もっともっと早くSWFに関する記事を書こうと思っていたのですが 毎日の雑用 そして 体調不振が続き とうとう 今になってしまいました。
注:SWFに関する基本知識、規模、懸念材料は
SWF その1 と
SWF その2をお読み下さい。特に
今回の記事は SWFが抱えている問題点を知っての上で読んで頂きたいので その2の記事を読んでから 本日の記事を読んでいただけると幸いです。
*G7 SWFガバナンスを目的とした合同作業部会設置を依頼今から2週間前の話しで恐縮ですが G7が 世銀、IMF(国際通貨基金)そしてOECD(経済協力開発機構)による合同作業部会を設置し SWFの透明性、規制のあり方、ガバナンスの向上、マクロ経済に与える影響の分析等を依頼する事で一致したそうです。しかし このタイミングは 大統領選を控える米国では保護主義的な動きが活発化してきており、現政権がSWFを標的にすることで国内の支持を集めようとしているとの見方もあるそうです。
なにはともあれ 1月末 IMFはシンガポール、ノルウェー、アブダビに対し SWFの透明性を高める為 投資内容公開の為のベンチマーク作りに協力を要請しました。一歩前進と言いたいところですが 協力要請されたシンガポールのGIC会長によると ”ベンチマーク作りには協力するが これ(内容公開)が機能するかどうかは別問題” と 冷たい対応。と言うのも 数あるSWFで 毎年監査結果、ファンドの投資先やその変更についての情報も開示しているのは ノルウェーの政府年金基金のみ。それ以外のSWFは資産規模も推定である場合が多く ポートフォリオの資産配分や投資戦略の開示は していません。
シンガポールのテマセク・ホールディングスを例にとると 1974年に設立、昨年春までの資産総額は 設立時の500倍に達しました。全てのSWFが このような積極投資姿勢を示している訳ではないのですが、モルガンスタンレーの試算によれば
SWF資産規模は 2015年までに米国経済とほぼ同規模の12兆ドルに達する可能性があるそうです。アメリカ経済と同規模ですよ!!! ちなみに シンガポールの場合 GSIとテマセクのSWF金額合計は 自国の株式市場全体の時価総額を 優に超えています。
*SWFと 各国GDP対比ちょっと気になってきたので 主なSWFと その国のGDP対比をしてみます。これ やらないと 気になって眠れなくなる。下表のGDPサイズは IMF資料を元に作っています (GDPサイズは 億ドル)チャートが極小サイズになってしまいました。PC音痴の私には どうする事も出来ず そのまま載せます。ゴメン


驚きますよね、UAEは自国のGDPの5倍もの資金をSWFが握っているって マジっすか?
*ロシアを例に取ると……..上表のロシアの3.2%というのは 半分 嘘の数字です。皆さんも御存知かと思いますが ロシアはエネルギー価格の変動に備えStabilisation Fund(安定基金)というものを持っており、その金額は 今年1月30日現在 1,573億8,000万ドル。この安定基金を 今年2月1日より 2つに分けました。ひとつは Reserve Fund (積み立て予備基金) 1,254億ドル、そして もうひとつは National Welfare Fund ( 国民福祉基金) 319億8,000万ドルです。
Reserve Fundは 以前のStabilisation Fund同様 ロシアの最重要輸出品である石油価格の将来の下落に備えるもの、新しく設立されたNational Welfare Fund(NWF)は ビシバシのSWF。NWFの金額 約320億ドルって 大した事ないじゃん?と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが とんでも8分 歩いて10分。モルガンスタンレーによりますと(原油価格の変動でだいぶ変わるそうですが)
現在のNWF 320億ドルは 5年後に(推定)1,400億ドル~最大3,200億ドル規模(現状の原油価格が続いた場合)になるそうです。そして10年後には 最大6,000億ドル規模になると予想!恐ろしい事に ロシア次期大統領への選出が確実視されるメドベージェフ第1副首相は1月31日、石油などエネルギー分野をはじめとするロシアの最有力企業の社長ら500人以上を招待し経済会議を開催。その席で「外国企業買収は重要課題。中国のように積極的に進めるべきで、われわれもできるはずだ。そうすれば、わが国企業の近代化に不可欠な製造機械の外国輸入依存度を下げるなどの問題を解決できる」とげきを飛ばし 外国企業の買収に豊富な国家の資金が使われる可能性を示唆した模様。買収を視野に入れる具体的な企業名には言及しなかったようですが、ロシアは既に欧州各国のガス供給会社や石油精製会社の株式を積極的に購入していますし、欧州のハイテク企業のシンボルであるエアバスの株式買収も狙っているとの噂ッス。NWFの規模が モルガンスタンレーの推測通り 激増して行ったら 巨額なNWFが外国企業の買収に使われ、ロシアにいずれ主要産業を支配されてしまうのではないかと強い警戒感が欧米諸国で出ても少しも不思議ではありませんよね。
ロシアNWFの投資方針に関する記事を いくつか発見したのですが、それぞれの記事により内容が全然違うので 私自身 こんがらがってます(笑)。
今のところは 60% 他国の国債、20~40% 他国籍優良企業の株式 又は 社債 という内容が一番信頼出来そうです。そして 他国籍企業の株式取得の際は その会社の全株式の5%を上限とするそうです。この
<5%上限>という数字は ノルウェーの国家年金基金が設定している上限。たぶん <5%上限>という数字は 世銀・IMF・OECD合同作業部会のベンチマークに採用されるのでしょうね。
*SWFが興味を持ちそうな企業がある国は?米国、カナダ、イギリス、ドイツ、オランダ、スウェーデン、オーストラリアが まず 頭に浮かびました。他にも まだまだあるでしょう。日本の企業も魅力的なところ ありますよね!
*SWFにこだわるN20です私が 敢えてSWFに関する記事を何度も繰り返し書くのは これらのファンドの拡大規模が驚異的だから。ここではロシアを例にとりましたが 同様に石油価格が現状($100前後)で推移する限り 中東が設立しているSWFも ロシア同様の拡大をし続ける事になりますよね。年間の拡大規模は エネルギー(主に原油)収入が主な財源のSWFは 2,000~3,000億ドル、外準増加 または それ以外のものが主な財源のアジア系SWFは 1,200~1,500億ドル=SWF全体の拡大規模は 5,000億ドル/年間です。現在 世界各国の外国準備高合計が 5兆ドルとされています。
SWFが年間5,000億ドル規模で拡大すると 6年後には 世界全体の外国準備高を追い越す計算になります。そして 繰り返し申し上げますが 2015年には米国経済とほぼ同規模の12兆ドルに達する可能性ありです。
この記事がお役に立ちましたら 欲張り3段攻めポチッ御願いします!
最初は
人気blogランキングへ 次が
最後が