな という印象を持っています。懸念材料としては 長期金利 と 財政です。
まず ユーロが誕生した時の加盟条件はと申しますと
◎ インフレ率: 過去1年間で最も安定した3ヶ国より、1.5%以上上回っていない
◎ 長期金利; 過去1年間で最も安定した3ヶ国より 2.0% 以上上回っていない
◎ 財政: 単年度財政赤字GDP比 3.0%以内 政府債務残高GDP比 6.0%以内
◎ 為替: 過去2年間、為替相場メカニズムの通常変動幅の中で取引され、切り下げがなかった
*財政ユーロ圏および他のEU加盟国におけるマクロ経済政策は、政府の債務残高や財政赤字などに関する指標を設定する「安定成長協定」(Stability and Growth Pact = SGP)によって調整されることになっています。財政赤字に関しては GDPの3%以下に抑えることが義務付けられておりますが、ユーロが誕生したばかりの2000年代初期は ドイツ、フランスなどの主要国も含めて 数年間 財政赤字のGDP比が3%を超えていました、2004年には 参加国の半数で財政赤字上限を超えていた状態です。しかし その後 2006年にはドイツ、フランス、ギリシァ、2007年にはイタリア、ポルトガルでも財政赤字がGDPの3%を切り (ユーロ加盟諸国の財政面の改善と平行して) ユーロという通貨の価値も急速に上昇して行きました。
しかし アメリカ発の金融危機の影響は大きく スペインを例に取りますと 年初 財政黒字だったのが、今夏 一転 赤字に転落、来年度の財政赤字対GDP比率は5%に達すると予想されています。同様に フランス、アイルランド、イタリア、ギリシャも 来年度の財政赤字は自国のGDP比3%を上廻らざるを得ないと 認めています。
現在 世界を襲っている金融危機が長期化し EU安定成長協定の赤字条件が守られずに ユーロが継続した場合 優等生のドイツが自国民の税金を欧州他国(救済、援助)の為に これ以上使うのは 真っ平ゴメンだ と話しになってもおかしくありません。
*長期金利これはユーロ誕生前と後の ドイツ国債(10年債)と他の欧州諸国の国債とのイールド・スプレッドのチャートです。一目瞭然ですが ユーロ誕生前(最初のチャート)には 加盟条件をクリアーする為 イールドの収斂により 独/他国間のスプレッドがドンドン狭くなって行きました。2つめのチャートは ユーロ誕生後ですが スプレッドは 加盟初期のギリシャを除き ずっと30bps以内に収まっていました。

今夏の金融危機が本格化して以来 特にPIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)に対するスプレッドが また開き始めたんですね。
今年10月中旬イタリア 73 bps
ギリシャ 100 bps
今年11月初めイタリア 130 bps
アイルランド 115 bps
ギリシャ 160 bps
12月中旬ポルトガル 95 bps
イタリア 135 bps
アイルランド 150 bps
ギリシャ 225 bps
スペイン 85 bps
イタリアやスペインは ユーロ加盟前に 独債とのイールド・スプレッドが500~600 bpsもあったのだから その当時と比べれば まだ 騒ぐほどのスプレッドレベルではない という意見もあるでしょうが、共通通貨を使用しているからには スプレッドがこれだけ開く事は あってならない。つまり この拡大するスプレッドは 市場からの警告と受け止められないでしょうか?
スペインは その中でも 特に今後の見通しが厳しいとされています。理由は 政府の赤字穴埋め用の国債依存度が非常に高いからだそうです。当然と言えば当然ですが
ECB発行のレポートによりますと ユーロ通貨の地位向上に伴い 非居住者によるユーロ加盟諸国発行の国債保有率は上昇しています。1997年 国内投資家による欧州各国の国債保有率は75%でしたが 2003年には 54%まで低下。反対に オランダでは 非居住者による同国債保有率は 1997年 28%が2002年 56%へ、スペイン 1997年 18%が2002年 41%、フランスは 1997年 15%が2002年 36%へと それぞれ上昇しています。
国債依存度が高い、その上 非居住者による購入を当てにしているスペインですが このまま イールド・スプレッドが拡大すれば 国債の利払いコストは上昇、信用度は低下、非居住者のスペイン国債離れ起き 更に イールド・スプレッド拡大 という負の循環が起こる危険性が大きいように思います。今月に入ってから既に オランダは 5,6,7年物国債入札しましたが 募集額が集まりませんでした。オーストリアは12年物の入札をしましたが 過去最低の入札率だったようです。オランダやオーストリアがこの状態では PIGS諸国の今後予定されている入札は どうなるのでしょうか?更に追い討ちをかけるように 来年は 米国、欧州共に 国債発行高が急増します。
ユーロ加盟諸国は それぞれの経済・政治基盤が異なっている為に 各国が違った方法で財政問題に取り組むでしょう。それでも ユーロ加盟国が次々にデフォルトなんて事になったら どうなるのかしら?
*ユーロから脱退出来るのか?マーストリヒト条約は ユーロからの離脱やユーロ崩壊というシナリオに基づいて作られていない為に法的なガイドラインは 無い筈です。しかし 万が一 PIGSの どこかの国でユーロ継続が不可能となった場合は ユーロから出れば済む問題ではないし 出たくても出れないでしょうね。理由は もし ユーロを捨てて Aという自国通貨を使用するとなった場合 Aは とことん売られます。想像を絶する程 売られます。しかし その国は既存のユーロ建て国債の満期が来たら 自国通貨売り/ユーロ買いをして(マネーマーケットでユーロを引っ張って来ても いいのでしょうが.....)ユーロ手当てをするかもしれません。スゲェ コストかかりますよね。ますます デフォルトになります。
*結論書いているうちに 自分でも よく分からなくなってきました(笑)。この記事を書き始めて 4時間経ってます。眠いです
今回の金融危機は 言ってみれば 金融戦争と言い換えてもよいかと思います。しかし 武力を使う戦争とは違い 敵も味方もいません。政府が主導権を取りますから どうしても 市民の自由が束縛されがちになります。例を挙げれば 米英で実施された空売り規制が その一例でしょう。英国では (噂ですが)国民の不安を煽るような新聞報道はなるべく避ける というような報道規制もされていると話されています。
今後 欧州内でのイールド・スプレッドが拡大し続けるのであれば ユーロ崩壊は避けられないという考え方は 変わっておりません。
もし 現状の拡大スプレッドのまま 数年が経ち その間 PIGS諸国は 国債入札を無事に済ませ 利払いも正常に行っているのであれば 持ち直すでしょう。その時には 必ず 割安感という言葉を使う投資家が出てくるでしょうから。
いずれにしても 2009~2011年が 正念場だという考え方は 変えておりません。
ps コメントのお返事 あと1~2日 お待ち頂けますか? もう 夜中2時半になりました。明日は8時半に起きないとなりません。文章 めちゃくちゃだと思いますが 眠いので 失礼します。
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