2つ下の記事でサルコジ仏大統領とキャメロン英首相の間の大喧嘩をお伝えしました。しかしサルコジ大統領はベルルスコーニ伊首相とも相当派手な言い争いをしたそうです。その原因はイタリア中銀総裁人事を巡るもの。
*欧州中央銀行(ECB)政策委員会とは?私はいつもブログでは「ECB理事会」と書いていますが、正式名は「ECB政策委員会」

ECB役員会6名 + ユーロ加盟17ヶ国の中央銀行総裁 = 合計23名から成り立っています。

ECB役員会の6名とは 1)ECB総裁 2)副総裁 3)4名の理事

EU閣僚理事会の勧告に基づき、欧州議会およびECB政策委員会との協議の後、国家あるいは政府首脳レベルでの加盟国政府の共通の合意により任命される。任期は8年で再任不可
現在の役員会6名の顔ぶれは
トリシェ総裁

フランス人
コンスタンシオ副総裁

ポルトガル
ビニ・スマギ理事

イタリア人
ゴンザレス・パラモ理事

スペイン人
シュタルク理事

ドイツ人
プラート理事

ベルギー人



今月末にトリシェ総裁が退任され、ドラギ新総裁(イタリア人)が誕生します。



そうなると、
総裁/理事/中銀総裁と合計3名(ドラギ、ビニ・スマギ、ビスコ)のイタリア人がECB政策委員会に存在することになってしまいます。これがサルコジ大統領とベルルスコーニ首相との間のケンカの種

となりました。
この問題を解決する一番手っ取り早い方法は、イタリア中銀新総裁にビニ・スマギ理事を任命することでした。
*水面下での合意を破ったベルルスコーニ首相今年6月に決定されたECB後任総裁人事でドラギ氏が新総裁に決定した時点で、フランスとイタリアの間には「ドラギ総裁誕生と引き換えに、ビニ・スマギ理事をイタリア中銀総裁に任命し、役員会に於ける(ビニ・スマギ理事の)空席にフランス人の理事を据える」という約束

がなされていたそうです。そしてこの任命が発表された直後、ファンロンパイ大統領とサルコジ大統領はビニ・スマギ理事本人に電話

をして、年末までに伊総裁職を受け入れ、自主的に理事職を辞任するよう勧告した

とされています。ビニ・スマギ理事自身は自分の身の振り方を明確にはしていません。
そして先週木曜日にベルルスコーニ首相は驚きの発表

をしました。それはフランスとの約束で(内定していた)ビニ・スマギ新イタリア中銀総裁指名ではなく、ビスコ氏を総裁に任命したからです。
ベルルスコーニ首相は、今回の伊中銀総裁指名は伊中銀内部の「フランスに対する抵抗」

が一番の理由だと発表。それに加え、政府中道左派議員や労働組合などの組員によるビスコ氏への絶大な支持があった上での任命だと日曜日のEUサミットの席で語った模様

いかなる理由にせよ、フランスとの約束を実行するためには、ビニ・スマギ理事を説得して今すぐにでも理事職を辞任させるしかありません

しかしいくら首相とは言え、理事職辞任を強制する権力は持ち合わせていないという訳です。
*困ったEU関係者日曜日のサミットでは、ファンロンパイ大統領やバローゾ欧州委員長もベルルスコーニ首相に対し、ビニ・スマギ理事の退任を要求したとされています。
サルコジ大統領は切れに切れています



しかしイタリア中銀はサルコジ大統領にイタリア内部のことに口出しして欲しくない

サルコジ大統領は英国のキャメロン首相やオズボーン財務相にユーロ圏内の問題に口出しして欲しくない
みんながみんな、自分の考え方を押し付けようとして、それがもっとユーロ圏の溝を深めているのは間違いない事実のようです。
もし この記事がお役に立ちましたら 3段攻めポチッ

御願いします!
人気blogランキングへ
にほんブログ村
こんな嬉しい賞を頂きました。受賞に恥じないよう 頑張ろうと思います。応援 よろしく!
そこらの三文小説よりよっぽど緊迫感が伝わり楽しめます^^
松崎さんの文才に拍手!!