私が渡英したのが1988年末。当時の財務相は 保守党:ローソン氏でした。丁度 私が最初の銀行に就職が決まった後 後の首相になられたメージャー氏が財務相になられ、1990年冬に ラモント氏へとバトンタッチ。このラモントさんが在任中 ソロス氏がポンドをEMUから離脱に追い込ませる事件が起きました。ラモント氏から クラーク氏へバトンタッチしたのが 1993年春。この頃は 深刻なリセッションでイギリス全体が非常に暗い時代でした。しかし クラーク氏は思い切った歳出削減等の手段を次々実施し イギリスの景気回復の手助けをしてくれました。その後1997年 保守党から労働党へ政権が移り 現首相のブラウン氏が 財務相へ就任。10年後の昨年 ダーリング財務相が誕生しました
たった20年間の短い期間の話しで恐縮ですが もし イギリス国民に 上記の財務相の中で一番功績を残した財務相は 誰か?というアンケートをとったら 80%くらいの人が ブラウン財務相と答えると思います。(私は 個人的に クラーク氏に1票を投じたいですが.....................)
現在 首相の座から蹴り落とされそうに虚弱に見えるブラウン氏が 歴史に名を残す優れた財務相と言われる所以は 財政安定化規律(The Code for FiscalStability)を導入し <新たな財政ルール>としてゴールデン・ルール と サステイナビリティ・ルール (ネットの公的部門純債務残高が対GDP比で40%以下のレベルにあることを目標)を設定した事、英中央銀行を独立させた事、英国はポンドを維持し ユーロに加盟しなかった事、そして 英国が どの先進国よりも健全で高度な成長率を維持出来た事でしょう。こうして 文字にして読んでみると たいした事ないような感じがしますが 中央銀行を独立させるという決断を 過去 誰もしなかった、国の要の財政規律を 誰も設定しようとしなかった事を考えあわせると ブラウン氏の実績は歴史に残るものとなって当然と言えるでしょう。
しかし これらの素晴らしい功績の裏側には 厳しい事実が隠れています。OECD加盟国内の先進国の多くは 21世紀突入直後 財政赤字GDP対比率4%というレベルで苦しんでいましたが それらの国々の多くは 現在 赤字幅を GDP対比率1.5%近くにまで削減しています。ドイツを例に取ると 5年前は 財政赤字対GDP比 4.1%だったのが 現在は財政黒字へと回復しています。フランスも5年前と比べ 赤字幅は30%縮小しています。それに対し イギリスの財政赤字は増加に次ぐ増加。ブラウン首相ご自身の言葉を借りれば ”英国は近代 例にみないほどの高成長を持続させている”そうですが 赤字額は増加の一途を辿っています。
その後 首相になったブラウン氏は 自分が設定した財政安定化規律により 苦しまされているという皮肉な状況です
私は 現在 英国の財務相をしているダーリング氏を 全く評価していません

。 彼がやっている事は 5歳の子供にでも出来る事だと思います。その理由?
英国を ひとつの会社と想定してみましょう。その会社の予算が設定された後に 社長 又は 役員が どうしても参加しなければならないプロジェクトが出てきたから 特別借り入れをし それを予算に廻してくれ と頼んで来た場合 財務部のトップは どういう判断を下すべきでしょうか?

そのプロジェクトの重要度 等 判断材料は たくさんあると思います。しかし 社長がやりたい

と言うから 断れずに借り入れ

、また 数ヵ月後に 役員がやれと言ったから 借り入れ

、こういう行為を財務部が繰り返し行なっていたら この会社の将来は非常に危ぶまれます。一度決定された予算案を順守する事が出来ない、社長の提案にNO!と言えない財務部を持っている会社は その会社の運営自体が社長の<遊び場化>する危険性があります。
ブラウン首相が 最低所得税率廃止に伴う所得減を補う為に低所得者用特別手当てとして 270億ポンド宛てる と発表した時 どうして ダーリング氏は ”ちょっと待った!

”をかけられなかったのでしょう?この手当ての良し悪しを言っているのでは ないんです。しかし これ以前に 多数の<手当て><所得補助>案が出ていましたが それらは 全く無視で よいのでしょうか?具体的に例をあげれば 低所得者特別手当に270億ポンド使える(もちろん 借金ですが)のであれば 最近のガス/電気料金の値上げに苦しむ年金所得者へ 特別手当金を払う事が どうしてNOになったのか?公務員給与上げでストライキしている公務員組合が ”オイ、270億ポンドあるんだったら 俺達の賃上げ案を どうしてNOと言ったんだ?” と抗議してくる事も十分に有り得ます。ブラウン首相が 低所得者用特別手当て270億ポンド と提案して来た時に ダーリング財務相は ”いやぁ 最近の補欠選挙連敗を挽回する為にも 低所得者用特別手当てを実施したいのは 十分に理解出来ますが、もし それを実行したら もろもろの未決(手当て/賃上げ)案は どうなるのですか?今の時点では 低所得者用特別手当てが最優先事項とも思えませんし これ以上 国債発行は 無理です” と言えなかったのか?いじわるな見方をすれば ブラウン首相は NOと言えない人を財務相に選んだのでしょうか?(それが 世間一般の見方ですが......................)
野党:保守党にしてみれば 労働党が 簡単に270億ポンドの手当てを実行に移すなら 自分達も全額借り入れを前提として 次回の総選挙の選挙公約として大幅減税を取り組む そして 医療/教育予算を大幅上乗せ なんて バカげた事を言い出さないとも限りません。
イギリス人の共通した見方は ブラウン氏は 財務相としては最高の人材だったが 彼の性格が首相として成功するのを邪魔しているというものです。性格とは 反対意見を受け入れるのが下手、即決が出来ない、他人に仕事を任せておけない、強情、ストレスに弱い 等のようですね。そして ブラウン氏は首相でありながら 実は(隠れた陰の)財務相でもあり ダーリング氏は ただのスピーカーに過ぎない というものです。つまり ブラウン氏は 首相/財務相 2つの仕事をしているのですね。
最近 労働党内部から ブラウン首相のままでは 2010年の総選挙には勝てないから 首相交代を示唆する動きが出ているそうです。しかし 野党:保守党は ブラウン首相が首相のままで総選挙に望みたい意欲マンマン。簡単に勝てるからでしょう
ps コメント たくさん頂きました。ありがとう!実は 昨日 大幅に損失を出し 爆死状態です。で 今週は もう取引出来ません。その代わりと言ってはなんですが これから 子供を連れて レストランに行って来ます。帰って来たら 必ず お返事します。Wakaさん 私 リンクしてなかった事 いまはじめて気が付きました。帰って来たら 真っ先にリンクします。Wakaさんサイドは リンク済みでしたら この場を借りて ありがとう!
行って来ます
この記事がお役に立ちましたら 欲張り3段攻めポチッ御願いします!
最初は
人気blogランキングへ 次が
最後が