これは エリザベスさんと御主人のポールさん(50歳と54歳の夫婦)、2人の息子(26歳と23歳、親と同居)に起こった実話を エリザベスさんの日記により御紹介します。
2006年3月2万ポンドをかけて新しい台所を買った。今日は 新しい台所を使って 父の90歳の誕生日をお祝いする。この家に引越して来てから 7年がたった。今でも 7年前のあの日(1999年) この家が売りに出ていると不動産屋の店頭広告で見たのをはっきりと覚えている。この家に一目惚れした私達は その2日後に 15万9,500ポンドで売買成立まで持っていき その数ヵ月後に 私達の<夢の家>に移り住んだ
2006年4月ポールは 2年前の2004年まで 年収 65,000ポンドだった。思い切って 自分で仕事をはじめ 現在のところ 軌道に乗っている。ポールは かねてから 60歳で引退したいと言っているので その為には これから10年間に 出来るだけ蓄えを増やさなければならない。
最近の不動産ブームを見ていると 私達も 賃貸用住宅を買ってみるのも いい考えではないか と思うようになってきた。それで 今月 住宅ローンの借り入れを 6万ポンド増額し それを頭金にして 11万ポンドの小さい家を購入した。毎月の家賃収入で住宅ローン返済がカバーされるので 全く 問題ない。10年後に住宅価格が上昇した時 売却しようと思っている。
ポールの仕事が非常に順調なので ポールは もうひとつ 他の会社を買収しようと計画しているようだ。
2006年5月嬉しいニュース!ポールが仕事上のパートナーと組んで 印刷会社 (売り上げ 130万ポンド、従業員 22名)を 70万ポンドで購入した。ポールとパートナーは それぞれの自宅を抵当に入れ 他の投資家達からも資金を集めて 35万ポンドの資金を用意。残りの35万ポンドは銀行借り入れ、毎月 事業の利益を使って 払い戻す予定である。
私が不安では ないかって?全然!だって ポールは27歳の時から 税金(所得税)を40%払っている高額所得者だったんだから 彼の判断には 間違いは ない
ポールは お祝いに BMW Z4を購入、新しい仕事を手伝う息子にも 小型のRover車を購入
2006年8月最近 ポールの顔色がよくない。新しい仕事の収益が 思ったほどではないからだと言ってる。今月は ポールは無給で働き 従業員の給与の一部は 私達の貯金から支払う事になってしまった。
その結果 今月の収入は たった500ポンド、毎月の住宅ローンと生活必要経費(食料、公共労金代、住民税等) 1,900ポンドを払う為に 貯金に手をつけなければ ならなくなった。一部の経費は 当座借越を使っている。食料品の買出しも 今までのマークス&スペンサーから 安売りのモリソンズへ変更。私が何か仕事を見つけて働こうと思うが それでも 毎月の生活費は 稼げない
2006年9月最近のガス、電気代上昇のあおりを受けて うちにも 700ポンドという請求書が届いた。下の息子が 一部 支払い援助してくれると言ってくれた。
2006年10月最近 毎朝起きると 吐き気がする。先日も ポールと 今後の金銭的な見通しを話し合おうとしたが どちらも 何も言葉が出てこない。最近では 息子達が 1週間の食料品の一部を負担してくれている。
最近になって 何度 住宅ローンが払えなくなり この家を抵当に取られるという悪夢を見た事だろうか
2006年11月ポールは 破産法の専門家に会いに行く決心をした。まだ 破産すると決定した訳ではないが 印刷会社には 未払い資金の請求を訴える電話が なりやまず もう これ以上 私達の力だけで乗り切るのは無理だと判断したからである。
2006年12月なんという寂しいクリスマスになってしまったのか........ 2人の息子達にはクリスマス・プレゼントとして それぞれ いつも通り 150ポンドの小切手を渡したが 息子達は遠慮して 現金化しない。
印刷工場に関する資金繰りは 貸し手に来年1月まで支払いを延期して欲しいと申し出ている。来年になれば 仕事も上向きになると ポールは自信を持っているから......
2007年1月ポールの言う通り どうにか 資金繰りがついた。なんという嬉しいニュースだろう!ポールと私は お祝いの食事をしに レストランへ行った。外食したなんて 一体 何ヶ月ぶりかしら?食事代は クレジット・カードで支払った
2007年2月印刷の仕事は 来るには来るが 絶対量が足りない。ポールと私は 生活必要経費をクレジット・カードに依存していたので とうとう カード残高が 5万ポンドになってしまった。
1年前までは 何もお金の心配もせずに 美味しいワインを飲んでいたが 今では クッキー1袋買うのでさえ 財布と相談しなければならない身である
2007年3月夜中 ふと目を覚ましたら ポールが銀行口座明細書を並べて 何か 考えている。
賃貸用に買った家の住宅ローンは 賃貸料でカバー出来るが 修繕費等の経費が負担になってきた。ポールと相談した結果 売却しようと決定。嬉しい事に 息子2人が 買ってくると言うので 私達夫婦と息子2人連名で 住宅ローンの組み換えをした。他の人に売却せずに済んで ホッとしている。長期的な投資には不動産が最適であるという考え方は 変わっていない
2007年7月最近 アメリカで クレジット・クランチという現象が起こっていると テレビでやっていた。一体 それが 私達英国人にとって どのような影響があるのだろうか と考えていた日 夕食の支度をしていたら ポールが帰って来て とうとう印刷工場のやりくりがつかなくなり 倒産が決定し 破産申告の可能性もあると言う。私は台所に膝まついて 震えが止まらなかった
2007年8月ポールは 印刷工場の従業員を全員解雇し (自分の息子も含め) 自分のBMWと 息子のRoverも手放した。唯一 仕事がある上の息子が 僕が出来るだけ頑張る と言ってくれるが もう 涙が止まらない
2007年9月ポールが仕事を探している最中に ノーザンロックのニュースが流れてきた。
金銭的に もうこれ以上 この家に住むのは無理になってきたので 泣き泣き 自宅を売りに出した。不動産屋では 40万ポンドという売値をつけてくれた
2007年11月ポールは 政府の給付金 (生活保護等)が得られるかどうか 調べてみたら ずっと最高額の所得税を支払っていたにも関わらず 今のポールの立場では 何も得られない事が判明した。ポールは 毎日のように 仕事を探して履歴書を送っているが 何もいいニュースは来ない。毎月の住宅ローン支払いは 2,400ポンドに増額したので 私達は食費にも事欠く始末である。
住宅ローン支払い金額を毎月500ポンドまで減額してもらうよう 住宅ローンを組んでいる銀行へ手紙を書いた。なるべく早く自宅が売れるといいのだが.....
2007年12月とうとう クリスマスの食料を買うお金も 底をついた。友人や家族が好意でくれたものを並べて クリスマスを祝った。当然 プレゼントの交換は ない。
クリスマスの前に 不動産屋から電話が来て 自宅の売値(40万ポンド)を 2万ポンド下げたらどうか と言われたが 断固NO!と断った
2008年1月1月14日 ポールの破産申告が受け入れらえた。これにより ポールが最初からやっていた仕事も倒産した。
住宅ローン減額を申し出た銀行からは 何も連絡が来ない
2008年3月最悪の事態になりそうだ。銀行から やっと手紙が届いたと思ったら 内容は (家の売却が完了しなければ) 今年の6月に抵当入りする可能性がある というもの。体の震えが止まらない
不動産屋に聞いてみたところ 不動産市場自体が 全く機能していない と言っている
ポールは 市役所に連絡し もし 自宅が抵当に取られた場合 どのような住宅を市は提供してくれるのか 聞いたら、間借りしか ない と言われて帰ってきた
(注:市が運営している市営住宅 - 一軒家 又は アパート -は 全く 空きが無いので 1件の家を 数家族で住む間借りしか 選択がない)
2008年4月友人が 私達の自宅が売却出来る迄 毎月 500ポンド 住宅ローン支払いに上乗せして支払ってくれるという申し出があったので 早速 銀行へ連絡した。驚いた事に 銀行の返事は 抵当を避ける唯一の方法は 支払い不足分 プラス 必要経費 (合計 5万ポンド)を6月迄に支払う事の一点張り。こうなったら どうにかして それまでに自宅を売却しなければ いけない
2008年5月ポールは 裁判所へ行って 私達が住む場所が見つかるまで 自宅の抵当引渡し日を延期してもらうよう 話して来た。
2008年6月クレジット・クランチが どんどん深刻化してくる。家も売れない、ポールも 仕事がない。友人が 近くにある2部屋つづきの家の賃貸料を出してくれるから 今のうちに引越ししたら と申し出てくれた。情けなくて 涙が止まらない
2008年8月とうとう 自宅の引渡し日になり 鍵を銀行へ渡した。
この2部屋つづきの家は 非常に小さい。息子達は 1部屋を共有しなければならない
引渡しの時 自宅の台所を整理しながら これで 私達は全てを失った と はじめて自覚した
2008年9月私達の自宅は 正式に抵当物件となった
2008年10月悪夢が終わった訳では なかった................ 最悪の事態だと思っていた事には まだ 続きがあった
私達の住宅ローン残高総額 25万ポンドが 抵当費用を上乗せした結果 33万ポンドへと増額!自宅の抵当物件としての価値を 銀行は 26万ポンドと決定したので 33万ポンド マイナス 26万ポンド =7万ポンドという借金が 新たに 私達を襲ってきた。私は 家を抵当に取られたら それで終わりだと信じていたので この新たな7万ポンドの借金は 完全に予想外の出来事である
ポールに続き 私や息子達も 破産申告をするべきなのだろうか、そして 破産した後 この新しい借金は 一体 どうなるのだろうか

この写真は エリザベスさんとポールさんが 現在 住んでいる2部屋の家の前で写したもの
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